『戦争の記憶』著者イアン・ブルマ氏を迎えて公開フォーラム

『戦争の記憶──日本人とドイツ人』(TBSブリタニカ刊)著者イアン・ブルマ氏を迎えて討論する公開フォーラム開催

アジア女性基金では以下の通り、イアン・ブルマ氏を迎えて、戦争と責任に対する態度について、また、未来へ向け国際的視点から討論するフォーラムを開いた。「歴史認識」「政治的態度」、それは世界と日本の関係でも大きな課題。戦後を語り、未来を変えていくためのフォーラムとして企画された。

公開フォーラム
戦争の記憶と未来への対話 〜国際的視点から〜

▽2月23日(土曜日)午後1時〜4時45分
▽東京ウィメンズプラザ ホール
▼セッション1 対論 *日本語
 イアン・ブルマ (『戦争の記憶─日本人とドイツ人』著者、ジャーナリスト)
 木佐芳男 (『〈戦争責任〉とは何か─清算されなかったドイツの過去』著者、ジャーナリスト)
▼セッション2 パネル +コメント:イアン・ブルマ + 木佐芳男
 高木健一 (たかぎ・けんいち) 弁護士
 高崎宗司 (たかさき・そうじ) 大学教授
 伊勢桃代 (いせ・ももよ) アジア女性基金専務理事・事務局長
司会・パネリスト
 石井信平 (いしい しんぺい) ジャーナリスト、イアン・ブルマ『戦争の記憶』訳者
▽主催 財団法人女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)
▽参加無料
 財団法人女性のためのアジア平和国民基金〔アジア女性基金)
 info@awf.or.jp 電話03-3583-9346 ファクス03-3583-9347

▼出席者プロフィル
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IAN BURUMA イアン・ブルマ
1951年オランダ、ハーグ市生まれ。(50歳)ジャーナリスト。
1970年〜75年ライデン大学で中国文学と中国史を学ぶ。
1975年〜77年日本大学芸術学部で日本映画を専攻。
現在ロンドン在住。The New York Review of Books,The New Republic,The New Yorker  などに寄稿。
著作:WAGES OF GUILT  Memories of War in Germany and Japan:1994
(日本語版 石井信平訳)『戦争の記憶──日本人とドイツ人』 TBSブリタニカ, 1994
『イアン・ブルマの日本探訪』石井信平訳、TBSブリタニカ、1998
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木佐芳男 きさ・よしお
1953年島根県生まれ。(48歳)ジャーナリスト。
読売新聞社に入社、ボン、ベルリン特派員を経て、フリーランス。
著作:『〈戦争責任〉とは何か─清算されなかったドイツの過去』中公新書、2001、ほか。
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高木健一(たかぎ・けんいち) 弁護士
 1944年中国・鞍山市生まれ。弁護士。アジア太平洋地域に対する日本の後補償問題に取り組む。
著書:『今なぜ戦後補償か』(現代新書、2001)、『戦後補償の論理』(れんが書房新社)、『従軍慰安婦と戦後補償』(三一書房)、『サハリンと日本の戦後責任』(凱風社)など
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高崎宗司 (たかさき・そうじ) 大学教授
1944年茨城県生まれ。津田塾大学教授。近現代日朝関係史専攻。
著書:『「妄言」の原形─日本人の朝鮮観』(木犀社)、『朝鮮の土となった日本人─浅川巧の生涯』、『検証 日韓会談』(岩波新書)、『「反日感情」韓国・朝鮮人と日本人』(現代新書)
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石井信平 (いしい・しんぺい) ジャーナリスト
1942年大連市生まれ。筑摩書房(編集部)勤務後、79年テレビ番組制作会社・テレビマンユニオン、90年独立。92年日本テレビ「五木寛之スペシャル・歌は国境を超えて」プロデュースでギャラクシー賞受賞。
訳書:『戦争の記憶』、カール・マイダンス『マッカーサーの日本』講談社、『イアン・ブルマの日本探訪』TBSブリタニカ。雑誌・新聞連載、寄稿多数。湘南ビーチFMで毎週土曜日2時間のDJ
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伊勢桃代 (いせ・ももよ) アジア女性基金専務理事・事務局長
 

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書評から抜粋
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イアン・ブルマ『戦争の記憶 日本人とドイツ人』
▽よく言われるのは、ドイツが最近の戦争を反省し、日本が反省しないということである。だが、この著者はそれほど簡単なことは言っていない。…石原慎太郎、野坂昭如、黒沢明、家永三郎、大江健三郎、長崎市長について言及しながら、ヒロシマとアウシュヴィッツ、シュトウットガルト裁判と東京裁判、ドイツの教科書と日本の教科書、ドイツの戦争記念館と日本の展示館をその足で歩きながら比較する。…
結局、彼の目的は、反省についての日本とドイツの差異を言うのではなく、むしろ、日本とドイツを共 に陥れたあの危険な状況について、共通の認識を再確認することであり、あらたな政治の構築によって、胚胎する同様の危険を繰り返すことのないように共通の意志をつくりだすことにある。(若桑みどり)

木佐芳男 『〈戦争責任〉とは何か 清算されなかったドイツの過去』
▽表面的なドイツの清算─著者は、ドイツの「戦争責任」論は、ヒトラーとナチスに責任を押しつけ、戦争よりユダヤ人虐殺のホロコーストに責任を感じてきたという。国防軍という非ナチスの責任を不問とし、侵略戦争としての認識はあいまいで、「ふつうのドイツ人の罪と責任」の追及はなかったとするのである。(成田龍一、北海道新聞2001.10.)
▽日独で探りたい「複眼的な戦後処理」─日独リベラル派が《より複眼的な戦後処理論》を再構築するために協力しあってもいい時期かもしれない。「それによって日本の戦争責任や戦後処理の欠陥が免責されるわけではない」と著者も釘を刺す通り、これは取扱注意本である。(山崎浩一、朝日新聞2001.9.)