公道走行の基本
〜初心者& 単独走行時のマナー〜


自転車に乗る前にまず知っておかなくてはいけないのは、
「自転車は軽車両扱いである」ということです。

ですから、自転車が走るのは道の左側。スクーターや車といっしょです。
道路の右側を逆走するのは、ドライバーにとってこの上なく危ない行為ですから、
もし、今までそのような走りかたが当然だと思っていたのなら、改めてくださいね。
(このページをお読みのかたの中には、ほとんどいらっしゃらないとは思いますが・・・)


歩道を走る時

普通自転車の歩道通行

第六十三条の四

   普通自転車は、第十七条第一項の規定にかかわらず、道路標識等により通行することができることとされている歩道を通行することができる。

 2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。

(罰則 第二項については第百二十一条第一項第五号〔二万円以下の罰金又は科料〕)

自転車は原則的に車道を走らなくてはならない事になってはいるのですが、
やむを得ず歩道に上がらなければいけない事もあります。
そんな時には、歩行者が最優先。
ベルをうるさく鳴らして歩行者をびっくりさせ、猛スピードですり抜けるなんて、もってのほか。
ベルは、注意をうながすためのもの。決して驚かすためのものではありません。
歩行者が歩道いっぱいに広がるなどしていて、どうしても注意を喚起したい場合は
軽くベルを鳴らしたあと(あえて鳴らさなくても良いと思いますが)、
「すみません、右(左)側通ります」と声をかけると、印象もよくなるでしょう。
抜かしたあとに「ありがとうございます」の一言をかけると、よりイメージアップ。

常に、「自分がこうされたらどう思うか」に気をつければ、
おのずとマナーは向上すると思います。

歩道を通る時には「車道寄り」を走りましょう。法律でも規定されていますし、
人家や商店、脇道から出てくる人や車を避けるためにも大事です。


車道を走る時

車道を走るときは、ふらふらせずに、まっすぐのラインで走りましょう。
しかし、ここで怖がってあまりすみっこを走ると、路肩にたまったガラス片などで
パンクする危険がありますし、落下物などを避けるためにかえって挙動が不安定になり
後続や追い越しをするドライバーに不安を与え、ともすればひっかけられて
大きな事故につながりかねません。堂々と車道の方を走りましょう。
そうすれば、ドライバーも「自転車がいるな」と気付いてくれます。
自分の横にもう一台自転車が平走できるくらいの幅をめやすにスペースをとり、
いざという時に回避できる余裕を持ちましょう・・・と言いたいところなのですが、
そんな条件を満たせる道路というのは、ほとんどないのが現状です。さみしいですね。
でも、さみしがってもいられません。よりスムーズに走るために、
車道走行のためのテクニックを身につけましょう。
そして、道路には「流れ」があります。それを乱すような走行をしてしまってはいけません。
急な動きはしない、周囲に自分のとる進路を知らせる、無理なライン取りはしない、
周囲の挙動に常に気を配り、譲るべきときは譲り、先に行くタイミングを見定める。
こういった事に気をつけて、流れにスムーズに乗って走れるよう心がけましょう。

無理して高速走行をする必要はありません。
しかし、低速すぎて後続の車両の走行をさまたげるような走りをするのも迷惑なことです。
抜かせるべき時はすみやかに抜かせて、お互いが気持ちよく走れるように心がけましょう。

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常に後方の車との位置関係を、目や耳で確認することは大事です。
ヘッドホンステレオをつけてポタリング、というのも楽しそうですが、
これは、後続の車との距離関係がわからなくなる危険な行為です。
スクーターやモーターバイクなどは、機動性がよいために
ぎりぎりのラインをすりぬけようとすることがままあります。
そんなとき、耳でエンジン音を捉えられれば、
危険回避のための行動により速く移ることができます。

また、路肩に止まった車のドアが急に開くことがあります。
自転車は見た目が小さく、「遅い」という先入観があるため、予想以上に近寄ってきていることに
気が付かないのです。エンジン音がしないため、気付くのが遅れる、という要素もあるようです。
止まっている車をパスするときには、車内の人の動きをチェックして、
余裕をもって避けられるようにしましょう。

タクシーのドアが急に開けられて、そこにぶつかってしまう事故も多く発生しています。
客を乗せるために急に路肩に寄ってくることも珍しくありませんし、
ウインカーを出さずに路肩から急発進したり、客の指示で急に進路変更をしたり
急停止することもあります。私自身、そんなタクシーにぶつけられたことがあります。
「タクシーは、挙動が予測できないもの」と考えて、普通の車以上に気をつけましょう。
また、バス停近くでは、バスの動きにも注意しましょう。

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路肩の障害物や車、信号のない交差点から出ようとしている車などを
パスしようとラインを変更する時には、けっして急に進路変更してはいけません。
できれば手前10mくらいから徐々にラインを中央寄りに変更し、
障害物をパスしたらすみやかに元のラインに戻るようにしましょう。
その時、もし後続に車などがいたら、「自分は中央に寄りたい」という意志を
手信号ではっきりと伝えましょう。(「手信号の出しかた」参照)
相手がそれを見ていなかったり、見ていても無視してつっこんでくるようであれば、
無理にパスするのはあきらめて、パスできる機会がくるまで無理せずに待ちましょう。

交差点で左折車を追い抜くときにも、自分の挙動を後続車に知らせましょう。
しかし、左折車もすんなりと交差点を抜けられるとは限りません。
歩行者をよけるために、急停止することも考えられますから、
ぎりぎりのラインはとらず、また車間がつまっていて進路変更が難しいようだったら、
無理をせずに2、3台やりすごすくらいの心の余裕を持ちましょう。

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渋滞している道路では、無理なすり抜けは危険です。
延々と続く車の列がじゃまになり、対向車線からの右折車や、
合間をぬって横断してくる歩行者などがほとんど見えなくなるからです。
特に、車と車の間が開いているところは要注意。車の間を縫ってすりぬける
モーターバイクが急にとびだしてくることもあるからです。
渋滞中はこちらもスローダウンして危険回避するか、
いっそ歩道に乗ってしまって、歩行者に気を使ってゆっくりと走った方が安全です。
また、渋滞列の横を走っている時、後ろからモーターバイクが追い付くこともあります。
そんな時には、横によけられる場所をみつけて回避し、追い抜かせてあげましょう。
いつまでも進路を塞いでいたのでは、後続もしだいに苛立って、
いやがらせを仕掛けてくるかもしれません。
お互いにいやな思いをする前に、道を譲り合いましょう。

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左折するときは、歩行者や、歩道を通ってくる自転車に気をつけて下さい。
右折するときは、スクーター同様、二段階右折が原則です。
このとき、歩道をふさがないよう、停止位置に気をつけましょう。

信号待ちをするときは、自動車や二輪の停止線よりも前にでて、自転車がいる、ということを
明確にしましょう。左折車の死角にはいってしまうと、まきこまれ事故の原因になります。
信号が青になる直前には必ず隣と後方を確認し、もし早く左折したくてあおっているような
マナーの悪いドライバーならば、無理せず抜かせてしまいましょう。
そうでなければ、対向の右折車や歩行者のとびだしに気をつけて道路を横断しましょう。


服装など

服装も、なるべく目立つ明るい色のものを身につけましょう。夕方や夜間に走るのであれば、
反射素材のテープなどを、できるだけ車から見えやすい位置に貼るのも効果的です。
もちろん、前のライトと後ろの反射板は必須。法律でも規定されています。
より安全性を考慮するならば、できれば後ろには赤色点滅のフラッシャーを装備したいものです。
装着する時には、サドルのすぐ下や、ウエストなどの
ドライバーから見やすい位置に取り付けると効果的です。
ヒップバッグなどを身につけている場合は、バッグにつけるとよいでしょう。
人間は、動くものに対しては思わず視線が向くものです。
その点で、ちかちか光るフラッシャーは反射板よりも目立ちます。
ママチャリのペダルについている反射板も、クランクの回転運動と共に動く、という点では
かなり目立つものです。それを真似て、通勤用シューズのかかと部分に反射テープを貼る、
足首の部分に、反射テープのついた裾止めを巻く、などの方法も効果的でしょう。

自転車のライトなんて、明るくないから道路を照らせないし、
役にたたないと思っているのであれば、それは間違いです。
ライトは、周囲に自分の存在を認知させるためのもの。くれぐれも無灯火走行してはいけません。

車両等の灯火

第五十二条

   車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。

 2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

(罰則 第一項については第百二十条第一項第五号〔五万円以下の罰金〕、同条第二項〔五万円以下の罰金〕第二項については第百二十条第一項第八号〔五万円以下の罰金〕、同条第二項〔五万円以下の罰金〕)