piece



あなたの首に手をまわして
あなたに口付けながら
あなたの黒髪の横で
ちょこんと輝く
猫の爪みたいな月を見てた

ずっと見てると
星もたくさん見えてきて
空は限がなく広くって
少し恐くなった

あなたの胸に抱きついて
あなたの心臓の音を聞きながら
凪いでは満ちて行く
金魚の泡みたいな波を見てた

耳を澄ませば
海の生き物が泣いていて
底は限がなく深くって
少し恐くなった

少し恐くて
でもバカみたいに幸福で

私は風の一部だった
私は光の一部だった
私は音の一部だった

私は尊くて儚くて痛々しい
掛け替えもなく唯一無二な
この世界の・・

まぎれもなく一部だった