男たちの大和

この作品は2005年12月に公開された映画です。観客動員が400万人を超えたと言うのだからヒット作と言っても良いでしょう。
まぁ宇宙戦艦ヤマトのファンとしてはこれも観ておかなくてはならないな(笑)って事でDVD発売と同時に購入しました。
太平洋戦争は日本が負け、そして戦艦大和も沈没する、という事を最初から分かっていてこの作品を観るのは何となく、どうかなぁ・・・と言う気分でした。どうしたってハッピーエンドは望めない訳ですから。
内容は思った通り太平洋戦争を舞台にした日本映画の他の作品同様、当時のバカなトップのくだらない愛国心やプライドの犠牲になる若い兵隊達の悲しい運命を描いているものでした。
日本映画にしてはセット等にお金がかかっているのは分かります。でも正直言ってこれを観た人が心に何を思うかという事を考えた時、何も思わないのではないかという気がしました。あくまでも個人的な意見ですけど。
映画で太平洋戦争を舞台にする場合、その多くは戦争の悲惨さや無意味さを訴える作品が多いと思います。当作品もそうであると思います。にも関わらずこの作品では戦艦大和の存在意義が曖昧であると言わざるを得ません。趣旨にのっとれば大和は存在否定されなければならないのに、事あるごとに「大和の偉大さ」を暗に語る様な描写が表現されています。スクリーンの兵隊達が大和を崇拝するのは良いのです。乗組員がそう思うのは当然の事なのですから。そうではなく、この作品では観ている人にも大和が素晴らしい戦艦である事を思わせようとしている様に感じるのです。しかも中途半端に。
敢えてそうして観ている人に「戦争は悲しい」とか「大和はすごい」とか、もっと言うなら「あの戦争は間違っていなかった」とか言う様々な意見を持たせようとしているのでしょうか。
大和は確かに当時世界一と言って良い戦艦だと思います。俺も個人的に大和は常識を覆した戦艦で、大鑑巨砲主義ではなくなった当時の戦術からすればあの戦艦は愚の骨頂であるという意見もあるけど、それでもとても好きな艦です。
しかし太平洋戦争における大和は数千人の無駄死にを生んだ要因として否定されるべきだと思うのです。
この作品では戦争の悲劇を語りながらも大和にかなりのスポットが当たっています。タイトルにもある訳ですからそれも当然でしょう。であるなら、もっと戦艦大和の存在意義をはっきりと語って欲しかったです。
まぁそう思うのは俺だけで、他から観れば納得の一品である、という意見もあるかと思います。
よって個人的には「?」の作品ですけど、観る人が変われば評価も変わるはずです。


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