タリナイモノ

高校一年の春、浮ついた周囲の空気の中、賢就大楔は何かものたりない気分を抱え込んで
いた。幼なじみの要咲まりかに、入学早々思い切って告白して振られたことが心に重いしこ
りとなって残っている。早くに母親を亡くした大楔にとって、長いこと母親・姉代わりだっ
たまりかは告白に対して「恋人としては見ることはできない」ときっぱり言い切ったのだ。
そんな物憂げなクラスルーム前の時間だった。
本当に、たまたま視線を合わせただけの女生徒遵守彩子に、突然の告白をされてしまったのは。
クラス中が見守る中にも関わらず堂々と「好きだ」と告げてきた、全くもって初対面な女生徒。
変化を望んだのか、それとも変わらないまりかにに対する当てつけの気分も幾らかはあったの
か、我知らず大楔の口をついて出ていたのは、肯定を告げる返答だった……分岐なしの恋愛サ
ウンドノベルです!いやあ、おもしろかったです♪好みが分かれるところだと思いますが、グ
ダグダの三角関係物で、ダレルところがなく最後まで読めました。個人的にこういういっぱい
葛藤がある話が大好きなんですね〜。また、恋愛物は告白されるところで終了ってのが多いのですが、
実際にはつきあってからがスタートなわけで、そこのところを描いた作品はそう多くはないの
で新鮮で楽しめました。ちょっと一味違う恋愛物を読みたい人はどうぞ!では、メインキャラ
を簡単に紹介……
賢就大楔(かしづき たいせつ)
高校1年の主人公。冷静そうに見えるが結構短気ですぐにキレます(汗)。そんでもって
優柔不断。話がグダグダなのは、こいつのせいです!女の敵で二股野郎!?とはいっても
タイミングの悪さを考えると情状酌量の余地あり。同時に複数の異性に惹かれることは男女
ともにあることです、問題はどこらへんに一線を引くかが人によって違うということです。
要咲まりか(かなめざき まりか)
主人公の幼馴染で姉代わり。主人公のことが好きでありながら、告白されて断ってしまう。
主人公と彩子の仲を応援しつつも、未練が見え隠れする彼女の心境は複雑でしょう。とても、
主人公に対してはいじらしいのですが、朽木志士に対する言動があまりに酷いのはなぜ?
理由があるにしてもあんまりです。
遵守彩子(したもり あやこ)
教室でいきなり主人公に告白して、つきあうことになる主人公の1つ上の先輩。どうやった
ら、こんなふうに育つのだろうか?と思ってしまうほど常識がない大変人です!とはいっても
これで常識があり変人でなかったら、ものすごいスーパーウーマンになってしまうほどの能力
を持っているのでバランスはとれているのかもしれません(汗)。色々な点で理解不能、その
家族もただものではありません。
朽木志士(くちき しし)
主人公の親友。まりかにぼろくそに言われているが、実はまりかが好きなのがわかります。
気が長く意味のない行動はしない深慮遠謀タイプで、さらに体育会系のナイスガイ。主人公
よりいい男のような気がする。ただの脇役ではない!?
独断と偏見によるおすすめ度7