「慰安婦」問題をめぐるメール

 
 

 
 
 
 


 

「ナヌムの家」院長女性問題で辞任
 
 

*以下の報道記事の訳と文中で「園長」「院長」とまちまちですが、「院長」が適訳のようです。
 

Subject: [aml 21034] Re: 韓国「ナヌメチプ」園長辞任
From: "HARADA,Shinichi" <kj8899@zephyr.dti.ne.jp>
Date: Sat, 24 Feb 2001 03:41:02 +0900
Seq: 21034
 

At 11:28 PM +0900 01.2.22, makochi wrote:

>makochi@kyoto です。

>----- Original Message -----
>From: "HARADA,Shinichi"
>To: <aml@jca.apc.org>
>Sent: Thursday, February 22, 2001 1:30 AM
>Subject: [aml 21010]
>>  (はらだ・再送) 韓国「ナヌメチプ」園長、女性問題で辞任─
>>  ─以下、韓国での報道。
>>  「慰安婦」問題に関わる上で、大変厳しい事実(ひどいこと)と
>>  して受け止め、送り
>
>告発した女性団体の主張と、慧眞師の主張には依然食い違いが見ら
>れることから、20日に弁護士らによる調査委員会が結成されまし
>た。


はらだ─ ご存じのようですから、主張の違いの、内容を説明してくださいませんか。

>悪意あるゴシップ的な報道も見受けられますので、それらに惑わさ
>れることなく、AMLの皆様には事態を冷静に見守っていただきた
>いと思います。


はらだ─ どの報道を指すのか、その素材を提供してくださいませんか。それを見な
いのでは、「惑わされ」ようもありません。
先に提供した記事は、当事者が自ら語ったという記事でしかない。不利な立場の人が
会見で「告白」した内容報道では、「惑わされ」ようがないでしょう。(記者たちが
「集団リンチ」のように追及したとも思えません。)

はらだ─ わたしは経過をより知っている、フォローできる立場にある。それだか
ら、「皆様には冷静に見守って」とのご指示は、余計な材料提供はするなというよう
に聞こえます。

--------


(はらだ)です。
報道は経過的なものです。性暴力相談所に女性から相談があった。(たぶん第一報が
出た。)名指された当事者が「責任を痛感してナヌムの家園長を辞任する」と記者会
見を開き公表した。性暴力相談所と女性団体は真相調査を行うことになった。…まで
の報道が現段階(前回メールに補足して他紙の記事を後尾に掲載しました)。
調査がどうなるかは別として、本人が記者会見で自ら「問題」だったとして辞任した
ことは事実。その際、法的責任問題には現状でなっていないが、「道義的・人道的責
任」によって「辞任」したと読める報道経過です。そういう経過、材料を提供しなが
ら、関心をもって見守っているのです。

makochi=殿平 真さん、
「悪意のあるゴシップ的な報道も」というのは、提供した報道記事を指していわれる
のでしょうか?
当事者の会見の記事提供に対して、「惑わされることなく事態を冷静に見守って」と
いう意図はなんでしょうか?
だれが惑わされ、冷静さを欠いたのでしょうか。
対抗する事実や報道をご存じなら、それを材料として一緒に出してください。それ
で、読むものは判断ができるのです。
韓国で報道され数百万人が見たであろう実際の報道記事をまず見る。その限りで「慰
安婦」関連で動く者として重大な関心をもって推移を見守るのであって、「悪意のあ
るゴシップ的報道」という暗示は「操作」にあたりませんか? 「冷静」さを欠いて
いませんか。


それとわかる報道記事の例示もせずに「悪意のあるゴシップ的報道」と暗示して、人
の耳目をふさいではならないと思います。(「それは司直の手で捜査中なのだから
…」という国会答弁みたいですよ。)
提供したのは、当事者が自ら記者会見を開いたというファクト記事です。「暴力や強
圧はなかったが、騒動が続けば慰安婦被害補償運動を巻き添えにしかねないと思い、
身を引くことにした」と当事者が語ったことも、記事は伝えています。
「法的責任」─訴訟に至っていない段階ですから当事者は被疑者・容疑者ではありま
せん。しかし、報道の限りで、ご本人は自ら事実関係を概ね認め、「責任を痛感し」
て、「ナヌムの家」園長を辞任すると発表した──これに「惑わされ」たり「冷静」
さを失ったりして読む方法がどこにあるでしょうか?

「朝鮮日報」は韓国で歴史のある民族的伝統派の新聞。現在最大発行部数だと聞いて
います。それも含め各紙記事は、記者会見で当事者自身が語ったこと、女性がナヌム
の家職員であったことがその内容です。日本人スタッフが心配しているという記事も
出ています。その苦境も思いながら事態を注視していきたいと思います。


殿平 真さん、
「悪意のあるゴシップ的報道」例を提供してくださるようにお願いします。
真相調査結果で、当事者が記者会見で認めた事実や当事者自身の今度の対応方針が
「変わる」(ひっくり返る)ことがあるなら、また報道があるでしょう。それはその
段階で、ぼくも受け止めるでしょう。それだけのことです。


報道姿勢を「悪意のあるゴシップ」という受け止め方をしてしまって、セクハラ、性
暴力、ジェンダーが韓国で問題にされていっている状況下でこの「事件」が報じられ
ているという認識をおろそかにすることは誤りだと思います。(「慰安婦」支援の当
事者であるからこそ一斉に報道したのでしょう。この姿勢は「ゴシップ的」センスで
はありません。)

他の有力紙も、以下のとおり報じています。
(記事中の性暴力相談所は、性暴力犯罪の処罰及び被害者保護等に関する法律=制定
94.1.5、 法律第4702号=に規定されている機関だと思います。また記事中の「女
性の電話」団体は挺対協の構成団体だったはずです。)

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*転載注意

(中央日報 01年2月19日 社会面)
従軍慰安婦憩いの場の園長である僧侶/スキャンダルに関連して僧職離脱宣言

 従軍慰安婦ハルモニたちが集い住む京畿道広州の『ナヌムの家』園長である慧眞
(ヘジン、35・俗名:ペ・ヨンギル)師が17日に園長職の辞任と僧籍からの離脱を宣
言した。
 慧眞師は記者会見を自ら進んで開き、「ナヌムの家の事業を行うなかで1997年に知
り合ったAさん(44)など、二人の女性と性関係を持ってきた」とし、「宗教者、及
び慰安婦ハルモニを助ける仕事をしてきた者として責任を痛感し、このように決心し
た」と語った。/孫ミンホ記者

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(東亜日報 01年2月19日 社会面)
『ナヌムの家』園長の慧眞師/女性二人との性関係を告白し物議

 日本軍慰安婦被害者ハルモニとともに9年余りを生活してきた京畿広州郡『ナヌム
の家』園長の慧眞師が、17日に女性問題による良心告白記者会見を開き、園長職辞任
と僧籍離脱の意志を明らかにした。
 慧眞師はこの日の午前にソウル鍾路区仁寺洞にある某カフェにて開かれた記者会見
で「97年に二人の女性と性関係を持った」とし、「宗教者、及び慰安婦ハルモニを助
ける仕事をしてきた者として責任を痛感して、ナヌムの家園長を辞任し、一切の社会
的活動を中断する」と語った。
 女性二人のうちの一人は97年当時、慧眞師が運営していた『ナヌムの家』に勤務し
ていたことが明らかになった。
 これについて韓国性暴力相談所、女性民友会、女性の電話などの女性団体は「事件
の再発防止のため、20日に真相調査委を設ける」と明らかにした。 /徐ヨンア記者

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●「慰安婦」被害者の抗議

Date: Tue, 12 Sep 2000 01:10:32 +0900
Subject: [aml 18998] 無視される「慰安婦」被害者たちの抗議(原田)

「慰安婦」問題の一部「原理」運動団体などの主張の前で、被害者たちの気持ち、その声が無視されがちです。
ここに、韓国ではっきりと被害者たちの声を明らかにした公開の文書を紹介します。1998年からすでに「慰安婦」被害者たちの間から「運動団体にはもう利用されたくない」という声が上がっていることがわかります。ようやく表に出た、ひとつの自由な意思表明として受け止めたいと思います。(いちゃもんは無用です。)

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抗議書簡
 アジア女性基金事業は、日本政府と日本国民が協力し道義的な責任意識のもとに、日本政府の謝過と日本国民の良心に立脚して、従軍慰安婦被害者にわずかしか残されていない余命に少しでも助けになるようとの支援目的で行われていると承知しております。また、被害者である私たちハルモニは本意ではなく他意によってアジア女性基金を受け取れないのであり、アジア女性基金を受け取った7名のハルモニたちもまた運動圏団体の妨害で日本から慰労金を受け取ったと、7名のハルモニたちの胸に再び釘を打つような仕打ちを私たち被害者は見てきました。

 どのような奴の差し金なのかわからないが、同じ被害者である7名のハルモニたちにも私たちと同様、3150万ウォンを支給されるよう要望します。

 私たち(の)政府の公式的立場は、金大統領が政府予算で被害者ハルモニたちに、3800万ウォンの支援金を支給するよう指示されましたが、一部の無分別な団体が権力を動員して、被害者ハルモニに対し日本のアジア女性基金を受け取ることができないよう誓約書に捺印して受け取るよう公務員に圧力をかけ、すでにアジア女性基金を受け取った7名のハルモニに対しては、日本から受け取った慰労金を日本に返還すれば韓国政府からの支援金を出すとそそのかしている状況です。

 ところで韓国政府は、日本に対し女性のためのアジア平和国民基金の慰安婦出身女性たちに対する補償金支給を中断しろと要請し、中断しない場合には韓日間の賠償問題が提起されるという意思を明らかにしたという。このようなことをどのような奴が言ったのか。外交的なあつれきで秘話とされることを憂慮し、公文の代りに口頭で立場を伝え、女性基金に慰霊塔とか記念館を設立することが望ましいと勧めた奴が誰なのか、ずたずたに引き裂いて殺したとしてもその憤怒は残るだろう。

 金大統領は私たちハルモニの立場を最もよく理解されている方だと私たちは思っており、大統領は公式、非公式であれ、被害者の立場を無視した外交はされないでしょうし、韓国には「雌鶏が鳴けば家が滅びる」という諺が古来からあり、雌鶏に驚いた無自覚な外交官の輩が過剰な忠誠を示そうとして、日本政府や「アジア平和国民基金」に被害者ハルモニに対する慰労金という本来の目的をはずさせ、まだ生きているわれわれの慰霊塔や記念館を設立させようとすることは、再び、許すことのできない罪を重ねることになるだろう。

 1965年の韓日条約は、韓国政府と日本政府が、被害者の反対を押し切り、誤った方向で推進されたため、今日まで韓日国民の感情が解けないままになっていることを、日本政府やアジア平和国民基金は忘れてはならない。

 私たちハルモニたちも、どのような団体の利用物にされないよう結束して集まりを持ち、これからはハルモニたち自らが解決を図る計画です。日本政府やアジア平和国民基金が、雌鶏の鳴き声に驚いた外交官の輩の過剰忠誠に応じるならば、われわれハルモニたちは日本断罪のため、国連は勿論のこと世界各国に日本糾弾をするようになる。そうなれば韓国国民の憤怒は一層強いものになるでしょうから、軍慰安婦、挺身隊ハルモニたちの人権と自尊心を踏みにじらないよう、日本政府、アジア平和国民基金は、被害者ハルモニたち各自の自由に任せるようお願いするものです。

 日本軍慰安婦ハルモニ一同 1998年8月15日
 

*訳・原文のまま
*韓国の元「慰安婦」たちはアジア女性基金に反対して受け取らないと伝えられる。「基金」ではなく国の補償でなければならないと運動団体が主張したいたいがために、運動としては当事者が反対していることを根拠にしようとする。 そのため「基金」を受け取ったハルモニたちや、自分が自由に選びたいと思うハルモニたちは無視され、「圧力」をかけられる。「アジア女性基金」に反対するのが正しいという「立場」や「運動」のために。

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●「慰安婦」被害者の抗議への反応

Date: Mon, 18 Sep 2000 15:53:55 +0900
Subject: [aml 19072] Re: 無視される韓国の元「慰安婦」たちの抗議
From: "KAWAMOTO  S" <kawa@jca.apc.org>

Kawamoto@TODEと申します。

先日のメール[aml19010]について、「ハルモニたちの抗議文」の紹介の仕方に、ちょっ
と気になる所がありました。読む方に、あまりサラリと頭に入れてもらうとどうもよ
ろしくないなと思い、投稿することにしました。

-- HARADA,Shinichi wrote:

> 「慰安婦」問題にかかわる運動団体などの主張の前で、
> 被害者たちの気持ち、その声が無視されがちです。ここに、韓国で
> 出された被害者たちの公開の文書を紹介します。1998年からすでに
> 「慰安婦」被害者たちの間から「運動団体にはもう利用されたくな
> い」という声が上がっていることがわかります。ようやく表に出
> た、ひとつの自由な意思表明として受け止めたいと思います。

> *韓国の元「慰安婦」たちはアジア女性基金に反対して受け取らな
> いと伝えられる。「基金」ではなく国の補償でなければならないと
> 運動団体が主張したいたいがために、運動としては当事者が反対し
> ていることを根拠にしようとする。 そのため「基金」を受け取った
> ハルモニたちや、自分が自由に選びたいと思うハルモニたちは無視
> され、「圧力」をかけられる。「アジア女性基金」に反対するのが
> 正しいという「立場」や「運動」のために。

-----kokomade//

ハルモニたちが見舞金の受け取りを希望する背後に、どんな思いがあるのだろう。
想像するに、日本政府のお墨付きでお金が渡されることは、「名誉回復」を意味する
のだと思います。彼女たちの多くはそう解釈したいし、そのような「解決」を胸に抱
いて死んで行きたい。そして何より、得たお金でこれまで世話になった家族や、誰か
のために使うことで、義理を立て、また、感謝されたい。その意味で、お金は力であ
り、彼女たちの希望をかなえる大切な道具となるものです。

基金の存在目的は「和解」を実現することです。日韓の和解、そして広くは女性であ
るがゆえに受けた被害を償うことにおいて、マイノリティとしての女性と他との和解。

しかし、見舞金の支給が、はたして本当に和解につながるのか、見解は分かれるので
はないだろうか。冒頭に述べたハルモニたちの思いに、基金が答える面もありうるけ
ど、そう考えないハルモニたちもいる。受け取る受け取らないは彼女たちの自由だ、
自由意思を尊重しよう、という議論だけで果たしてよいのだろうか。

すでに存在してしまった基金をめぐって、紹介されたような混乱が生じている。なぜ
生じるのか、について、基金を作った日本の側が考えるべきことが別にあるのではな
いか。

「日本政府は法的責任を回避している」という(日韓の)運動団体の主張は、当たっ
ていると私は思います。「法的責任」とは、ある特定の法における特定の責任のあり
方ではなく、普遍的な「公正」の原則を志向する「法」における責任。具体的には国
連人権委の日本政府への勧告として表れていると考えますが、日本政府の側も、軍隊
慰安婦の問題が日韓条約(とそれに至る日韓会談)において言及されていなかった、
という事実が「対応」の一つの(法的?)根拠となっていると見られています。
しかし、政府が始めたのは「基金」でした。

基金立ち上げに当たって交わされた「呼びかけ人」同士の議論を、伝え聞いたのを私
は覚えています。
曰く、「国家責任を明確にした補償ではないが、その時期を待っていても何時それが
実現するか分からない。今すでに高齢の彼女たちに何がしか償いをなしうるとすれば
この基金をおいてない(要約)」・・本来あるべき形ではないが、それを自分たちで
はどうしようもない、せっかく政府が腰を上げたこの基金は好機である、というわけ
です。

基金それじたいの意義は、しっかりとあると思います。「日本人有志からのお金」を
受け取るハルモニが、まやかしの償いに甘んじようとしている、などとは思わない。
忘れてならないのは、日本政府(国家)がこの問題に応じざるをえないと判断したさ
い、本来の「補償」ではなく民間「基金」を作ったということ。
経緯からして、基金が政治的色彩をおびた代物と見ることは、決して不自然ではない。
「運動団体」の主張する「基金の政治性」は、フィクションとして退けることは出来
ないと思います。

現に自治体では慰安婦の記述のある歴史教科書をめぐって反対決議が採択され、国は
戦後補償裁判での対応に見られるように、「歴史事実」についての判定を避けていま
す。そのことと「法的責任の回避」は表裏一体と思えます。アジア女性基金の支給対
象者の認定も、民間基金が行なう以上、ある「歴史事実」を国家が公式に認めた形に
はならずにすむのです。

当事者の声を封じ、意思に反する選択をさせる「圧力」があるとすれば、それ自体は
たしかに良くない。本来被害者のための運動が、運動を維持するために被害者自身の
意思を封じるといった顛倒は、「運動」が陥りやすい弱さであり、批判に価すること
だ。

ただ、メールで紹介されたような、韓国での現象を非難する資格が日本側にあるかど
うか、少し踏み止まって考えてみたいと思います。
---------

 
 

●だれが被害者なのか?

Date: Sun, 24 Sep 2000 00:45:04 +0900
Subject: [aml 19128] 誰が「慰安婦」被害者なのか? 誰が「決める」のか?
(原田)

【再送】  [aml19010]の投稿者です。「無視される韓国の元「慰安婦」たちの抗
議」に対する、メール[aml 19072] に反問と答えをしながら、再度、「慰安婦」被
害者を道具にし、多様な意見・他者を排撃する「運動」の危ない体質を指摘しておき
ます。資料として提供したことを、あえて議論に持ち込もうということのようなので、
そのように絡みついてくる、姿勢の問題をはっきりさせたいと思います。

まず、いっておきます。「アジア女性基金」にどのような意見を自分がもっていよう
と、「対応は、被害当事者が自分で決めることだ」ということです。だれもそれを非
難したり、制圧、利用してはならないし、できるものではありません。

か氏は、紹介した韓国のハルモニたち(ここでは元「慰安婦」当事者)の意思表示の
文書自体をわざと回避して、紹介文に矛先を向けあれこれいっています。素直にその
意思表明文書を読んでもらえばいいものを、主観的な「運動」にとってまずいと思っ
て、用心深く「第三者」をよそおってケチをつけようという魂胆があったのでしょう。

 ──補償でなければならないと運動団体が主張したいたいがために、運動としては
当事者が(アジア女性基金に)反対していることを根拠にしようとする。 そのため
「基金」を受け取ったハルモニたちや、自分が自由に選びたいと思うハルモニたちは
無視され、「圧力」をかけられる。「アジア女性基金」に反対するのが正しいという
「立場」や「運動」のために。
 ──だからこそこれに対してハルモニたちは、「被害者ハルモニたち各自の自由に
任せるようお願いする」と、初めて公然といっているとして、つぎの文書を紹介した
のです。
(原文のまま・訳)

----------------

抗議書簡
 日本軍慰安婦ハルモニ一同 1998年8月15日

(省略)

----------------

(この資料を提供したメールに対して「読む方に…よろしくない」と、かわもと氏が
が指摘し投稿されたので、「慰安婦」問題をめぐる被害当事者と「運動」のあり方の
問題の提起として意味があると考え、以下の反問を掲載しました。)

さて、か氏が、なぜ被害者の声を素直に読めないのか。被害者を離れ、「運動」のサ
ークル内で流通している、手前みそな「観念」が働いているからだと思います。 か
氏が、元のぼくの文に書いてもいない文言もひそかに付け加えて「かく乱」をねらう
デマ宣伝をするので、こんな小賢しい細工に対しては、あえて反問しておきます。

1.か氏は、「読む方に…サラリと頭にいれてもらうとどうもよろしくない」とチェ
ックを入れて投稿されました。自身の意見表明よりも、「読む方に…よろしくない」
などと、予め自らを高い位置を占めているかのようにして効果をねらう物言いは、す
でに人をいたずらに操作しようとする政治性がありありです。か氏の文、さっと全体
をみると、被害者たちの意思表明そのものを正面から受けとめずに、あーだこうだの
理解しにくい言語で飾りだてし、最後に、「自由な意思を尊重しようというだけでよ
いのか」と、結局、自分勝手な「運動のための運動」の側に立つ視点へ誘導しようと
いうわけです。へたくそな政治好きの「運動同伴者」のやりそうな手口です。(アジ
ア女性基金に政治性がある、などというのも、トンチンカンそのものです。政府がか
んでできたのだから政治性があるのは当たり前です。政府が謝罪し補償しろといって
もしも政府が補償するといったら、「それは政治性がある」と、か氏は非難めいてい
うのでしょうかねえ。まったくわからんちん。)

2.「抗議書簡」を紹介する意味を、ぼくははっきり述べ、その具体的な資料を提示
したのです。(1)「慰安婦」問題に関わる「運動」の主張や行動がよく伝えれるが
、「慰安婦」被害者自身が自ら意思表明した数少ない公開文であること、(2)その
内容の要点として「運動団体にはもう利用されたくない」「被害者ハルモニたち各自
の自由」だ、との意思を公然化したこと、(3)「運動団体」が被害者の代弁者とは
いえず、その主張や立場のために被害者を拘束し、まして圧力をかけることは間違い
であること。つまり、一部「慰安婦」問題関係の「原理原則ふうの運動」に対して、
「被害者を忘れていませんか」「主人公はだれなのですか」と問いかけたのです。

3.提示した資料を、なぜサラリと人に読ませてはいけないなどと考えるのか。ご自
身が「やばい」、「読みたくなかった」からでしょう。そこに動揺が見えます。その
真相を隠し、か氏自身の「立場」をあいまいにして、独断と偏見の「定説」をちりば
めてぼくの提起を挫こうとする文章をでっち上げた。しかし根拠や検証のない意見は
デマです。このテの搦手、やり口には辟易です。軽々で類型的な「口ぶり」にうんざ
りです。たとえば、トリッキーなやり口は──

4.「見舞金」という用語は、どこから仕入れたのか? 解釈(評価)なら、だれの
ものですか。それを受け取りたいと希望するハルモニにとって「名誉回復」だとか「
お金は力」だとかいっていますが、どっちだと「想像」しているのですか。想像に人
の程度が知れます。ゲスぶりが出るのです。そういう想像がすでに「押しつけ」「被
害者利用」ではないですか? 「メイヨカイフク」? ちょろい言葉を使うものじゃ
ない。

5.ぼくは「受け取る・受取らないは彼女たちの自由だ」という文言を使っていませ
んよ。それを勝手に付け加えたことで、もう、投稿が、ある種の運動ビラのコピーで
あることがわかります。その程度。そういう「議論だけで果たしてよいか」だって?
お笑いです。議論なんかしようとしてませんよ。「本人の自由だろう」という常識を
いったまでです。裏返すと、被害当事者を自由にさせてよいか・締めつけるべきかな
どとという議論をあなたたたちはやっているのですね? 「基金をめぐって紹介され
たような混乱が生じている」? 混乱などでなく、れきとした意見表明ですよ。違う
意見や受け止め方を「混乱」と断じるとき、あなたが対置しているのは「被害者・運
動は一枚岩の考えであるべき」だという、思想統制・権力思想ですよ。

6.「法的責任」によほど抽象的な定義をひねっていますが、中坊公平弁護士のいう
ように、「法律なんて持ち出すのは最後、法律なんて最低の次元の決めごと」と思い
ます。いま自分がみて、「おかしい、間違いだ」と思うことから、さて「慰安婦」問
題に何ができるか。裁判所では「実定法」「慣習法」によって争うほかない。法律専
門家の力を借りるほかない。「国連人権委の勧告」に表れているのが「法的責任」で
すか。…わかりませんねえ。勧告だとは「運動」も最近はいわなくなっていますよ。
そんなによそに「慰安婦」問題の解決を頼らず、法律論に埋没せず、こねくり回さず、
素人なりに「自己責任」で考え・行動しましょうよ。外圧、黒船、正義の味方待望も
いいですが、「慰安婦」被害者にどんな答えを出すのか、出せるのか。いまの政治的・
社会的実態にこそ、「自分の責任」があると思われませんか。

7.一応「当事者の声を封じ、意思に反する選択をさせる「圧力」があるとすれば、
それはたしかに良くない」とあなたは書いています。「たしかに良くない」ことなら、
よくない、間違いだとしっかりいうことです。どうして、「韓国での現象を非難する
資格が日本側にあるかどうか」となるのですか。おためごかしの「理解者」気取りは
止めてください。韓国でも日本でも、よくないと思うなら、そういい・行動すること
です。あなたのそばの「運動」に同じ体質がしみ込んでいますから。ぼくは「被害者
を拘束したり圧力をかけることは間違いだ」と思う、だから「自分で決める」という
被害者の声もたしかにあると、資料を紹介したのです。「被害者のため」がいつの間
にか「運動の主張=絶対正義」となって、被害者さえ「運動の都合」で敵にする。権
力と結びついたらヒトラーやスターリンと同次元の思考・体質じゃないですか。
資料や情報をふまえて、意見をいい、討論することが最低のルールです。運動内や近
辺でちょっと異議ふうのものをいえば混乱させたとか、資格がどうだとかいう思考か
ら発して、ついには隣人・内部攻撃に走り、揚げ句に自滅していった運動がどれほど
あったか!

8.ぼくは韓国の元「慰安婦」、元日本軍人・軍属、遺族の「戦後補償裁判」にかか
わって約10年になります。「慰安婦」訴訟の最初で、まだ判決が出ていません。その
原告元「慰安婦」らがアジア女性基金を申請し受け取ることも支持してきました。戦
後補償は、戦後責任によってぼくらが進める課題です。革命的に変えるのだと思って
いる連中ほど、具体的な提案も交渉もしない。漸進的にできる政策を最大限引きだす、
被害者が選択する、それも課題に対するアプローチです。「抗議書簡」を紹介する投
稿でも氏名と個人ホ鐐萓嫻ぁ廚亮茲衒とは何でしょう。すんでいないと いわれるなら、それは戦後日本でなぜできなかったのでしょう。加賀谷さんはいつから、どのように「戦争責任」を国家にとれといってきたのでしょうか、お聞きしま す。また「かわし」たり「逃げ」たりさせない力は、加賀谷さんはおもちですか。
 

> 「国民基金」の設立以来、被害者の高齢化と死去に加えて、政府による強引な
>「償い金」の押しつけや、国家間の「政治的判断」に振り回され、支援者や被害者
>の間にいろいろな亀裂や摩擦も起こりました。これは性奴隷問題に限らず、公害問
>題、原発問題など様々な取り組みの中でも、無責任な政府の姿勢に対する、やり場
>のない怒りや苦しみがより弱い立場にむけられるという二重の人権侵害が起きてき
>ています。しかし私たちはそれらにひるむことなく、幾度も乗り越えて人権意識を
>高めてきました。
> いま私たちが猛省しなければならないのは、それらを誘発した元凶である「国民
>基金」の責任問題を十分に追求してこなかったことです。

質問3)
政府による強引な「償い金」の押しつけ、という事例、根拠となる事実、証言などを お示しください。
また、公害問題や原発問題…も、元凶は「国民基金」・アジア女性基金ですか? どのように?
「基金」は突然「できた」のではありません。「基金」設立への過程で加賀谷さんは どのような関わりをしてこられたのですか?

質問4)
渦中の当事者、被害者に対しては、加賀谷さんはどのような「答え」を出したのでしょうか。そっちはともかく、目的はご自分の人権意識を高めることですか?
アジア女性基金を少なくとも170人の当事者が選択して受け取り、なお彼女らは裁判 を継続し、他の運動にも参加しているという実態を、どのように評価するのでしょう か。
 

> 大臣や官僚たちが、率先していくばくかの募金をするというも、戦争の世紀に起
>きた問題を、解決できないと、自ら無能を吐露したものといえます。
> 「国家国民のため、しかたがなかった」という理由では、加害責任が許される時
>代ではなくなりつつあることは、企業のほうがよく認識しているようです。戦争責
>任に関する裁判での、100%の勝利は既に不可能となり、情報公開のすすむ中
>で、唯一の証人となるべき国は、「国体護持」を優先し、国策に従っただけと主張
>する企業の助けにはならず、裁判費用に見合った企業の利益もイメージアップもは
>や望めなくなっています。それならば政府もすなる「基金」で決まりをつけた方が
>ましというのが、日本に限らず企業側の判断となってきています。
> 「国民基金」での解決は、最高責任機関である政府と、それに寄生する企業の戦
>争責任を永久に免責しかねません。
 

質問5)
国家や企業の責任をいま加賀谷さんはどのように問い、いつごろ問題の「解決」をす るメドをもっておられるのか、お聞きしたい。また、政府や企業(の言動)につい て、加賀谷さんにはまったく責任の一端もないといわれるのでしょうか。
ひるがえって、「慰安婦」制度・利用、そして戦後補償をしてこなかった件で、国民 ・個人も「国家国民のため、仕方がなかった」といって免責されなくなっているとい う認識ですか。「基金」批判のお立場から、「慰安婦」問題についての国家と国民の 「責任」についてお考えを提示してください。
 

>11月29日 「国民基金」は、都内で事業報告会を開き、今年9月から募金キャン
>ペーンを実施し、3カ月間で約2000万円の善意が寄せられたと報告。
>12月1日 民主、共産、社民3党共同提案の「国立国会図書館法の一部を改正する
>法律案」(恒久平和調査局設置法)が、衆議院で継続審議になる。
>12月8日〜12日 東京で「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」開催
 

質問6)
民主党「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」は12月、廃案になり ました。運動の大きな課題としてきたはずですが、廃案の事実はあえて抜かしたので すか。
その法律案の内容は「国家の補償」を明記していません。裁判などで主張された「国 の法的責任」も明示していません。そこまで妥協した法律案でも、なお、国会で通す 多数派をつくれていません。民主党法律案は、本岡議員がいうように、法律案提出の 実態は「アジア女性基金を否定しない。実行上はアジア女性基金でよいのだ」。それ も廃案。

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以下は、ぼくの見方として付け加えます。
加賀谷さんは、「女性戦犯国際法廷」の推進者として名を連ねました。その報告案か発言資料として意見を述べ、あわせてサイトや新聞DBなどを集めた長文をメールと して流したようです。引用した共同通信は同じ一連の記事で、田中宏教授が「アジア 女性基金を発展的に改組する」現実的提案をしていますね。いろいろと不都合な資料 は削って構成しているようです。

国家に責任あり。これにぼくも異議はありません。10年以上前に定立し、そこから戦後責任・戦後補償をどう決着・実現させていくかを、活動ではさぐりつづけてきまし た。違法・不法、責任を認めさせても、被害者個人に「補償」「賠償」させるのがま た難問であることは一連の司法判断でもわかります。いくら主観を、「正義と思う」 意見をぶつけ、指弾しても、力関係はやはり客観的に分析しないと妄動になります。主観に酔って他を批判するだけ、ただいらだつ感情で走ると、「鉄砲の革命、正義と 自称する小集団の権力化→反対派抑圧」の歴史を繰り返すことになります。

当事者・被害者が、アジア女性基金を受け止めたいといいだすときは、せめて「人権 意識を高めてきた」加賀谷さんは、それを周りが・運動が、抑圧したり攻撃すべきで はなく被害者の意思を第一にして、運動は運動として展開していくという立場を公言 していただきたいものです。
都合のいいときだけ「被害者」をもちあげ、元「慰安婦」でも「基金」を受け取れば 「自ら行った売春婦になる」となじるような運動は止めたいものです。

自分の運動が正義でありそのためと称する「イデオロギー」で他を拒否し・非難する だけ…。だからこそ事実や根拠も提示できない「意見」になってしまうのではないか と思いますが。
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●「法廷」と被害者の意思

Date: Mon, 29 Jan 2001 00:20:34 +0900
Subject: [aml 20749] 「女性国際戦犯法廷」で封印?(原田)
 

どなたか、教えてください。

12月、東京都内で開かれた「女性国際戦犯法廷」開催中に、インドネシアから参加し たイブ(元「慰安婦」被害証言者)が、「アジア女性基金(「償い金」など)を受け 取りたい」と発言したと伝え聞きますが、まだそのような事実は主催者等から一切明 かされていません。だれかに、なにかの理由で、被害者の意志が封印されたのでしょ うか?

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●報告を

Date: Fri, 02 Feb 2001 15:10:47 +0900
Subject: [aml 20801] Re: 「女性国際戦犯法廷」とインドネシアのイブ
 

三輪といいます。

[aml 20750] ではらださんから投稿のあったインドネシアの元「慰安婦」被害証言者
に関する質問がとても気にかかっています。
この点について、個人メールか何かで回答があったのでしょうか?

「アジア女性基金」に問題が多々あったとしても、
被害者には「基金」を受け取る権利があります。
何よりも優先され、かつ尊重されなければならないのは、個々の被害者の意思だと思
います。

もし、この件についてすでに決着がついているのでしたら、報告いただければ幸いで
す。
 
 

●答えないVAWW-NET JAPAN

Feb 2001 23:40:34 +0900
Subject: [aml 20827] Re: 「女性国際戦犯法廷」とインドネシアのイブ(原田)
 

三輪さん、そしてみなさん。

「法廷」でインドネシアの「慰安婦」被害者たちから、アジア女性基金を受け取りた いとの発言があったのかどうかを問う投稿に、現在まで、主催者、運営委員らから直接に答えがありません。そういう発言(意思表示)があったという伝聞の事実につい て「確かですか」と聞いたのですが。(確認したいので。)

先の質問は、被害者への課題解決にとって「法廷」は何をもたらしたのか──とい う、お互いのための問いかけであることを理解していただきたいと思います。

投稿盛んな「前田さん」「加賀谷さん」も積極的に「法廷」にかかわっているはずで すが、どうなのでしょう。加賀谷さんは、意見をのべたその根拠となる事実提示を求 めても答えない。つまり根拠がない意見ですねと念を押したことは、過去の投稿の通 りです。

「実はこの問題の広がりと深刻さをまだまだ理解していなかったのだということを思 い知らされました。そして、被害者・生存者の被害、苦痛、苦悩も、きわめて表層し か理解していないこと、追体験などできないことを思い知らされました。」(前田 氏)
という「法廷」感想には、おどろかされました。素直な「無垢」ぶりに。
まあ、そんな「発見」も「法廷」は、もたらしたようです。

いずれにしても独自にインドネシアその他の被害者たちの受け止め方などについて取材して、情報としてできるかぎり公開したいと思っております。
 
 

●インドネシア「代表」日本人からの回答について(一部公開)

Sun, 18 Mar 2001 03:05:04 +0900 (JST)
Date: Sun, 18 Mar 2001 03:03:15

はらだ、です。

女性国際戦犯法廷で、インドネシアの元「慰安婦」とされる女性たちから、アジア女
性基金を受け取りたいとの発言があったと聞いたので、確かかどうか答えを期待して
ここに掲げたのですが、答えは沈黙でした。主催のVAWW-NET JAPANあるいは、参加者
からも一向に答えがありませんでした。

「被害者が主役」「法廷の権威は彼女たちによっている」などという割りに、「慰安
婦」被害者の言動に、無頓着な傾向があるようです。

代わって、インドネシアの「代表の一人」となのる日本人から個人宛メールが来まし
た。それによると、アジア女性基金を受け取りたいとの「発言」はなく、それどころ
か「行動」があったということ(受け止め方)です。
その事態について、支援者が自ら口を「封印」したのだという説明です。当事者の意
思を最大限尊重する、行動したことには口を閉ざす、アジア女性基金は「非道徳の善
意」…とつづくのですが、やや理解しにくい「文」と思えました。

ご本人がある意味で正直にお答えくれたことに感謝し、一方的な仁義によって氏名も
伏せてごく主旨の部分だけを公開します。

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To: <kj8899@zephyr.dti.ne.jp>
Cc:"VAWW-NETJapan"<vawwjs@jca.apc.org>,"VAWW-NETJapan"<vaww-net-japan@jca.ax
.apc.org>
Subject: ご質問に対する答え

インドネシアの代表のひとりとして法廷に参加したのであなたの質問にお答えします。
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質問主旨 「女性国際戦犯法廷」開催中に、インドネシアから参加した元「慰安婦」
被害証言者が、「アジア女性基金(「償い金」など)を受け取りたい」と発言したと
伝え聞きますが一切明かされていません。被害者の意志が封印されたのでしょうか?
 主催者、参加者にうかがいます。
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答え: 「発言した」事実はありません。「発言」ではなく、行動にでたのです。
…この事件を聞いたわたしの知る良心ある日本人はみな、日本の市民運動の貧しさと
弱さを知らされて打ちのめされ、黙したのです。支援者が自らの口を「封印した」の
であって、「被害者の意志が封印された」のではありません。

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質問主旨 議論があったとも聞いていますが。
-------------------
答え: …何しろ国民基金の誘いをめぐる対立は大変センサティヴですから外国人の
口出しは慎重にならざるを得ないのです。…意見の対立があるのです。…これは課題
がひろく社会化されるときに起こる問題です。

-------------------
さらにメールのやりとりから

(返事):
インドネシアの被害者が言う「腹を空かした馬の前に人参をぶら下げるようなことを
する」日本政府の横暴を結果として許しつづける市民運動の貧しさと弱さを自覚して
いるが故、また被害者たちに「恥をしのんでも国民基金の金を貰いたいと」言わせる
(これは彼女たちに対する多重レイプです)日本人のひとりとして(「事件」につい
て)黙る以外に仕方がなかったのであると、わたしは解釈しています。
アジアの民衆の視点から見ても、国民基金は非道徳の善意です。…

私たちの(運動体)…では、「被害者の意思を最大限尊重」することが基本です。し
たがって、現日本政府の責任回避政策を幇助するいかなる思想・行動とも袂を分かつ
方針で運動しています。

(はらだへの返答について)誰からの依頼もありません。…ご(ど)こまでその無責
任さを自覚しているかを確認したくて、あなたの詰問調の質問文を読んだ後、誰にも
相談せず、即座にわたしが返信したのです。

「基金」という同一対象に対して矛盾するふたつの感情または価値をもつ精神状態に
ある被害者のアンビバレンスを踏まえた質問であるとは思えません。

この書簡の複写をVAWW−NET Japanに送ります。ご承知置きください。

**********

キツネにつままれたような、禅問答のような答えに首をひねっています。被害者の意
思尊重といいながら、なぜこんなに苦悩に満ちた文章になるのか解せないのです。
この答えの主に、わざわざ当方の質問メールを転送して、またこの方の答えのメール
や複写を手にした方の「わかりやすい解説」をおねがいしたいと思います。(Ccで打
たれたメールですから。)

アジア女性基金が立派な解決であると思っていないという前提で、少しでも「基金」
に理解したり近寄った被害者にがく然、びっくりするような「支援運動」に、ナイー
ブというより傲慢さを感じます。

川田文子さんから直接、「基金で被害者の尊厳が回復すると思いますか!」と詰めら
れたことがあります。熱心さのあまりとはいえ、「支援運動」の思い違い、傲慢さし
か感じません。政府、国家の個人補償の道を開いて聞くことは運動の責任。だからと
いって被害者の意思や行動をしばるのが正義とはならないでしょう。実際、韓国では、
基金を受け取ったものを挺対協関係者らがいじめています。

わからないこと──。

○被害者中心ということと、被害者の行動に打ちのめされ…という脈絡がわからない。
○被害者がこういう行動をしたとして、それを衝撃、事件という受け止め方自体に、
「被害者の意思を最大限尊重」する姿勢の真贋が問われないか。
○「責任者処罰」こそが大事、それを被害者も望み、歓迎したという「女性法廷」で
被害者たちが見せた行動こそ対比的に思える。
○だれも押し付けはできない。あれこれの「運動」の理屈で解釈、解説するより、被
害者たちの言動に「選択意思」を素直にみることができないのか。
○「基金」を受け取るような行動が衝撃となり、事件となるような、そんな運動自身
が問い直されるのではないか。解決とはカネだけではないし、カネが無意味だと他人
がいうことでもないはず。
○カネだとかニンジンだとかことさらいう立場には、裏返しの「カネに弱い」という
カネ信仰と被害者差別があるのではないか。
○沈黙と不処罰の解消、解決をめざした「法廷」は、被害者の行動に「沈黙」し、被
害者の意思を運動から勝手に解釈するという「罪」への不処罰問題を残しはしていな
いか。