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愛知県新城市

やすら姫の塚

2014年08月15日

愛知県鳳来町長篠、飯田線長篠城駅の東、前野という所に、やすら姫の塚がある。
この塚の主、やすら姫は、長篠戦争の時の由緒ある落人の娘であると言い伝えられていた。ある日の暮れ方、塚の近くの家へ、この辺では見かけたことのない、きれいな娘が杵を貸して下さい、と言って来た。杵を借り受けた娘が立ち去ってしまうと、やがてどこからともなく餅をつく音が聞こえてくる。
そんなことが幾晩も続いたので、家の者が不思議に思い、娘の後をつけて行くと塚のそばで急にその姿が消えてしまった。
幾晩つけて行っても同じことであったから、どうも塚が怪しいということになり、掘り返してみると一個の赤い甕が出た。
蓋を取ると、中には白骨がいっぱい入っていて見ているうちに、尽く白い蝶になって飛び去ってしまった。これを見て、その男はすぐに法印を頼んで、伺いを立てると、「私を信じなさい、そして時々祭りを忘れぬならば、この前野の地に白水を流しましょう」とのお告げであった。
(長篠合戦余話より)

 

 
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