3.26.東京地裁判決についての報道

韓国・太平洋戦争犠牲者遺族会「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件」


          ■元慰安婦らの訴え棄却 戦後補償訴訟で東京地裁判決
             2001年3月26日(月)【東京新聞・夕・社】

           『個人に請求権なし』

第二次大戦中、日本軍の支配下で徴兵されるなどした韓国の元軍人・軍属や元従軍慰安婦ら計四十人が、戦争で被った犠牲の補償として一人当たり二千万円の支払いを日本政府に求めた戦後補償訴訟で、東京地裁は二十六日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。原告側は控訴する方針。
 丸山昌一裁判長(大竹たかし裁判長代読)は「国際法や国際慣習法も被害者個人が国家に賠償請求できる権利は認めていない」と述べた。また、憲法の平等原則に基づく補償請求についても「戦傷者戦没遺族等援護法や恩給法の国籍条項は合理的な根拠があり、立法政策の当否はともかく、国籍条項が憲法に違反するとはいえない」と退けた。さらに、元軍人らの未払い給与の請求権についても「日本と韓国との間の協定(日韓協定)実施で請求権などは既に消滅している」と否定した。
 この訴訟は一九九一年から九二年にかけ、韓国の「太平洋戦争犠牲者遺族会」の金鍾大会長(63)ら元軍人・軍属十六人と元慰安婦八人、遺族十六人の計四十人(うち六人が死亡)が提訴。元慰安婦が起こした最初の戦後補償訴訟だった。
 原告側は「一九四〇年前半に日本政府や軍に強制的に戦場に駆り出され、戦争被害に遭った。日本政府には国際慣習法の人道に対する罪を犯した補償責任がある」と主張していた。
 元慰安婦による訴訟は現在、九件が係争中。九八年四月、山口地裁下関支部が「立法政策を怠った」として国に九十万円の損害賠償を認める判決(双方が広島高裁に控訴)を出したが、このほかは元慰安婦側の敗訴が続いている。
   『冷たい判決』 韓国遺族会
 原告の金会長らは判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し「この憎むべき判決は到底受け入れられない」と判決への不満をあらわにした。
 元慰安婦の沈美子さん(77)は「あまりに冷たい判決。私たちは日本軍が十三、四歳の韓国の少女を慰安婦として働かせたという歴史を日本と韓国の若い世代に伝えていきたい」と述べた。
 父親がニューギニアで死亡した女性(62)は「父は日本の戦争のため死んだ。同じ遺族なのに日本政府は差別をするのか」と語った。

 
韓国人従軍慰安婦訴訟で判決=東京地裁
 時事通信社3月26日6時4分

 第二次世界大戦中、旧日本軍に徴兵、徴用された軍人・軍属や、元従軍慰安婦ら韓国人40人(死亡6人を含む)が日本政府を相手取り、植民地支配や戦争被害の補償として計8億円の賠償を求めた戦後補償訴訟の判決が26日午前、東京地裁で言い渡される。 原告は「太平洋戦争犠牲者遺族会」(韓国)のメンバーで、元軍人・軍属16人とその遺族16人、元慰安婦8人。
 
 

2001年3月26日(月) 6時58分
韓国人従軍慰安婦らの請求を棄却=東京地裁(時事通信)

 第二次世界大戦中、旧日本軍に徴兵、徴用された軍人・軍属や元従軍慰安婦ら韓国人40人(死亡6人を含む)が日本政府を相手取り、植民地支配や戦争被害の補償として計8億円の賠償を求めた戦後補償訴訟の判決で東京地裁は26日、原告の請求を棄却した。
 原告側は「侵略や迫害行為は国際慣習法として確立している『人道に対する罪』に当たる」などと主張、侵略の精神的苦痛や援護措置の不平等に対する賠償、未払い給付金の支払いなどを求めていた。丸山昌一裁判長は「国際法、国際慣習法は被害者個人に損害賠償請求権を与えていない。未払い給与債権も日韓協定の実施に伴う『大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律』によってすでに消滅している」とした。
[時事通信社 2001年 3月26日 06:58 ]


 
 ■<戦後補償判決> 韓国の旧日本軍人、従軍慰安婦らの補償請求棄却
 毎日新聞社3月26日11時47分
 第二次大戦中、旧日本軍の軍人・軍属や従軍慰安婦だった韓国人とその遺族計40人が総額8億円の戦後補償を日本政府に求めた訴訟で、東京地裁の丸山昌一裁判長(転任のため大竹たかし裁判長が代読)は26日、請求を棄却する判決を言い渡した。
 訴えていたのは、韓国・ソウル市に本部を置く「太平洋戦争犠牲者遺族会」(金鐘大会長)の元軍人、朴七封さん(76)や、 元慰安婦の女性(79)ら。1991年12月と92年4月の2次にわたり提訴し、併合して審理されていた。
 判決は、朴さんらが旧日本軍の軍人・軍属として太平洋戦争中に死傷したことや、従軍慰安婦として働かされた事実を認めたものの、「被害者個人に加害国への損害賠償請求権はない」と指摘。提訴後に焦点となった韓国人の未払い給与請求権についても「日韓協定の実施に伴う措置法により65年に消滅した」と初の判断を示した。
 訴状によると、朴さんらは戦時中、「日本臣民」として、戦地の中国などへ動員されたが、戦後サンフランシスコ平和条約(52年)に伴う政府通達で日本国籍を失い、日本の戦後補償から取り残された。
[毎日新聞3月26日]

 
 
韓国人の戦後補償請求、資格無しと棄却…東京地裁
 読売新聞

 太平洋戦争中、従軍慰安婦や軍人、軍属だった韓国人と遺族ら四十人が、日本政府に一人二千万円、総額八億円の補償を求めた訴訟の判決が二十六日、東京地裁であった。丸山昌一裁判長は、補償を日本国籍を持つ者に限っている日本の法律について、「立法政策の当否はともかく、国籍条項が直ちに法の下の平等を定めた憲法に違反しているとは言えない」などと述べ、原告側の請求を棄却した。
 判決は、元慰安婦八人(二人は死亡)が戦地では常時、日本軍の管理下に置かれ、軍と行動させられ、慰安所で働かされた事実などは認めた。しかし、「日本政府には人道上の罪がある」との主張については、「人道に対する罪は、国家に対し、個人を国際 裁判所の処罰に服させる義務を負わせるに過ぎず、国家の民事責任を基礎づけるものとは言えない」と退けた。
 原告らは閉廷後、法廷内で遺影を掲げて号泣するなど、判決に抗議。会見した元慰安婦の沈美子(シムミジャ)さん(77)は、「判決には非常に胸が痛む。残された人生で、過去の歴史を日本や韓国の若い人たちに教えていきたい」と述べた。  (3月26日14:30)