政府のアジア歴史資料センター構想、2001年スタートへ

 戦後50年、村山政権で公表した「アジア歴史資料センター」は、「アジア歴史資料整備事業」として進められることになっている。
 
 

アジア歴史資料整備事業の推進について
平成11年11月30日(1999)
閣 議 決 定
 政府は、かねてより、アジア歴史資料センター(以下「センター」という。)の設立について検討を行ってきたところであるが、今般、以下の諸事業全体を「アジア歴史資料整備事業」と位置付け、政府が一体となって本事業を有機的かつ一体的に推進することとし、その一環として、センターを開設することとする。これは、我が国とアジア近隣諸国等との間の歴史に関し、国が保管する資料について国民一般及び関係諸国民の利用を容易にし、併せて、これら諸国との相互理解の促進に資することを目的とするものである。

1.アジア歴史資料整備事業の内容

(1)アジア歴史資料のデータベースの構築

 歴史記録の中で公文書は中心的な部分を占めており、また、資料の整理・検索に当たっては、高度情報化の流れに対応して、コンピュータによる情報サービスを行い得るようにすることが重要である。
 このことにかんがみ、センターは、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛庁防衛研究所図書館等の国の機関が保管するアジア歴史資料(近現代における我が国とアジア近隣諸国等との関係に関わる歴史資料として重要な我が国の公文書その他の記録)を電子情報の形で蓄積するデータベースを構築し、インターネット等を通じて情報提供を行うこととする。

(2)関連する諸事業

 政府としては、(1)のセンターの事業とこれに関連する以下の諸事業を有機的かつ一体的に推進する。

ア.歴史記録の重要性に関する広報
イ.歴史資料を取り扱う人材の育成
ウ.歴史研究、交流史の編纂に対する支援
エ.歴史研究者の国際交流に対する支援
オ.内外の歴史資料館の間の交流・協力
カ.アジア歴史資料の現状等に関する調査

2.センターの開設

(1)1.(1)の事業を実施するため、平成13年度にセンターを国立公文書館に開設することとする。センターは、3.(1)の基本方針に沿って、関係省庁・機関の協力を得て、運営されるものとする。

(2)センターの開設準備は、総理府(平成13年1月からセンターの開設までの間は内閣府)に準備室を設けて行うこととし、関係省庁は必要な協力を行うものとする。
 
 

3.政府における推進体制

(1)本事業を政府が一体となって推進するために必要な基本方針の策定その他の基本的事項に係る企画・立案及び総合調整については、内閣官房が、総理府(中央省庁の再編後は内閣府)の協力を得て行う。

(2)(1)の内閣官房の企画・立案及び総合調整を円滑に行うため、内閣に、内閣官房副長官(事務)を議長とし関係省庁の職員のうち議長が指名する者から構成されるアジア歴史資料整備事業連絡調整会議を設置する。同会議の庶務は内閣官房において行う。

(3)関係省庁は、(1)の基本方針に基づき、保管するアジア歴史資料を電子情報の形でセンターに提供する等、センターの事業が円滑に行われるよう積極的に協力するとともに、1.(2)の諸事業をセンターの事業との連携にも留意しつつ実施する。

(4)本事業を推進するために必要な体制及び経費については、関係省庁・機関の緊密な連携・協力の下、政府が一体となって適切に対応することとする。