韓国人元日本軍人・軍属の未払給与の供託金

 

215人、25億円還付交渉 (2000)
 

 韓国・太平洋戦争犠牲者遺族会は2月1日午後、法務省を訪れ、元日本軍人・軍属の未払給与の供託金の還付を請求し、担当者と交渉した。日本の戦後責任をハッキリさせる会が同行した。
 当初、厚生省からの回答通り、供託場所である東京法務局を相手に訪問しようと予定していたが、法務省が担当課に来るように指定したため、急きょ法務省となった。
 来日した韓国・遺族会の会員ら20人、裁判の代理人・林和男弁護士、ハッキリ会関係者をふくめ30人ほどが会議室に入室。法務省側からは補佐官ら2人が応対した。
 申し入れは以下の通り。2000.2.
 

供託金還付の申し入れ

法務省御中

(韓国)社団法人 太平洋戦争犠牲者遺族会
  名誉会長  梁 順 任
  会長    金 鍾 大
 日本の戦後責任をハッキリさせる会
  代表    臼杵 敬子
  連絡先 東京都渋谷区渋谷2-7-9パル 青山301
  電話03-5466-0692 ファクス03-5466-0786
 

旧日本軍軍人・軍属等の「未払給与」の供託に伴う
「供託金」の還付請求

1.旧日本軍軍人・軍属(韓国在住・韓国人)の未払給与の供託事実確認
 上記未払給与について厚生省(社会援護局)に照会したところ、それが供託されている事実を確認し、供託場所は東京法務局であると、同省より文書で回答された。
 この供託の事実を、改めて確認していただきたい。
2.当該未払給与の供託金還付請求
 貴局に当該供託金が供託されていることが確認されたことにより、当該者は、その支払い(還付)を請求する。
 還付のため所要の手続きを経次第、還付することを確認していただきたい。
 

 韓国・太平洋戦争犠牲者遺族会金会長から、この文書により、当然に払い戻しを求めたいと申し入れた。これに対して法務省補佐官からは、「供託金は権利者の請求は、法令に従った書面によって供託官が審査する。戦後補償に関係する供託金について、この場で返還するか否かをお答えする権限がない。現に裁判で争われていることでもある」との話があった。
 同行した林弁護士から、時効について進行しないように指示したかどうか(1)時効処理の有無、(2)還付請求についての対応方を(法務局担当に)指示回答をしたことがあるか否かについて調べて答えてもらいたいと求めた。担当官は、「しっかり調べ勉強してお答えしたい」と述べ、今後の面談交渉を約束した。

確認215人で約25億円

 この申し入れついて「朝日新聞」は1月31日の夕刊、2月1日朝刊で報じた。すでに一次分として確認された人数は215人、合計32万3772円。これは物価換算して約25億円となる。1951年から53年に引揚援護局(現厚生省)が供託手続きしたもので、厚生省によると朝鮮半島出身者は11万人、総額9000万円にのぼる。