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「慰安婦」・戦後補償問題見取り図

 「慰安婦」問題をはじめとする戦後補償の周辺をマップとしてまとめた。
  ●旧植民地朝鮮出身軍人・軍属問題(別表)
 
 
「慰安婦」・戦後補償問題マップ(見取り図)     2002年8月現在、05追加 原田作成
事実の概要
内容
【法的責任・補償─司法判断=判決】
▽元「慰安婦」原告の裁判8件
─うち、関釜〔韓国)、フィリピン、「在日」、オランダにつき一審判決(2000年初めまで)
▽戦時下で行われた事実に基づいて、日本国を相手に、国際法・国内法により違法・不法行為を認め、補償・賠償を求める民事訴訟

▽アメリカや自国の裁判所に日本企業を相手として民事訴訟(徴用労務者、捕虜)
▽アメリカで各国元「慰安婦」訴訟
 上の米での強制労働、元「慰安婦」訴訟について棄却(01.9-10)

「慰安婦」訴訟─韓国2件、フィリピン1件、オランダ1件、在日韓国人1件、中国2件、台湾1件 計8件

○山口地裁─元「慰安婦」に付き政府国会に立法不作為があり、憲法下人道的見地で慰藉料の意味で国家賠償法により賠償1人30万円の判決、公式謝罪必要ない。(戦犯、国際法などの違法・不法行為による賠償は否定。)控訴。勤労挺身隊について却下

○東京地裁─すべて原告主張を却下。比、在日控訴審
○韓国遺族会・ハッキリ会の裁判(東京地裁)は2001.3.26判決 棄却、控訴(01.4)…最高裁棄却04.11

【アジア女性基金】
▽政府総理府・外務省所管、国家予算による「アジア女性基金」─募金を元にした「償い金」、政府の総理の手紙、医療・福祉支援事業など
 ─285人が受け取る(「国として道義的責任」痛感)
▽政府と国民が「償いの事業」(償いの気持ちを被害者個人にとどける)
▽唯一の公的対応実行
 政府予算20億円以上(運営・事業費、医療・福祉支援事業費)
○フィリピン、韓国、台湾で合計180人以上(想定対象者約300人の過半数を超える)が、すでに「基金」を受け取る。
 最終計285人が「基金」受け取る
*裁判原告も多数ふくむ

○オランダ─事業実施委員会により個人に支給。79人
 インドネシア─政府高齢者福祉施設事業進む

【支援・補償運動】
▽ほとんどの裁判で「法的責任」による「国の補償」の訴え却下・敗訴のため、控訴、上告
▽立法・国会での「促進法」に期待
▽国連人権委等ではとくに進展なし

▽元「慰安婦」に偏重した運動で、戦後責任・戦後補償問題を狭くした傾向

○「基金」を受け取った人数等を無視。「法的責任、補償」を主張するが、法的責任・補償自体があいまいで実行時期も不明な「立法案」に希望をつなぐ
○裁判支援などの市民グループ「戦後補償ネット」93〜 は、ハッキリ会と対立的に。

○「絶対補償」でまとまるも真相究明派と責任者処罰派の微妙なズレ
○フィリピン、日本、韓国、オランダでは市民がアジア女性基金を受け取る被害者を支持・支援(被害者自身の意思を中心に、裁判、ロビー活動などを並行)
○2000年12月女性による戦犯法廷(東京裁判のやり直し)

【元「慰安婦」被害者たち】
▽韓国では93年、政府が元「慰安婦」に一時金、毎月支援金、住宅永久賃貸
▽台湾当局、元「慰安婦」に一時金と支援金

▽裁判が時間がかかること、
補償・賠償の判決があまり期待できないこと、
アジア女性基金と両立できること、
総理が謝罪、国が謝罪金を出す(「基金」)、
健康、生活の不安もあるため、
アジア女性基金を多数が選択
▽被害者の中に「反基金」運動体への不信も公然化

▽名乗り出、認定後、約100人が死去─韓、台、比
▽韓国 1998.5. 政府登録189人、うち死亡34人
 00.5. 生存140数人
 2002年 生存140人以下に。死亡60数人か

○「基金」を受け取った人数等を無視。「法的責任、補償」を主張するが、法的責任・補償自体があいまいで実行時期も不明な「立法案」に希望をつなぐ

○裁判支援などの市民グループ「戦後補償ネット」93〜

○「絶対補償」でまとまるも真相究明派と責任者処罰派の微妙なズレ
○フィリピン、日本、韓国、オランダでは市民がアジア女性基金を受け取る被害者を支持・支援(被害者自身の意思を中心に、裁判、ロビー活動などを並行)
○2000年12月女性による戦犯法廷(東京裁判のやり直し)

【政府・国会、国連ほか】
▽韓国、フィリピン、台湾で公式の「慰安婦」認定(93〜)
▽「慰安婦」問題への日本の自主的な対応にさまざまな立場
▽戦後二国間処理(法的)を、すべての関係政府が承認
▽国連人権委などの報告が出るが日本政府はアジア女性基金実行

▽韓国・金大中大統領
1998.4.29 ソウル訪問中の日本の報道各社政治部長と会見(青瓦台)韓国政府支援金支払いについて
「大統領はその趣旨について、日本の女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)からの償い金を受け取りたくない人が、受け取らなくてもすむようにした」と説明した。(朝日、4.30.若宮啓文)

▽金大中大統領
1998.
 この(「慰安婦」)問題については訪日前(98.10.の首脳会談)、私には大変な圧力がかかりました。しかし、この問題も取り上げないことにしたのです。政府は被害者に支援金を渡しましたので、それ以上日本から受け取るなとか、受け取れとかは、いわない方針です。
 運動団体や被害者とよく話してみて、受け取りたいというなら受け取ればいいし、慰霊塔をたてるのがいいといえば、それをたてるのもいいし、その他の方法があればそれもいいでしょう。一回で話がつかなければ、二回、三回と話してみたらどうでしょうか。
 *この趣旨を98年10月(離日する大阪などで)、韓国記者らにも発言し、報道されていると伝えられている。

▽日韓共同宣言 98.10. 小渕総理の謝罪明記

○日本政府─「慰安婦」について、調査結果、官房長官談話、総理談話により国の道義的責任を認め、閣議了解により「基金」で対応。法的には条約等により対処してきた。「基金」に予算措置、総理の手紙、教科書掲載、国際交流予算
○フィリピン政府─アジア女性基金を歓迎、認定、医療・福祉支援事業実施で「基金」に協力。
○韓国政府、台湾当局─公的支援金を被害者に支給(一時金、年金)
○韓国政府は法的には解決ずみの立場、支援金支給によって「慰安婦」問題終結を宣言し〔98.6)、民間の運動に「介入せず」の立場(「基金」受け取りの被害者を一時金支給から排除)
○インドネシア、オランダ政府は、政府間では解決ずみの立場

○明るい日本・国会議員連盟 奥野誠亮会長 中山利生幹事長 板垣正事務局長 尾辻秀久事務局次長
近現代史、憲法、外交・安保、教育・福祉問題など。…「歴史・教育」問題検討
1996.6.4結成 自民党国会議員122人(1996.10.3現在)
○日本会議国会議員懇談会 島村宜伸会長 211人(97.12.1現在)のち麻生太郎会長
○日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会
発起人 自見庄三郎 中川昭一(自民)安倍晋三 松下中洋 1997.2.27設立 *70人前後

○調査会設置法案96提案─廃案
○1999.8. 恒久平和議連、「国会図書館に調査局」法案提出
○2000.4. 民主党、元「慰安婦」「解決促進法案」提出
○2000.4. 弁護団連絡協議会、「慰安婦」「賠償法案」要綱発表
○2002.7. 民主党ら促進法案、参院提案、7月継続審査

戦後補償の情勢
【在日韓国人元日本軍人・軍属年金〔補償)】            
 実行
○自民党も含め、実施へ向けて法案-立法2000年
○在日永住外国人(朝鮮半島、台湾出身)元日本軍人軍属死傷者に弔慰金、見舞金 支給開始2001年度から(遺族弔慰金200万円、戦傷病者見舞金200+特別給付金200万円の400万円)
【元日本軍人・軍属、徴用者】
【BC級戦犯】
○1970年代、韓国政府が日本からの無償供与などから国内補償 軍人軍属死亡者などに

○韓国政府が元「慰安婦」に支援金を支給した〔98.5.)ことにつき韓国・太平洋戦争犠牲者遺族会が声明、「元日本軍人・軍属らについても措置をすべき」

【世論・マスコミ─政治・社会環境】 ○朝日新聞世論調査で、なんらかの補償・賠償で決着を70%以上

○「慰安婦」問題に関し謝罪、賠償不要論─自由主義史観研究会1995〜、新しい歴史教科書をつくる会96〜、明るい日本・国会議員連盟96〜

○「国庫支出という点で、現実的にはすでに国家補償に近付いている。にもかかわらず、そうではないという政府の逃げの姿勢が、事態をさらに複雑にしてはいないか。」アジア女性基金について─朝日新聞社説 98

【サハリン残留韓国人】
 *実行
 *訴訟約10年
○日本政府が永住帰国、一時帰国支援
 日韓政府によりアパート、施設建設
【被爆者】
 *実行
○医療施設等へ資金供与
 原爆被爆者援護法、国籍条項なし
【元「慰安婦」】
 *実行
○政府と国民の協力で、アジア女性基金償いの事業
 ▽総理の謝罪の手紙
 ▽政府〔国)資金による
  医療・福祉支援事業─韓国・台湾300万円 比120万円相当
 ▽国民による「償い金」─すべて200万円
【台湾元日本軍人ら】
 *実行ずみ(88〜)
 *訴訟、最高裁まで
○立法による弔慰金200万円、見舞金
 (計530億円)
【台湾人確定債務
 *実行ずみ
○貯金など確定債務につき返還(物価スライド120倍)
【香港、軍票】
 *訴訟、棄却判決
【企業相手、徴用労働に関し民事訴訟】                
 *韓国、中国人
  和解成る
○戦後補償裁判・企業交渉による和解
 ▽新日本製鉄 97.9  裁判外
  韓国人遺族11人に弔慰金計2005万円
 ▽日本鋼管(金景錫)99.4 東京高裁、控訴審
  410万円、解決金 法的責任は否認
 ▽不二越  00.7  最高裁、上告審
  8人(米で訴訟準備含む)と1団体に3000万 円以上の解決金
 ▽鹿島 (花岡事件)00.11  東京高裁、控訴審
  中国紅十字会に「基金」5億円