森は永遠に終わることなく何処までも続いています。
お姫さまの孤独も海のように続いています。
今まで私は間違っていたのかしら?
こんな目に合うのは、私が悪いからなのかしら?
落ちた肩は、ますます落ちて行き、いかり肩のお姫様はいつしか撫で肩になっていました。
キツイ目はいつしかたれ目になっていました。
そんな時、遠くから聞き覚えのある音が聞こえてきました。もしかして、ルーシーかも?
お姫様の心は高鳴りました。
草の根を掻き分けて近づいてくる蹄の音の方へ、お姫さまは走って行きました。
そこに現れたのは、やっぱり、王子様とルーシーでした。
「仕方がないので、迎えに来ました。
死なせるわけにはいきません。お乗りなさい。」
王子様はそう言って、手を差し伸べました。
お姫様は、すっかりしおらしくなって王子様の手を掴もうとしました。
その時です、ルーシーが狂ったように飛び跳ね、王子様は地面に叩きつけられました。
お姫様は、驚いて尻餅をつきました。
いったい、何が起こったのかわからないお姫様は、しばらく呆然としていました。
目の前には、目を閉じたまま動かない、王子様が倒れています。
頭からは血が流れているようで、辺り一面真っ赤です。
「打ち所が悪かったのね。」
冷静さを取り戻したお姫様は、言いました。
そして、ムクッと立ち上がると、王子様が首から下げているハート型のダイヤモンドを奪い取りました。
そして、ちょっと微笑みました。
ルーシーは「ヒヒ〜ン」と、鳴きました。
お姫様は、ルーシーの頭を撫でた後、強く抱きしめました。
ルーシーが何を思っていたかは知る術もありません。
少しだけ逞しくなったお姫様は、スカートをビリビリとやぶいた後、
ルーシーにまたがりました。
心なしかルーシーも嬉しそうです。
二人は、チラッと哀れむように王子様を眺めた後、風のように走り去りました。
モグラを踏んづけ、トンボを追い越し、スキップするように可憐なルーシー。
ハート型のダイヤモンドを胸元で揺らし、夢心地お姫様。
その後、二人がどうなったのかは、
知る術もありません。
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おわり
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