自閉的異常を有する小児に対するアマンタジンの治療
  BH.King(ダートマウス医科大学)ら
  J Am Acad Adolesc Psychiatry2001;40(6):658-665

 脳由来神経栄養因子(BDNF)が自閉症となる子どもの新生児血で上昇している論文があり、さらに、最近のNature(Nature2001;411(3):86-89)で、脳由来神経栄養因子が、ドーパミンD3受容体の発現調節を行っていることがわかってきています。このアマンタジンという薬は、ドーパミン作動薬であり、自閉症の治療にドーパミン作動薬などが有効かどうかは、非常に興味のあるところでした。しかしながら、この報告では5歳〜19歳の自閉症例にアマンタジンを使用し、行動上の異常の有意な改善は得られなかったと結論しています。著者らは、統計的な有意差はなかったものの、いくらか有効だった例も存在していることから、更なる検討とその他の薬物の試みも必要であると述べています。今後も、セレクチン・ドーパミンに加え、さらに神経伝達物質の研究が進むものと期待されます。