恩昌寺

慈眼山恩昌寺の由緒は、寺記に「開基武田勝頼公息女天正9年辛巳年開闢」とあり、甲斐国志には「天正九年武田勝頼ノ女草創ス法諡紅暎林葉大姉ト云フ」また、「紅暎林葉大姉、逸見中条村上野恩昌寺ニ碑アリ勝頼ノ女ト云伝フ、年月詳カナラズ」と記され、韮崎市史には寛永19年に至り片嵐清泰寺十世隆山泰育和尚が、無縁仏となった勝頼の息女を哀れみ息女を開基とする一寺を創して恩昌寺と名づけ、自身は開山となり息に恩昌寺殿紅暎林葉大姉の法諡をおくったものとも述べられている。
この恩昌寺の庭園には姫の墓が伝存されて、武田衰史の一糸を遺してきました。改めて墓を再建し、姫と恩昌寺の謂をここに記して史伝を後世に残しておきます。
（境内石碑記載文章より）

新人物往来社の定本武田勝頼によると、武田勝頼の子息には信勝以外に次の6人が紹介されています。
女：林葉大姉
女：新典厩室
女：貞光大姉
男：周哲大童子
男：勝三
男：本光信継庵主
このうち、林葉大姉については、中条上野村の恩昌寺の開基とのことで、またここには彼女の碑が存在するとも書かれていたので今回寄ってみることにしました。
地図で場所を調べてみたらなんと新府駅のすぐ近くでした。昨日からの雪で一面雪景色でしたが道路には雪は残っておらずスムーズに走ることができました。しかし新府城の駐車場付近から新府駅に向うあたりは幹線道路ではないために雪が深く積もったままでした。恩昌寺は新府駅の新府城とは反対側のすぐ近くにありました。
正面入口から入って本堂に向って左側に石塔と石碑があるのがすぐに分かりました。そして石碑には武田姫の墓と書かれていました。

ここに書かれている文章によるとこの恩昌寺の庭園に姫の墓があるとのことでしたので本堂の裏側にまわってみましたが一般の檀家の墓がありましたが庭園を発見することはできませんでした。その後本堂に向って右側にお寺のお宅の入口らしきところがあったのでそこで呼び鈴を鳴らしてみたらお寺の方が出てきてくれました。お話によると、この石碑に書かれている通りとのことであり、武田勝頼の娘のお墓がこの境内のどこかに確かにあるもののそれがどこにあるかは分からないとのことでした。