[★ボストン美術館] ボストンに行ったらまずここ!と一番の強力プッシュは、世界にその名を轟かすボストン美術館。 ボストン市街でもほんの少し外れた静かな地区にあるここは、本当に見所十分。 現代的かと思われるエントランスをくぐると、沢山のギャラリーと白く明るいカフェテリアがあり、 二日くらい通っても全然退屈しなさそうな予感でわくわくする。 ここのコレクションは絵画・彫刻に止まらず、昔の家具・調度などのコレクションもされていて、 実に多種多様。海外の美術館は大概感心するくらい広いが、ボストンは本当にゆったりと壮大なくらい広い。 単なる陳列物の陳列場所としてではなく、あちこちの廊下が美しく光を摂り入れるように作ってあり、そこを 何も考えずに歩くだけでも心安らぐ。 あまり時間がなかったので狙った所しか行かなかったが、家具のギャラリーが部屋風になっているのも 非常に楽しかったし、作品名は忘れてしまったが、妻の死姿をそのまま美しく象った彫刻が横たわっているスペースなど、 1Fの少しほの暗いかという光量により静謐という言葉そのままに静まり返っていて、その空間自体が美しかった。 一番のお目当てである門外不出(ボストン美術館からは決して持ち出さない作品らしい)のゴーギャンの大作などは、 見れば見るほど絵がじわじわと呼吸を始め、久々に絵画を素晴らしいと思った生命の篭ったものだった。 期待は十分していたものの、期待以上に圧倒的な作品で、つくづくゴーギャンを再認識させられた作品。 隣にあった他のゴーギャンの作品も本当に良くて、ああ、ここにゴーギャンのいいのがあったのか、という 掘り出し物を見つけたような嬉しさがあった。 日本の品を展示しているギャラリーもあり、ここは東洋を意識してか暗めの色調のシックな空間。 いわゆる刀や鍔、漆器等が収められていたのだが、その美しいこと。比較的新しいものが多かったせいもあろうが、 実に手入れの行き届いた感があり、感心させられた。海外でこのように美しく展示されている日本の品を見るというのも 色々考えさせられて楽しいものだ。光を吸い撥ね返すすうっと美しい刃を見ては、これを捨てたからこそ日本人の核が 失われたのではないかとどこかで聞いたようなことをふと改めて思う。 ゴーギャンの大作のあるギャラリーの隣は展示会のショップになっており、この時はちょうどヴォーグの展示会を やっていたらしい。これも非常に魅力的で見たかったのだが、常設展を見るので精一杯。ただ、そのショップいっぱいが 展示会のグッズや洒落た写真集、イラストブック等の軽く楽しいものいっぱいで、アールデコ調の着せ替え用ブックだの、 とにかくアメリカの有名人がジャンプする、という写真集など、嬉しくて細々と買ってしまった。 ギャラリーを出てエントランス付近に行くと、白く大きな建物の中に光が差し込んで、その光溢れるロビーにそのまま カフェテーブルとチェアを置いたような気楽な空間があって、それがここのカフェになっているのだった。 そこで束の間の軽い食事やお喋りに興じる人々は本当に楽しそうで、ああ、あの明るいところで軽い食事とお茶などして みたいなあと思ったが、時間がないのでやめて、その奥のショップへ。 海外のこういう美術館のショップ、何度行っても魅力的。日本のようにそこの展示品に関連する少数のものを売るのではなく、 その美術館のスタッフたちがセレクトしたと思しき本・画集・写真集や少し洒落た日常小物やアクセサリなど、とにかく 美術館に行って鑑賞するだけではなく、こういうものを目当てにしつつ来るなんてこともできそうなほど。 こういうラフなスタイル、私は大好きで、やっぱりそこでもあれこれあれこれ。選んでは戻し、また選んでは戻すという そんな優柔不断な作業も楽しい場所だった。 ルーブルや大英博物館ほどは無論大きくはないけれど、十分手に余るくらいの大きさで、エキサイティングで。 本当にここは気に入った。流石は世界的な学都、ボストン。美術館と人間のスタンスが最高によくできてました。 [★クラムチャウダー!!] さてボストンと言ったらもうこれ。何があってもクラムチャウダー。 丁度行った時期が冬だったので、クラムチャウダーが最高に美味かった。基本的にボストンは港があるせいか、 海産物が美味い。シーフードレストランなんかに行くと、これでもかとどでかい海産物がゴンゴン出てきて、日本人的には 規格外のデカさにビビることしばし。 さておき、その豊かな海産物がみっしり詰まった、どろりとしたくらいの濃いクラムチャウダーを、六角形のクラッカーを 落としてそのサクサクさ加減がとろりと溶けてゆく中間とか、サクサクとの対比とか、そんなものを楽しみながら食べるのは 最高。母親が一人で街の安食堂で食べたのは流石に不味かったらしいが、ちょっといい店に行くと本当に美味い。 今回チャイナタウン以外のアメリカ料理で唯一美味だったもの。やっぱり日本のさらっとお上品なクラムチャウダーより 断然この濃い方を私は推します。クラッカーとのあわせ技が絡み合ってるってカンジでほんとに美味い。 まさにイギリスのフィッシュ&チップス級の堂々たる名物ディッシュですね。 ちなみに私が食べたのはシェラトンやら大型ホテルが3軒ほど集まった間のモールにあるシーフードレストラン。 クラムチャウダーは小振りの器程度なのですが、他のディッシュはやはりアメリカサイズで、 男二人と男並の食欲の私でも音を上げました。やれやれ。 でもあの付近は夜でも歩けていいですね。 ショッピングモールも色々面白かったですよ。ウィリアムソノマの店もあったし。 [★MIT or ハーバード] ボストンがボストンとして現在栄えている理由は間違いなくこの二つにあるでしょう。マッドなほど変人な天才達が 集まるというマサチューセッツ工科大(略してMIT)と、世界の文系の精鋭達が集うというハーバード。共に世界に名だたる 名門中の名門大学。それをこの一都市が抱えているのです。 実は私の同行者達がMITに用があっての渡米だったのですが、お陰で気後れすることなくひっついてMIT構内に潜入。 とはいえ、ちょうど休暇中ということもあり、さほどの混雑はなかったのですが、それでもこの活気。 マッドな人たちはいるのかなあと思いきや、実に普通のアメリカの大学生、といったカンジで、ちょっと広くなった ロビーのようなところにべたべたとサークル案内やらライブのチラシなんかが貼り付けられてるのが、大学って どこでも同じだなあ、というか、MITも普通の活気溢れる大学なのだなというカンジでした。 ただ、研究室を 見せて貰った時は(通常はムリですよ、当然←あたりまえ)、そこで作業している学生を見て、うーん、この熱心さが流石だなあというか、真面目に研究に 打ち込んでいる若者って素晴らしいなと思う目をしてました。案内してくださった教授も、明らかに英語能力に欠ける 東洋人たちにわかるよう、シンプルな言葉を選んでぱきぱき丁寧に説明してくださったりする方で、知能が高いって いうのはこういうことだよな、とまさに紛れもなく世界の最高峰にいらっしゃるであろう権威の方を見て、門外漢ながらに そう感じました。 こういう方々に共通するのは、誠実な清々しさといおうか、そんなもので、研究をする、難しいながら 結果を出すために絶えず努力するということを日々繰り返している人々は、こういう風になっていくのかなあと漠然と思ったり。 MITを出て、じゃあノベリティを買おうかと地下鉄に乗って少し先の駅まで。 そこにノベリティを売っている専門の生協があるそうで、俄然張り切る私。 文系なんだからハーバードにすればと理系の母に言われつつも、理系好き(憧れ)の私としては無論MITのノベリティ買いに走ります。 嬉しいのは、ロゴとかが入っているシャツやパーカー、トレーナーがちゃんとしたメーカーのであるということ。 シンプルにロゴの入ったTシャツと、紺地に白ででかでかとMITの文字が縫い付けられてあるチャンピオンの分厚い パーカートレーナーを買って大満足。パーカートレーナーは結構デカイのですが、まあ冬仕様にということで。 じゃあちょっと日も暮れてきたけどハーバードへとハーバード大学のある駅に降り立つと。 本当にここは街が綺麗。アメリカらしからぬどこかヨーロッパにも似たちょこちょこと小さな街が高低のある三叉路を起点に ばらばらと思い思いに連なっているような。 いわゆる学生好みの小さくて洒落ていてロマンチックな、という店が多く、 店のサイズも日本人好みのちょこちょこっとした細かさ。オープンテラス風のカフェレストランだなんて、まさに 日本人だったらもう大喜びだなあというカンジ。学生のロマンチックさって、そんなつもりなくてもちょっとキッチュに 映りますね。張り出した広いテラスが豆電球とかでちろちろとライトアップされてるの、本当に可愛かったです。 他にも大学に向かう建物と建物の間の細い道にもちょろっと小さなお店があったり、と、下北好きな私としては 是非一度歩いてみたいところでした。 大学の構内の前庭あたりで写真とかをとったりしたのですが、やはりハーバードらしく、 MITとは違ったクラシカルロマンなカンジのする建物。なるほどここに未来のエリートがうじゃうじゃいるのねー、と 思ったりするのも楽しいですが、学生たちが楽しそうにラジカセでダンスの練習してるのが可愛かった。リスもいましたよ! 駅前三叉路あたりに、ハーバードの生協があって、ここはホントに豪華。 ノベリティには、なにかのカジュアルブランドに ハーバードのロゴを入れたものとか、本当に種類が多々ありました。やっぱり文系の方が何かと派手なのも万国共通なんだろうか。 学生用なのか、服も沢山あって、つい関係ない普段着とか買って帰宅。うーん、世界の双壁はノベリティもさすがで満足! という物欲まみれな一言。 ちなみにハーバードのロゴ入ったスチールっぽいボールペンは1度使用するだけで、表面のフィルムが ぼろぼろ剥がれてきますので要注意。まあノベルティーなんてそんなものか。 [★チャイナタウン] さて、世界全国各都市にあるチャイナタウンですが、ボストンのチャイナタウンはボストンの落ち着いた街の雰囲気もあってか 意外なほどに静か。のんびりとした店並びは、中国料理屋にありがちな赤い色がなければ普通に通り過ぎてしまいそうでした。 急いで昼食を食べる必要があったので、手近な店に入ったら・・・なんと、そこはベトナム料理屋。 ちょうどそのときベトナム料理にハマりきっていた私にはまさに天啓かと一瞬思いましたが、そうすれば注文など慣れたもので、 非常に判りやすくオーダーができました。でもその量たるや・・・さすがアメリカ、チャイナタウンであっても全然違うんですね、その量が・・・ 生春巻きが豪快で、材料が大皿に乗せてあり、別皿に春巻きの皮が重ねられ・・・というまさに手作り状態。 同行者二人がさっぱり詳しくないので、私が食べ方を説明しながら巻いては食べ、でした。 でも一番の感激はベトナムコーヒー!! アメリカの淡々とした薄いコーヒーもなかなか身体に合って美味かったのですが、味の濃いコーヒーなんてものがそういや お目にかかったこともなかったので、そこにこのぐんと深く濃く苦く、そうしてどろりと包むようなコンデンスミルクの強い甘味は 本当に身体の底から美味しかった。 地下鉄の駅を出てすぐのガラス張りっぽい店でした。そんなコーヒーが飲みたくなったら ここをお薦めします。あのコーヒーだけは、心底美味しかったですよ。 |