エアグルーヴ
俺はそんなに競馬好きでは無いし、お金を賭けるのもGTレースぐらいです。大した知識も無いので専門的な話は出来ません。でもそんな俺にも大好きなサラブレッドが3頭居ます。その中で最初に話したいのがこのエアグルーヴです。
エアグルーヴは1993年生まれの牝馬(女の子)です。
俺が初めてエアグルーヴを知ったのは、彼女が3歳の時に出走した牝馬戦のチューリップ賞というレースでした。2着を大きく引き離してトップでゴールした時に「とても強い馬だなぁ」という印象を受けました。でもその筋の人達にとっては彼女はそれ以前に有名な馬だった様です。
競馬にはクラシックレースと呼ばれる「皐月賞」・「ダービー」・「菊花賞」という3歳馬しか出場する事の出来ないレースがありますが、3歳牝馬にも特別レースがあります。「桜花賞」・「オークス」・「秋華賞」の3レースです。エアグルーヴはこの中でオークスに勝っています。でもその後に足を骨折してしまい暫くレースから遠ざかります。戻ってきたのは翌年6月のマーメイドステークスというレースでした。久しぶりのレースなのに彼女はこのレースを物にします。そして8月の札幌記念では牡馬(男の子)に混じって出走し、これまた勝ってしまいます。
でもビックリしたのは10月の秋の天皇賞に出走するという事を知った時でした。天皇賞と言えば競馬をそんなにやらない人でも知っている有名なレースです。馬の世界でも男と女の体力には違いがあり、小さなレースであればまだしもGTクラスになればその差は顕著に表れて来ます。俺はこの頃はもう彼女がとても好きで、惨敗する姿は見たくなかったから「何でこんな事をするんだろう?」と思っていました。でもファンとしては彼女の馬券を買いますよねー。
1997年秋の天皇賞。思った通り牝馬はエアグルーヴだけでした。しかし1番人気のバブルガムフェローをクビ差で抑えて何と彼女は勝ってしまいます。もう彼女が牝馬だからどうこうと言う人は居ません。11月には国際レースであるジャパンカップに出走して、日本の馬ではトップの2着となりました。
その後も彼女は牡馬に混じってレースを続け、ほとんどが3着以上と言う素晴らしい結果を残して1998年の有馬記念を最後に引退します。
とにかく俺は男の子に混じり頑張っている牝馬には注目するのですが、彼女の強さは牝馬のそれではありませんでした。昔から強い牝馬の事を「女傑」と呼ぶらしいのですが、俺はエアグルーヴには強さだけでなく美しさも感じました。漫画の「エースをねらえ!」で言うところの竜崎麗香(お蝶夫人)ですね(笑)。
エアグルーヴは1997年の年度代表馬に選ばれ、名実共にその年トップの馬となります。
強い牝馬は過去にもたくさん居ますが、俺は個人的にはエアグルーヴが最強牝馬だと思っています。