<ザクレロ>
「機動戦士ガンダム」に登場するモビルアーマー。
テレビ版機動戦士ガンダムにたった1話、それも画面に映っているシーンは合計でも5分と無いのに、そのあまりに強烈な風貌から世のガンダムファンを震撼させ脳裏に克明に焼き付けさせた恐ろしい存在。
ガンダムに登場するメカのデザインを担当した大河原邦男は、ご存知の通りタイムボカンシリーズのメカデザインも請け負っていた。
ザクレロは正にタイムボカンから飛び出して来た様なビックリドッキリメカ的モビルアーマーである。
これほどまでに露出の少なかったメカが今も尚語り継がれる例を俺は知らない。
<サスケ>
’80年代中盤に「コーラの前を横切るヤツ。冒険活劇飲料”サスケ”」と言う宣伝文句で登場してきた謎の炭酸飲料。
見た目モノトーンのパッケージや忍者を彷彿とさせる名前に加え、そのCMのシュールさから奇奇怪怪としか思えず俺は一度も飲む事が出来なかった。飲んだ友人から言わせると「コーラと変わんない」との話だったが。
商品そのものは全くヒットせずに店頭で並んだのも僅か数ヶ月間。
正にサスケは「コーラの前を横切っただけ」だった。
<殺人電車>
私鉄「京急線」の事。
京急川崎駅−横浜駅間をノンストップで走る「快特(快速特別急行)」の、その余りの爆走っぷりによる車内の揺れの激しさから、普段京急線に乗らない「京急白帯」の年輩者達から主にそう呼ばれている。
もちろん車内の揺れによって乗客が死亡すると言うのは大げさな話だが、転倒による打撲や裂傷は日常茶飯事である。
JR線と違い京急線は民家の合間を縫うようなレイアウトで線路が敷かれている為、どうしてもカーブが多く、そこを高速で駆け抜けるので自然と揺れも大きくなる。京急線の線路幅は新幹線と同じで他の電車よりもかなり広い。これが運転手の優越感に結びつき更なる高速化への拍車をかけているのではないだろうか。「最高だぁ・・最高だぜ俺の京急・・俺達ゃ最強だぁーー!!うへへへ!!」と言った具合に。
京急線「快特」に乗った事のある人は分かると思うが、この京急川崎−横浜間の乗り心地は決して「快特」なぞではない。言えば「怪特」、もしくは「壊特」である。
しかし俺はそんな荒くれ的な京急線が、温室育ちで故障遅延ばかりしているJRなんぞとは比較に出来ないくらい大好きなのだ。
<サナギマン>
昔の特撮ヒーロー番組「イナズマン」の幼虫時のスタイル名。
イナズマンがカラフルで綺麗な色合いであるのに対し、このサナギマンは茶色い岩の様な風貌である(サナギから蝶への変転をイメージしたものと思われる)。
また、サナギマンは幼虫状態であるだけあって非常に弱っちぃ。
「サナギマンは、怒りが頂点に達するとイナズマンに変転するのだ!」
と言うナレーションの通り、強いイナズマン(成虫)となるには暫らくの間サナギマンは敵の小童どもから袋叩きにされる必要がある。
高く飛ぶにはまず身を低くかがめろ、を地で行くヒーローである。
今考えると笑ってしまう設定なのだが、当時は「早くぅ!早くイナズマンになってぇー!」と興奮しながらブラウン管に食いついて観ていたものだった。
怒りが頂点に達しないとイナズマンになれないなら、サナギマンである彼をイジメなければ良いのに、どうせ後でヤラれるなら今のうちにボコボコにしておこうと言う考えなのか敵の組織「新人類帝国」。
その希望に満ちた組織名称に反して何と彼らは刹那的な行動を取るのだろう。
<真田志郎>
漫画「宇宙戦艦ヤマト」の登場人物で技師長を担当していた。工場長と言う役職も兼務している。個人的には庶民的な工場長を押したい。
ヤマトがピンチの際、ここぞとばかりのアイデアを提案してその危機を乗り越えてきた、ヤマトにとっては最終兵器・最後の砦とも言えるブレインである。大型要塞の中核を破壊する爆弾が手足になっている辺り、その意味でも彼は最終兵器と言える。「な?頼むよ」と肩叩かれる人間はいつ爆弾のスイッチが入るか気が気じゃないので、決してその頼みを断る事なぞ出来ないに違いない。
手足爆弾を使用したエピソードは1度しか無いが、ヤマトに帰還してからアッと言う間に彼の手足が元通りになっている辺り、ヤマト艦内には完全防爆の「真田工場長手足爆弾製作室」が個別に存在するものと思われる。
アニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」においての彼の殉職シーン。彼は敵の彗星帝国の動力炉に時限爆弾を仕掛ける作業を空間騎兵隊の隊長「斉藤一」を護衛に従え敢行し自爆するのだが、このシーンでこそ手足爆弾を使用する絶好の機会ではなかったかと思える。即座に手足爆弾を爆破させていれば斉藤も蜂の巣状態の銃弾跡を残して戦死する事は無かったはずである。
<ザブングル>
渡辺プロダクションのお笑い芸人のコンビ名だが、昭和40年代前半から中盤に生まれたアニメファンにとってザブングルと言えば富野由悠季監督の「戦闘メカザブングル」(1982年テレビ朝日系で放送)に他ならない。
実際お笑いのザブングル自身もコンビ名がアニメのザブングルから来ている事を認めている。今のところ当の富野監督は著作だの何だのと松本零士の様にイタい事は言ってないが、数ある富野作品の中で唯一と言って良い程の”破天荒ギャグロボットアニメ” のザブングルをセレクトする辺りはなかなかグッドである。
個人的にお笑いのザブングルの面白さは全く理解出来ない。しかしアニメのザブングルも、ガンダム、イデオンに継ぐロボットアニメとしてハードな路線を期待していたアニメファンの気持ちを引き裂く発想とストーリー展開だった為、きっと作品の内容等しく新たな感性を持った人間が彼らの笑いにシンパシーを感じているのに違いない。
アニメに負けないくらい彼らもお笑い会での新境地を築いて欲しいものだ。
<サモ・ハン・キンポー>
アクション俳優。
ジャッキー・チェン主演のカンフー映画に多数出演し日本でも有名となり、動けるデブとしてこれまでのデブの概念を覆した、当時世間のデブにとって希望の星とも言えた存在。
しかし役回りとしてはコミカルなものが多く、決して二枚目アクション俳優にはなれなかったところはやはりデブの限界と言ったところか。
彼が主演しヒットした作品として、ブルー・スリーの「燃えよドラゴン」に対する「燃えよデブゴン」と言う映画があったが、当然このタイトルは邦題である。ならば原題は一体何だったのだろうか、と興味のあるところだが、調べるまでの興味には至ってないので良く分からない。
<白湯(さゆ)>
水を沸かしただけのお湯の事。
俺の両親は食後にこれを好んで飲んでいた。そんなものを飲む親の気が知れない、と俺は思っていた。
漫画「あしたのジョー」にて厳しい減量で気が触れた力石徹に、彼の所属しているジムの代表の娘である白木葉子が見るに耐えかねこの白湯を差し出した時、それまでの狂気が嘘の様に力石は覚醒した。しかし力石は「気持ちだけ受け取っておきます」と言って葉子から受け取った白湯を自ら床にこぼし、更なる強い意志を以って減量に励みこれに成功するのだった。
これを見て非常に感動した俺は、中学生の時クラブ活動を終えて家に帰るや否や母親に「白湯をくれ!」とオーダーした。訝しげにポットのお湯を入れたカップを手渡す母親に対して「お気持ちも頂きます」と言ってそれを飲んだのだがやっぱり白湯はマズかった。
<「さよならジュピター」>
1980年代中盤に公開された日本のSF映画。公開前は「日本版スターウォーズ!」と言う触れ込みで大々的に宣伝されていた。しかし蓋を開けてみるとSFシーンは殆ど無く、あってもスターウォーズには遠く及ばないショボい仕上がりばかりで、真に受けて劇場へ観に行ったSFファンの失望と怒りを買った。日本ではSF映画を作る事が出来ないと言う認識を定着化させてしまった戦犯映画。原作の小松左京、及び主演の三浦友和はこの映画によって大きく株を下げたと言われている。
作品の出来はスタッフのイメージを大きく左右させる、と言う事を多額の制作費を投じて実証した「捨石的映画」とも取れる。
唯一「ボイジャー」と言う松任谷由美の主題歌がヒットしたのは救いだが、悲しいかなこの「ボイジャー」が「さよならジュピター」の主題歌である事を知る人は少ない。
<サンク増毛法>
今でこそ育毛・増毛、そして抜け毛予防に力を入れる「アデランス」だが、その昔はカツラ一本で勝負していた企業だった。
そのアデランスが当時放った画期的とも言える新商品がこの「サンク増毛法」である。
一般的にカツラを被ればその当事者を知る周囲の誰もが「ぁ、今日からカツラなんだ」と気付いてしまう。ところがこのサンク増毛法の場合は、数段階に分けてカツラを定期的に交換し徐々に髪量を増やしていき、数ヵ月後、数年後に完成形を目指すスタンスなので、毎日接している人たちには彼がカツラである事に気付き難い、と言う利点があった。
テレビCMでもその過程が描かれており、「周りが気付かぬうちに増やせる!」みたいな感じの力の入ったナレーションが流れていた。
しかし、数ヶ月、または数年ぶりに会う人間にとってはやっぱり彼の髪は急激に増えた事に外ならず、その辺りの詰めの甘さから世間にとってはツッコミどころ満載の増毛法として揶揄された。
現在のアデランスにそんな子供騙しとも思える作戦のサンク増毛法が存在しているかどうかは未確認である。
<30分で1年間>
アニメ作品「ルパン三世」の1作目のテレビシリーズの第4話「脱獄のチャンスは1度」は、銭形に捕まったルパンが死刑執行直前の脱獄に至るまでの1年間を描いた内容の物語である。
たかが30分のテレビシリーズの作中で、回想でもなくリアルタイムで1年間と言う長い時間を経過させている事に俺は驚きを感じた。
ルパン三世シリーズが当初の全23話で終了するのならばそれも良かったかも知れないが、よもやルパン三世が大ヒットし、続く2作目のテレビシリーズは全155話、映画公開や特番テレビ放送を経て今尚人気の作品と考えた場合、単純に時系列で考える事は出来ないまでも、最初の放送から今に至る30数年の中で、たった1話のテレビシリーズで人気者のルパンを1年間拘束し1年歳を取らせてしまったのは、もはや伝説と言っても過言ではないと思う。
ストーリー的に大した話ではないのだが、そのある意味スケールの大きさから俺にとっては非常に印象に残っているサブタイトルである。
<サンタモニカ>
米国西部に位置するカリフォルニア州の都市名。
と言う事を知らなかった小6当時の俺は、桜田淳子が「来てぇ来てぇ来てぇ来てぇ〜♪サンタモニカぁ〜♪」と歌っていたのを聞き、サンタモニカとはめずらしい種類の鳥だと勝手に決めつけ、チルチルミチルの青い鳥よろしく、何か遭遇すると幸せな気分になれるものだと思っていた。
実際は「サンタモニカに来てくれ」と言う意味だったのだろう。
・・・紛らわしい。
<サンバイザー>
帽子の頭頂部をくり抜いた軟質プラスティック素材の帽子型日よけ。
今でこそオバちゃん連中しか使用しないサンバイザーだが、’70年代は小中学生も使用していた。
当時の遠足における注意事項説明に対して「バナナはお菓子に含まれますか?」と言う質問に負けないくらい「帽子はサンバイザーでも良いですか?」と言う問い合わせが定番であった。
頭部が丸空きになっており帽子の様相を呈していないのだから当然NG。
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