靖国訴訟に「棄却」判決

【報道引用】 靖国違憲訴訟に判決。棄却ながら、原告の心情を「理解できないわけではない」。
   この提訴で、韓国・社団法人太平洋戦争犠牲者遺族会から大挙、原告に。2005.4
 

2005年04月26日、共同通信
靖国参拝「権利侵害ない」 東京地裁、憲法判断せず
 小泉純一郎首相と石原慎太郎東京都知事の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反するとして、参拝に反対する市民や韓国人計約1000人が国などに慰謝料と参拝差し止めなどを求めた訴訟の判決で東京地裁は26日、原告の訴えを退けた。
柴田寛之裁判長は判決理由で「原告らに信教の自由を根拠とする人格権があったとしても、法的に保障されるものではなく、参拝による権利侵害は認められない」と指摘。合憲・違憲の判断はせず、参拝の性格が公的か私的かについても触れなかった。
 一方で柴田裁判長は「公私の区別をあいまいにしたまま参拝にこだわる首相らの言動は、過去の侵略戦争を肯定するメッセージと原告らが受け止めたことは理解できる」と付け加えた。
 原告側は控訴する方針。

共同通信
 大阪、松山など6地裁で2000人以上が原告となった靖国参拝訴訟では最後の地裁判決。これまでの判決で請求はいずれも棄却されたが、昨年4月の福岡地裁判決は首相の参拝を違憲と判断し、確定している。
小泉首相は就任前の「公約」に基づき2001年8月13日、現職首相としては5年ぶりに靖国神社を参拝した。

2005年04月26日、読売新聞
首相らの靖国参拝巡る政教分離訴訟、原告が敗訴

 2001年8月の小泉首相と石原慎太郎・東京都知事の靖国神社参拝は、国の宗教的活動を禁じた憲法に違反するとして、東京都の住民や、親族が合祀(ごうし)された韓国人など計1048人が、小泉首相と石原知事、国と都に対し、1人当たり3万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。
 柴田寛之裁判長は「信教の自由が侵害されたとはいえない」と述べ、請求を棄却した。参拝の違憲確認を求めた訴えは却下した。
 判決は、小泉首相らの参拝について、「原告に宗教行為を強制していない」と述べ、違法ではないと判断。「徴兵されて戦死した親族が靖国神社に合祀(ごうし)されたのは不名誉だ」とする韓国人の主張については、「心情は理解できないではない」と述べたが、「名誉を侵害したとはいえない」と判断した。