HOME
TOP
 

中学校の社会科教科書「慰安婦」記述訂正に関する国会審議



7社掲載から3社に。さらに3社は「従軍」の削除と「強制」の訂正について。「自虐史観」の教科書について自民議員が文相に質問。
 
【国会議事録から引用】
 
  • 147回-衆-予算委員会第三分科会-02号 2000/02/28
  • 147回-衆-文教委員会-12号 2000/04/19

  •  

     
     
     
     
     


    【国会議事録から引用】

    ■147回-衆-予算委員会第三分科会-02号 2000/02/28

    平成十二年二月二十八日(月曜日)午前十時一分開議
     出席分科員
       主査 桝屋 敬悟君
          滝   実君    末松 義規君
          石田 勝之君
       兼務 大畠 章宏君 兼務 桑原  豊君
       兼務 松崎 公昭君 兼務 近江巳記夫君
       兼務 久保 哲司君 兼務 児玉 健次君
       兼務 藤木 洋子君
        …………………………………
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長官)    中曽根弘文君
       自治大臣         保利 耕輔君
       科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君
       文部政務次官       河村 建夫君
       文部政務次官       小此木八郎君
       自治政務次官       平林 鴻三君
       政府参考人
       (文部省初等中等教育局長)
                    御手洗 康君
       政府参考人
       (文部省教育助成局長)  矢野 重典君
       政府参考人
       (文化庁次長)      近藤 信司君
       政府参考人
       (消防庁長官)      鈴木 正明君
       地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君
       文教委員会専門員     岡村  豊君
       科学技術委員会専門員   宮武 太郎君
       予算委員会専門員     大西  勉君
        ―――――――――――――

    *該当部分検索抜粋
    ○松崎分科員 もっと時間をかけてこの問題はやらなければならないと思いますけれども、それぞれの現場で特別な方々がある程度選んで、それを学校の決定ということで上げていって、最終的には、教育委員会は形だけで認めていくというようなことが各県にもあるわけですね。私の住んでおります千葉県は、市の教育委員会がしっかりやっているようでありますけれども、ぜひこの辺はこれからメスを入れていただきたいな。
     なぜこの問題をお話ししますかといいますと、やはりそういう採択に関係して、もちろん教科書の選び方という問題で、イデオロギー対決の長い、今まで昭和の五十年間の中で、やはり一つの流れができてきていたというふうに私は思うわけであります。
     ですから、その辺の採択に絡んで、今日の教科書のさまざまな問題、特に自虐的な史観に立ったものでありますとか、私も一時、小学生時代にしっかり唯物史観等を教え込まれまして、そういう考え方も持っておりました。しかし今は、もっと大局的に、イデオロギー対決の時代から、もっと本当に、世界の中の日本がどうなんだ、そして戦争なら戦争を起こす背景はどうであったか、それによって起こした問題は、それはそれで、まずいところはまずい、しかし、その背景もしっかりと教え込んでいく。こういう中立性といいましょうか、客観的真実というのはありませんけれども、それに近いものを求めていく。そういう教育の姿勢でないと、私はまずいのではないか。
     そんなところで、特に最近新聞をにぎわせております、小学校、中学校の歴史教科書で従軍慰安婦の問題とか強制連行、これはちょっと余りにも刺激的過ぎる内容で、果たしてこれが義務教育の教科書に適切であるかどうかという問題もあったわけでありますけれども、これがいつごろから記載されて、その背景は、どうしてこういう激しい内容になってしまったのか、お尋ねをいたします。

    ○御手洗政府参考人 御指摘ございました従軍慰安婦につきまして、特に中学校の社会科の教科書におきましては、平成七年度に検定申請された教科書、すなわち平成九年度から使用された教科書からこういった記述が出てまいっております。
     個々の発行者がなぜこの問題を取り上げたかということについて、正確にお答えする資料を持っておりませんけれども、現時点で考えますと、当時、平成三年ぐらいから、かつて慰安婦であった方々から訴訟が起きるというような社会的な事件等が報道されまして、その後、この問題についてのマスコミ報道等がありまして、社会的な関心が高まったということは一つあったかと存じます。それからまた、そのような背景をもとに、平成五年八月に政府から慰安婦関係調査の結果が発表され、一応の慰安婦関係の事実関係について政府としての見解が出されたというようなことが背景にあったものと考えているところでございます。

    ○松崎分科員 この問題も、かなり時間をかけなければいけない問題であります。きょうは時間がありませんけれども。
     これはもちろん、最初はもう本当に一社の誤報から始まってしまった、五十七年ですね。そこから宮澤官房長官の談話になり、これがまた、今の訴訟もあったのでしょう、いろいろ今のような、教科書にまで書くようになった。特に河野官房長官のときの平成五年から出たのですね。
     この辺は、やはりもともとが誤報から出発している。もちろん、その背景はありますよ。中国にしても韓国にしましても、もちろんずっと背景はあったわけでありますけれども、教科書にまで入ってきたということは、これはかなり、政治の誤りみたいなものが今日まで来てしまったということがあったわけですね。近隣諸国の条項でありますとか官房長官の談話、こういったものが一つの大きな引き金になって今日まで来た。
     ところで、昨年の十一月に二つの会社から、「従軍」の字句を削除した、これはどういう理由で、またどういう背景で急にそうなったのでしょうか。

    ○御手洗政府参考人 昨年の九月から十一月にかけまして、三つの中学校の社会科の発行者から、御指摘の慰安婦に関する記述の訂正について、教科書検定規則に基づきまして申請がございました
     これにつきましては、訂正理由といたしましては、いずれも、実際に教科書を使用したことによりまして、学習を進める上で支障があるというような理由がついておるわけでございます。具体的には従軍慰安婦の「従軍」を改めるということ、それから、強制的に戦場に送り出されたという記述を、意思に反して戦地にと。こういった従軍という記述と強制的に戦場にという、この記述が訂正されたということでございます。

    ○松崎分科員 時間でございまして、これはまた続いて、今度文教委員会等で私もしっかりやりたいと思いますけれども、どちらにいたしましても、今の教科書にまつわるさまざまな問題が余りにも多過ぎる。これを国会でしっかり、もうそろそろ審議をする時期だろう。憲法問題もはっきりさせて、調査会も動いてきたわけでありますので、そのことをこれからの課題として申し上げさせていただいて、終わりにいたします。
     ありがとうございました。

    ○桝屋主査 これにて松崎公昭君の質疑は終了いたしました。
     次に、久保哲司君。
     




     

    【国会議事録から引用】

    ■147回-衆-文教委員会-12号 2000/04/19

    平成十二年四月十九日(水曜日)
        午前九時一分開議
     出席委員
       委員長 鈴木 恒夫君
       理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君
       理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君
       理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君
       理事 西  博義君 理事 石井 郁子君
          岩永 峯一君    小此木八郎君
          河村 建夫君    倉成 正和君
          小島 敏男君    下村 博文君
          平沢 勝栄君    松永  光君
          柳沢 伯夫君    渡辺 博道君
          河村たかし君    田中  甲君
          松沢 成文君    山元  勉君
          池坊 保子君    太田 昭宏君
          旭道山和泰君    山原健二郎君
          松浪健四郎君    笹山 登生君
          濱田 健一君    粟屋 敏信君
        …………………………………
       文部大臣         中曽根弘文君
       文部政務次官       河村 建夫君
       文部政務次官       小此木八郎君
       政府参考人
       (文部省教育助成局長)  矢野 重典君
       政府参考人
       (文化庁次長)      近藤 信司君
       政府参考人
       (建設大臣官房審議官)  三沢  真君
       政府参考人
       (建設大臣官房官庁営繕部
       長)           春田 浩司君
       文教委員会専門員     岡村  豊君
        ―――――――――――――

    147回-衆-文教委員会-12号 2000/04/19

    ○下村委員 今から三年前に、中学校の歴史教科書の中に従軍慰安婦の記述の問題が新たに入りました。これを受けまして、我が党の中で、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会というものがつくられました。中学生にこういうふうな記述をして教えることが本当に時期的にいいのだろうかという親としての疑問点、それからもう一つは、今まで歴史教科書の中に一度も触れてこなかった、あるいは従軍慰安婦という言葉自体ほとんど議論をされたこともないし、またそういう事実についても触れる機会もなかった、それが中学校の歴史の教科書の中に入ってきたということに対して大変な疑問とまた危機意識を持った中で、このような議員の会が自民党の中でつくられたわけでございます。
     特に、その議論の中で我々が問題にしたのは近現代史、これがやはり非常に自虐的に日本国民の――別におごることはもちろんなく、特に近現代史の大戦までの中での我が国のあり方について日本人として反省すべきところは、それはもちろんあるというふうに思います。ただ、それが、これだけ近隣諸国にも迷惑をかけ、世界にも迷惑をかけたというふうな、あたかも自虐的と言えるような、そういうふうな言い方をしているグループがあるわけですが、それによって、子供たちを教えることによって、子供たちが自分の国に対して、あるいは日本人に対して誇りを持てなくなる、意欲を持てなくなる、そういう歴史認識を教えることが果たして、子供たちの未来に生きる勇気を、歴史というのはそういう意味で教える部分もあるというふうに思いますが、ある意味ではそれがマイナスになっている部分があるのではないか、こういう疑問点が我々議員の会からも随分出されました。
     このような、特に日本の歴史教科書、近現代史、自虐的ではないかと言われるようなこの近現代史の歴史観、これについては、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

    ○河村政務次官 今御指摘の点でございますが、委員も御案内のように、日本の歴史あるいは伝統、文化、そういうものを大事に学ぶということについては確かに教育基本法そのものにうたってはおりませんけれども、学習指導要領の中で指導していっているわけですね。
     それから教科書については、これは、これまでも民間の執筆者の方に教科書をつくっていただくという形で、これまで執筆者が創意工夫を凝らして教科書をおつくりいただいているわけであります。そうした中で、検定制度の中で言われることは、明らかな誤りあるいは学習上の支障となる、バランスが欠けているというようなことがあれば、欠陥を指摘していくということでこれまでもやってきたわけでございまして、どのような歴史的事象を取り上げていくかとか、あるいはその歴史的事象をどのように記述するかということについては、一義的にはその執筆者にゆだねられておる現状でございます。
     先ほどお触れになりました、例えば従軍慰安婦の問題等においても、学習を進める上で指導上支障があるというふうに考えられた教科書会社において、また、学習指導上支障があるということについてはやはり検定の側としても指摘をするわけであります。
     しかし、これまでの議論、国民の意向等を踏まえながら、やはり支障があるという観点から、従軍慰安婦ということの従軍ということは省く、これは事実的な問題もあるという指摘もあったわけです。こういうことについては、教科書会社の方から自発的に訂正を申し入れられて訂正をされたという例もあり、またそれについては、教科用図書検定規則に基づいて訂正を承認した、こういう例も既に出てきておるわけでございます。
     おっしゃるように、日本人として誇りを持って生きていく、自信を持ってこれから生きていく、これにはやはり教科書の果たしていく役割は非常に大きいと思いますから、そういうことについて問題があるということであれば、これは正していかなければなりませんけれども、基本的には、いわゆる事実関係に基づいて教科書をきちっと見ていくということが必要であろうというふうに思っておるわけでございます。
     しかし、いずれにしても、教科書が与える影響といいますか、教科書から受ける学生、児童生徒の影響、また教科書から学び取るものというものは非常に大きいわけでございますから、御指摘のようなことがあってはならないというふうに思っておるわけでございます。
     今後とも、文部省としても、そういうことは踏まえながら、まず事実に基づいてきちっとやられているかどうかということを中心に、教科書については十分に配慮していきたい、このように思っております。

    ○下村委員 端的にお答えしていただければと思いますし、また、今は直接的なお答えではなかったのです。近現代史に対して自虐史観があるのではないかということについてどうお考えかということですが、ちょっと時間の関係でまた後日ということで省かせていただいて、教育基本法に限って問題提起をさせていただきたいと思います。
     改正の論点となるのではないかと思われる教育基本法の問題の中で、前文に「個人の尊厳」「個性ゆたかな」とあり、個人を尊重する、これはうたわれているわけでありますけれども、今我が国の教育の中で、特に心の問題、道徳の問題が言われているわけであります。先日の教育改革国民会議第二回の会合のときにも、森総理が、「これからの教育においては、まず第一に、思いやりの心、奉仕の精神、日本の文化・伝統を尊重する気持ちなど、」云々ということで御発言をされているわけでありますが、この教育基本法の中には、他を思いやる心、感謝の心、いたわりの心、こういうことが教育の目的として明らかにされておりません。これについては、改正の論点としてどうお考えになりますでしょうか。

    ○中曽根国務大臣 教育基本法につきましては、教育改革国民会議等の場で議論が行われることになると思います。今、改正の論点としてというお話でありますが、森総理が所信表明演説においてもお述べになりましたとおり、やはり思いやりの心とか奉仕の精神とか、また先ほどからお話にあります伝統、文化の尊重など、こういう日本人として本当に持つべきものが最近は欠けておる、そういう認識であります。
     このような、他を思いやる心とかいたわりの心をはぐくむことは大変重要であります。したがいまして、今回議論をされる中で、こうした観点も踏まえて大いに議論し、また検討していただければと、そういうふうに期待をしております。