ダウンタウンの松本人志の第一回監督作品です。
敢えてジャンル分けをするなら監督自身が言う様にヒーローものになると思います。
内容を簡単に言ってしまうと、生まれながらにしてヒーローの宿命を背負わされた大日本人と呼ばれる「大佐藤」が、日本中に出没する「獣(じゅう)」と戦うお話です。
昔は大佐藤の様な大日本人が何人も居て、国民からもヒーローとして絶大な支持を受けていたのですが、彼が敵と戦う事によって発する環境破壊や騒音が問題視され、今や大日本人の必要性を問われる時代となっていました。
国民の為に戦っているにもかかわらず、その国民から支持を受けられない事による葛藤や、ヒーローと言っても本音のところは色々な悩みを抱えている、と言う部分が作品中には描かれています。
松本人志特有の素直に笑う事の出来ない「いやらしい」部分や、完璧なリーダーを演じようとするアメリカへの批判がひしひしと映像から伝わってきました。
完全なる正義やヒーローと呼ばれるものなど存在しない。また逆に悪と呼ばれるものもそれに対する側が勝手に位置づけたものである、と言う事がテーマの一つにあると思えます。
しかし俺にとって松本人志は正に大天才なので、きっと根幹は別なものである様な気がします。
俺はこの作品についてほとんど前知識が無かったのだけど、ここまで敵と戦う特撮を用いた描写が多く含まれているとは思っていませんでした。
あれをカンヌ映画祭において評価されるのは非常に難しい事でしょう。欧米の人たちには日本人特有の思いが込められているこの作品を理解出来ないと思ったからです。
しかしながらテーマは重いものだと感じるも、やはりコメディアン松本人志のテイストが随所に盛り込まれた当作品は、個人的にとても面白い映画でした。
ただ彼のファンでないと受け入れられない部分は多いと思います。
ひとつの映画としては評価が二分されるされるのではないかな、と感じます。
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