ジロ・デ・イタリア観戦レポート hirohiko編 その1

2001.05.30
 成田〜パリ・シャルルドゴール2空港〜ベニス
2001.05.31
 TREVISOのピナレロ工房見学
 第12ステージ(GREDISCA〜MONTEBELLUNA 136km)

やっと、まとまった休みをとれる目処が立ち、
結婚して半年経ってからの新婚旅行となったわけだが、
問題なのはその行き先。
時期は五月末から六月、となると、
そりゃぁやっぱりジロ・デ・イタリアでしょう!!


1日目:
 5/30、エールフランス機で成田から飛び立った私たちは、機内食のマズさに耐えつつもなんとか13時間のフライトを過ごした。とにかく全身が痛い。よく、ヘチマなどに変な形の枠をはめて、型どおりに育成するというのがあるが、あんな気分。トイレや水分補給に立ち上がるたびに、飛行機のすみっこでストレッチなどしていたが、限界があるってもんだ。関節という関節が固まってしまいそう。
 「入国申請書の職業欄ってなんて書けばいいのかねえ」「……わからん。空けておいちゃえ」などといいつつ、無事シャルルドゴール2空港に到着。入国拒否されることもなく、無事ゲートを通過できた。
 しかしヴェネチアへの乗り継ぎ便に遅れが発生。どやどやと小型機につめこまれ、またも強烈にマズい機内食が供される。はて、フランスとは美食の国なのではなかったか?
 そうして降り立ったヴェネチアは、とんでもなく蒸し暑かった。
 「この時期のイタリアは、だいたい日本の3〜4月くらいの気候だと思えばいい」と聞いていたのだが、とんでもない。水が近いから、湿度も上がっているのだろうか。飛行機内の冷え対策に、と着てきた厚地のシャツが、じっとりと汗ではりついて、気持ちが悪い。
 バスに乗り込んだあとも、運転手がホテルの場所をまちがえたりして、結局目指すホテル「HOLIDAY INN VENICE」へ辿り着いたのは午後10時をまわったあたりだった。
 時差ボケを感じる余裕もなく、へとへとに疲れきって寝床へ。


2日目−その1:
 5/31。気温と湿度は結構高く、長袖シャツを腕まくり。ホテルの朝食はコンチネンタルスタイルだった。(要はパンとコーヒーのみ)特筆すべきモノはなし。
 本日はホテルを8時に出発するとのことで、ちょいと抜け出しての市街地観光など望むべくもなかった。
 ああ麗しの都、水の都ヴェネチア。しかし、水路の姿すら望むことも叶わなかった、幻の都ヴェネチアよ。バスは未練もへったくれもなく、田園風景の中へと走ってゆくのだった。
 というわけで、私的にはこのツアーでヴェネチアには行ったことにはなってません。あれはヴェネチアという名前の別の都市なの。

 ともあれ、トレヴィソ郊外にある「PINARELLO」の工房見学からツアーは始まった。関空組と成田組に別れ、2部構成で見学開始。まずは成田組が先に工房見学することとなった。

ピナレロ工房への入り口

ピナレロの営業車?

 義父から借りたデジカムを片手に、さほど大きくはない工房へ。通訳さんがついて解説をするのを聞いたりしつつ、懐かしい記憶を呼び覚まさせる工房内を、目を輝かせて歩き回った。
 パイプをグラインダで微妙に削るときの金属臭、溶接トーチの輝きと特有の臭い、切削油のにおいがたちこめる工房は、私が幼い頃から慣れ親しんだ町工場の光景を思い起こさせる。そこは、職人たちの殿堂だった。
 整然と並べられた工具、寸分の狂いもなくパイプを組みあげるための治具、天井をはいまわる配線、コンプレッサーの響き。ふと、油まみれの手に自ら削り出した部品を握り、「この部品はここに使われるんだ……」と誇らしげに話す父を思い出した。
 溶接され、サンドブラストされたフレームは、下地を塗られてから仕上げ塗りを施される。水を流し、湿度を保ったクリーンルームにて、職人が手際よくエアブラシをあやつってペイントを施していく。ハンドワークでぼかしを入れたかと思えば、型紙をあてて別の模様を浮き出させてゆくさまは、まさに職人仕事だ。
 特別誂えのT.Tバイクや、チームモデルなどをじっくり観賞し、工房見学は終了。

カーボンバックがいっぱい

こんなのも作ってるの?
(クリックで拡大)

 関空組と入れ代わって、こんどは工房横のオフィスへ。
 ピナレロバイクをあやつり、優勝をとげた選手たちのジャージが、壁一面を誇らしげに飾っている。直接購入しに来る人もいるのか(選手用かな?)、計測器もあったりして。
 これは身体測定のときに使う身長計に、股下高をはかるためのバーと、あごまでの高さを測るバーがついているもの。この他に肩幅や膝下の長さ、腕の長さなどを測り、本人の筋力や乗り方、目的にあわせたマシンを選ぶのだ。日本ではお目にかかったことがなかったが、なるほどこれはおもしろい。

 工房見学のあとは、郊外にあるピナレロ直営ショップへ案内される。ここでは友人W君に頼まれた「ピナレロ刺繍入りサドル」を探すが、どうも店頭にはおいていないようだ。
 通訳さんの手があいたのを見計らって店員に尋ねてもらったところ、会話の断片に「皮だけ、は、置いていない、と。 いいえ、探しているのはサドル全体です」という台詞が。
 ということは、サドルの表面の皮だけを求める人も実際にいるってことかしら。
 確かに、気に入ったサドルベースに何度も皮を張り替えて使っているという選手がいる、という話も読んだことがあるし、スポンサーの関係でやむなく、お気に入りのサドルベースにスポンサーのサドル皮を張って使っているという話も読んだことがあった。しかしこういった会話の断片でそういう単語を聞くと、「それは、本当に本当のことなんだなぁ」と、まさに「腑に落ちる」気分になった。
 ところで探していたサドルだが、求めていたものとモデルは違うものの、配色がまったく同じサドルがみつかったので、それを購入することにした。これで「イタリアに行ったら買いたかったものリスト」の最上位が入手できた。かなりほっとした気分。
 店内に飾られている数々の写真や、かの有名な「君はジロでマリアネッラを着たが、君の人生はマリアローザだ」という台詞の書き込まれた写真パネルや、「ジョヴァンニ・ピナレッロがジロデイタリアでまとったマリアネッラの実物」、「インデュラインのT.Tバイク」などをデジカメに収め、最後にジョヴァンニ・ピナレッロ自身と記念撮影&キャップにサインをもらって、お買い物ツア−終了。
 しかし、misty_rainは店を出る直前まで、ここがピナレロ直営ショップだということに気がついていなかったらしい。のんきだなぁ。

バルタリの言葉の入ったパネル
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マリアネッラ(画面やや左)
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インデュラインのTTバイク
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