この番組は2008年4月よりテレビ東京で放送されているアニメーションです。
原作は、勿論誰もが知る「さいとう・たかを」の漫画です。
ここで今更ゴルゴ13についてどうこう語るつもりはありません。
今回は当作品がテレビアニメとしてお目見えするのが初めてと言う事なので、これについてのみのレビューに限定しようと思います。
言わずと知れたゴルゴ13は、世界を股に掛ける超A級スナイパーです。
原作では政治的な背景が思い切り絡む話が多いのですが、テレビ版ではその複雑な部分を大幅にカットし見易くなっています。ただ、そうなるとどうしても彼の「殺し」が軽いものに思えてしまいます。
ゴルゴの狙撃による一人の死がひとつの国を揺るがしてしまう程の結果を呼ぶ、と言った話が原作では存在していたのですが、30分と言う限られた時間の中で1話完結と言うスタンスを取っている(放送開始4話目まで)現在では、どうしても個人からの殺しの依頼が多くなってしまいます。
一部、原作にも存在している殺しまでのプロセスではなく、依頼を終えた後の警察当局との逮捕を巡る争いなどの興味深い話もありましたが、やはり30分では足りません。昔の野球狂の詩の様に1時間物として作って欲しいと思います。
何より俺がこのアニメ版のゴルゴ13を気に入らないのが、主役である彼の声を担当しているのが俳優の舘ひろしだと言う事です。
俺は舘ひろしが個人的に嫌いではありません。むしろ俳優としては好きな部類に入ります。しかし本人の渋さや格好良さが声だけで伝わると思っているスタッフは大間違いです。声優としての彼の演技は全然締まりが無く、全くゴルゴの凄みを表現出来ていません。ゴルゴのあの風貌と舘の穏やかな声とのギャップに気持ち悪さすら覚えてしまいます。。
しかも第4話において、仕事の依頼者からのオーケストラ観賞の誘いを受けたゴルゴの口から「チケット。ありがとう・・」とか言う信じがたいセリフが出て来たのには目を疑いました。そんな事でゴルゴが礼を言うか?この脚本を書いたバカは誰だ?と、間の抜けた舘ひろしの声も相俟りこの時は俺も真剣に怒りを感じました。
声だけで演技をする芝居の難しさは、この舘ひろしのゴルゴっぷりを見ていると非常に良く分かります。彼は役者としてはビジュアル的な部分でだいぶ助けられているのだな、と言う事を改めて感じた次第です。
それにしても、25年くらい前に放映された映画(アニメ)及び20年ほど前に発売されたOVA(オリジナルビデオアニメ)と両方俺は観てきましたが、どちらも原作の様な国同士の争いや高度に政治的な問題にメスを入れる様な内容ではなく、また今度もか、、、と言った具合で個人的に残念です。
今作品は1クール物だと思いますが、少しだけでも今後に期待して観続け様と思います。
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