東アジア学生フォーラム・日韓2008 2008.8.韓国・済州で開催
EAST ASIA STUDENT FORUM; KOREA-JAPAN 2008 IN JEJU
共催:シートゥーシー朋、済州大学校・平和研究所 
後援:在済州日本国総領事館 Backup: Consulate-General of Japan in JEJU
助成:財団法人 日韓文化交流基金
Supported: The Japan-Korea Cultural Foundation
日韓共同未来プロジェクト:
Japan-Korea Joint Project for the Future
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済州フォーラムの後2008.8.19済州中小企業支援センター
写真=フォーラムの後、会場で日韓学生31人+教授、スタッフ=済州市内・中小企業支援センター

2008.8──
問題噴出…だから集まる、話す

 開催の約ひと月前。学習指導要領記載によって、また「竹島=獨島ドクト」問題が噴き出した。しかし「だからこそ、学生の対話、交流は続けよう」と韓国側とも合意し、8月の済州に双方あわせて31人があつまった。2003年からかぞえて6回目(企画者両国教授による)にあたる。済州での開催は2006年につづくものとなった。
 東京での参加者初顔合わせ。韓国で準備会、分科会、全体会議、見学、交流会──空港に集まり、解散するまでが「フォーラム」。済州2泊、そしてソウル3泊の旅程だった。

 済州で4.3平和記念館、日本軍「決戦」のため掘った塹壕跡、同じく日本軍が残した出陣洞窟跡をみた。「済州」に残る旧日本軍跡、解放・韓国成立期の悲劇的事件の映像も見た。済州大学生からの4.3報告もじかに聞いた。日本軍が掘った洞穴は、日本でも話題になった韓国TVドラマ「チャングム」(原題・大長今)最終回の出産場面の撮影につかわれた。日本ではそれが日本軍の出陣基地だとは知らずドラマに夢中になった。(「チャングム」には倭寇も丁髷の武士も出てくる。)

 済州でトンボが飛び交うのをみて、ソウルへ上ると、その2日目はどしゃぶり。見学は景福宮をやめて、予定の戦争記念館に加えて屋内見学の国立中央博物館(龍山区)に切り換えた。バスから李舜臣像、工事中の光化門、景福宮を見た。「自分で訪韓することがあっても、ここへわざわざ来ることはないかもしれない」と判断して、雨の中、バスをタプコル公園(旧パゴダ公園)そばにつけて降りた。ここは1919年3月1日、日本に対して「独立宣言」をしのちにいう3.1運動の発火点となった。
 くつ、裾はまったくずぶぬれになった。半そでは寒いほどの気温20度少し。濡れたレリーフの柳寛順(ユ・グァンスン)氏らを横目に、仁寺洞・インサドンの食堂にみなで駆け込んだ。前日、晴天のJSA板門店・パンムンジョムツアーとはうってかわって、一日雨の見学となった。
 雨、雨宿りは、韓国のドラマ、映画で重要な場面らしい。出会い、転機…好機として使われるようだ(例・映画「シュリ」)。この日の雨はどんな場面につなぐものとなるだろうか。

歴史(過去)・文化(現在)の間

 学生たちが出会い、「ぶっつけ」で直接対話する。歴史・過去を率直に語り、いまから自分たちはどうやって未来の関係をつくていくか──。それがこの学生フォーラムの始まりからいまにつづくやり方、考え方だ。課題、話題についてテーブルを囲んでしっかり対話する。理解しようと聞く、反応する顔をみながら話す。
 回を重ねる度に、だんだんと分科会は「歴史」と「文化」を2つの入口として主題にするようになった。対立する過去、歴史。一方、メディアや旅行、ドラマ、音楽などで現在、生活感覚は急速に接近している。共感、共有できることを確認して、過去・歴史の対立はどのように越えていけばいいのか、しっかり対話する。思い込み、偏見に気づき、自分でただす。そうして街を一緒に歩き、食べ、感覚の異同を確かめ、気分を共有する。学生たちが信頼と共感で友だちをつくるきっかけ、場が、このフォーラムとなっている。
 知識、論理のぶつけあいになる、対峙、論争する「日韓会議」は多い。しかし、このフォーラムは、「感じて人に出会う」大事さを身をもってわかってもらう機会としている。
 


東アジア学生フォーラム・日韓2008
 EAST ASIA STUDENT FORUM; KOREA-JAPAN 2008 IN JEJU
平和の島・済州で、日韓を考える。過去と和解、そして、未来
 "Korea-Japan Relations Seeing from Jeju the Island of World Peace; Past, Reconciliation and Future"

 2つに分かれたセッションの1(済州大内)

 公開フォーラム(済州市内・中小企業支援センター会議室)

写真=8月19日午前の分科会後、同じ済州大キャンパス内で昼食をとって集合。大学のバスで市内のフォーラム会場に向かう前。あたりにトンボが舞っていた

◆開催時期・場所:
2008年8月18日〜23日(済州18-19日2泊、ソウル20日-22日 3泊)
韓国・済州特別自治道 済州市 (Jeju)、ソウル特別市 (Seoul)
分科会・済州大学校、全体会議・中小企業支援センター(済州市)
ソウル交流会・西江-ソガン-大学校(ソウル特別市)

◆主催:
国立 済州大学校 平和研究所
特定非営利活動法人 C2SEA 朋(Tomo)=シートゥーシー朋
Organized: Cheju National University; The Institute of Peace Studies,
NPO; Create Common Space in East Asia, Tomo (JAPAN)
後援:在済州日本国総領事館
Backup: Consulate-General of Japan in JEJU
助成:財団法人 日韓文化交流基金
Supported: The Japan-Korea Cultural Foundation
日韓共同未来プロジェクト:
Japan-Korea Joint Project for the Future

◆パネル参加学生:
 日本16人、韓国15人
参加学生の大学
 日本:中央大学、法政大学、早稲田大学
 韓国:濟州大學校、關東大學校、翰林大學校、高麗大學校、延世大學校、西江大學校、聖公會大學校 *陸地の大学10人+済州大5人

◆趣旨:
 東アジアの日韓関係──双方の学生が集まって現在・過去・未来につき対話する。接近・交流が進む現在、学生たちの興味・関心から直接対話。先入観や誤解を検証し、体験と共感、相互理解によって日韓関係の未来を構想する。
Relations between Japan and Korea of east Asia──Both students gather and talk in present, the past, and the future. Present when approach and exchange advance direct talks from students' interest and concerns. The preconception and the misunderstanding are verified, through experiences, sympathizes, and the future of relations between Korea and Japan is planned by mutual understanding.

◆TOPIC 話題:
──歴史・過去問題から    SESSION 1
──文化・社会の現在から   SESSION 2
──和解そして未来、私たち    FORUM

▽歴史問題と背景の検証
▽国家・民族とグローバル化
▽文化・社会・生活での相互浸透
▽女性人権と民主化
▽経済発展と環境
▽和解の条件、未来の関係
▽共通課題と協働

◆企画・協力:
韓国・李元雄教授(関東大学校 政治学科) Professor LEE,Won Woong
康根亨教授(済州大学校 政治外交学科) Professor KANG, Kun Hyung
金振昊教授(済州大学校 平和研究所) Professor KIM, Jin Ho
日本・横田洋三教授(中央大学 法科大学院)Professor YOKOTA, Yozo 他


写真=JSA 板門店会談場と向こう「北」の板門閣
手前・国連軍、向こう「北」警備兵=動くバス車内から撮影

◆開催経過:李教授、横田教授の企画提案により始動、継続
2003年〜06年  第1-4回 主催・アジア女性基金、後援・外務省
 (東京開催、2006年済州開催)
2007年 第5回 主催 NPO法人C2SEA 朋
 (東京開催)

◆日程:2008
8.18 午後 済州─見学 民俗自然史博物館、ホテル─準備会・トピック、分科会設定
8.19 午前 済州大─フォーラム分科会、報告・司会者候補設定、はれ
8.19 午後 済州市内中小企業センター─フォーラム(全体会議)、済州日韓交流会
    言語 日-韓同時通訳(フォーラム)、逐次通訳(準備会、分科会)
8.20 済州見学 四三平和公園・記念館ほか 夕刻、空路ソウルへ移動
8.21 ソウル市内ホテルからバス─板門店ツアー、晴天
8.22 ソウル市内─戦争記念館、国立中央博物館、タプコル公園、仁寺洞通りなど見学、大雨。
    夜、ソウル日韓交流会(西江大学校、新村)


 済州、バスで見学先へ

 済州、旧日本軍地下要塞跡から「平和博物館」へ戻る

写真=ことし(08.02)放火で焼失した崇礼門=南大門跡はこの状態-08.08。ここから北方、工事中の光化門でも囲いがされていた

◆参加学生名簿
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JAPAN-16人

秋葉 友佳里     Yukari AKIBA
呉 貞和         OH Chung Hua
塚原 真奈美     Manami TSUKAHARA
藤本 大士       Hiroshi FUJIMOTO
矢島 美友紀     Miyuki YAJIMA
宮岡 春香       Haruka MIYAOKA

須藤 有加       Yuka SUDO
鈴木 杏奈       Anna SUZUKI
朴 貴愛         PARK Kwi Ae
宮尾 咲輝       Saki MIYAO
阿部 由季       Yuki ABE

森 陽子         Yoko MORI
織田 龍穂       Tatsuo ODA
岡林 俊起       Toshiki OKABAYASHI
佐藤 千紘       Chihiro SATO
久保 慎之助     Shinnosuke KUBO

中央大学 CHUO UNIVERSITY
法政大学 HOSEI UNIVERSITY
早稲田大学 WASEDA UNIVERSITY

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KOREA-15人  ▽ハングルフォントが必要

タシコタコ (癸レ)
Jeon, Sung Eun
ア霪。ー (ムムスホッ)
Kim, Chikwan
タフヌケフ (ーウレク)
Lee , Hyemi
タフチ、ケホ (ールレヌ)
Lee, Jung Min
ア霖リヌ (ムムユ)
KIM, JunHyup
ア霈コタコ (ムム璞レ)
Kim Sung-Eun,
ヌチウェ(ワアムユ)
Hyun, Jina
ア霏ッチ (ムム、)
Kim, Yu-Ji
ア雎豬オ (ムムムヘモ)
Kim, Kil-do
セシアソオ (褥狆酳)
Ohm, SunYoung
ヒャフリモ
Kang, Kyung-Deok
蠧゙サ
Yang, Eun Ju
ミン胖
Kim, Shin-jeong
ヒゥマ頏
Kang, Kwon-jong
ワフネ箋
Hwang, Kyung Su

濟州大學校 CHEJU NATIONAL UNIVERSITY
關東大學校 KWANDONG UNIVERSITY
翰林大學校 HALLIM UNIVERSITY
高麗大學校 KOREA UNIVERSITY
延世大學校 YONSEI UNIVERSITY
西江大學校 SOGANG UNIVERSITY
聖公會大學校 SUNG KONG HOE UNIVERSITY


済州特別自治道地図(観光) は学生のフォーラムの訪問、会議、宿泊場所




【済州フォーラム 韓国報道】
 *韓国の通信社・聯合ニュース。これをもとに新聞が掲載した
  引用注意

2008/08/20 11:32:24 入力
慰安婦・歴史教科書問題、韓日の学生が討論

【済州20日聯合】 独島問題で韓日関係が遠ざかっているなか、両国の大学生が平和について討論する意味深いフォーラムが開かれた。済州中小企業センターで19日に行われた済州韓日学生フォーラムで、参加した両国の大学生30人は真実・和解・相生を話題に熱い討論を交わした。
 「歴史問題を超える和解と相生の道」をテーマとした討論で、従軍慰安婦についてどれほど知っているかという済州大学の学生の質問に、日本の大学生らは「日本軍が韓国人女性を強制的に連行し、性的な労働を強要したということは日本の学生もある程度知っている」と答えた。

 日本軍が慰安婦を作った理由を本で読み怒りを感じたという日本のある学生は、「女性暴行などで日本軍の国内での評判が落ち、性病が急速に広まるや、軍がこれを予防するために慰安婦を生み出したという内容だった」と紹介し、人間を人間として扱わなかったというむごい事実を最初は信じ難かったと明かした。

 朝鮮人学校に通ったというある在日同胞は、「中学生のときに初めて従軍慰安婦を知り、実際にその人たちに会い話を聞いて大きな衝撃を受けた」と述べた。元慰安婦が生きている間に、日本の学生もこの問題について知る機会があればと話している。

 日本の歴史教科書歪曲(わいきょく)問題についても、一部の日本人学生は「自分も日本人だが歴史をきちんと知るべきだという点で(歪曲は)反対だ」と述べ、韓国人の生の声を聞き問題の深刻性に気づくチャンスがない日本人に対し、絶えず世論を喚起していくことが重要だと強調した。在日同胞の一人は、「歴史教科書の歪曲問題がイシュー化され、むしろ韓日関係について学ぶ大学生が増えた。子どもらに重要な歴史的事実を隠すことは大きな問題だ」と指摘している。

 参加した学生らは、電子メールなどで交流を続けて互いに対する誤解を減らし、理解の幅を広げていこうと誓い合った。



▼豊臣秀吉軍を破ったと伝えられる亀甲船:コブクソン(上から)──国立中央博物館

▼済州でたずねた見学先リーフレット(日本語)

▼済州からソウルに入って見学した場所のリーフレット(日本語)