かなり 実録 バレー部物語

・システム変更

全国大会では決勝トーナメントで2勝を上げていない。1989年初頭、自ずと目標は2勝に相当する“ベスト16”に設定された。
「5枚か6枚か・・・全国上位を目指すなら6枚だ」
現在の東北リコーは5枚ブロック。攻撃時はHCも参加してセッターを含む6枚攻撃になるが、トップクラスはブロックも攻撃も6枚が主流、どうしてもマークが遅れて簡単に決められてしまう場面がある。
「サーブレシーブ、フェイントフォローと時間差攻撃を担当しているハーフセンターにはブロックまで参加してもらうことになる。しかしこれができねば上位進出など到底不可能だ」
当然、フォローは他のポジションの選手が行う。今までのような“後ろ任せ”にはできなくなり、より素早い動きと意識改革が要求された。

フォーメーションをセンターラインの強化にシフト、威力のある速攻が武器の中村がセンター(FL)に入り、センターの岡崎がライト(HR)、ライトの佐藤がレフト(HL)に回ることになった。
佐藤はどちらかというとオープンタイプだが、長身とパワーを生かすにはレフトが最適、速さはセンターからライトで受け持つようになる。

また、新主将の大沢がキャプテンシーを早くも発揮、持ち前のバイタリティで部員を引っ張る。ポジションの変更があっても体育館施設のおかげで仕上がりはどこよりも早く、昨年同様に出足好調の東北リコー、春先の大会は絶対の自信があった。
それを裏付けるかのごとく、実業団県予選では2回戦でアルプス電気涌谷、準決勝でNTT宮城、決勝でアルプス電気古川と実業団3強を全てフルセットながら倒し、2連覇を達成した。

「もはや敵はあそこだけだ」。昨年の雪辱を晴らすべく挑んだ国体予選、しかし宮城クラブと対戦する前にアルプス電気古川に完敗してしまう。
6枚ブロックはまだ諸刃の剣。守勢に回ったときに弱さをさらけ出してしまった。

((( Idle Talk )))
レギュラー9人には血液型にA型がいない。選手全員(15人)を見ても1人だけだ。良いか悪いかは別にして、これで東北リコーのイメージがちょっとはお分かりいただけるだろうか。


・粘り弱さ

全日本実業団
対香川県庁戦、気合いを入れて第2セットへ。=笠松運動公園体育館
実業団全国大会、予選は香川県庁相手に怒濤の攻撃。中村、尾形の定番コンビに加え、両サイドも好調。第2セットはバックで出場した新人の岩渕も無難にこなし、予選を一発でクリアした。

決勝トーナメントの組合せは予選終了後に行われる。その夜、監督の菊地が代表者会議から戻ってきた。にっこりとした顔に何故か哀愁が漂う。それを即座に感じ取った部員達。まさか?
「スマン・・・」「ふじつうだああ!」「1回戦で当たんなくても・・・」
弱小チームはクジ運まで弱いものなのか。しかし決まったからには全力でぶつかるしかない。

対富士通第1セットは健闘した。相手が手を抜いていたかどうかは関係ない。とにかく必死でボールを追う。中盤までは互角の戦いだ。
だが、ここからが違う。ミスにつけ込まれて、あっという間に連続失点。第2セットはぱったりと足が止まってしまい、厚い壁にはじき返される無念さを味わった。
「諦めが早い、粘り強さがない。選手は頑張っているが、はたから見ると急に体のキレがなくなるのが分かる」

◇  ◇  ◇

総合県予選は昨年と同様な展開。覇気が感じられぬまま、準決勝で古川クラブにスキを突かれた。
「タフさがない。まだまだ揉まれないとダメだ」。全国大会には出場できるレベルになったが出場し続ける力までは付いていない。県で無敵にならなくては上位進出など夢の又夢である。

((( Idle Talk )))
秋の柴田町大会、OB中心のメンバーに現役が助っ人で入るという感じで試合は行われた。
しかし大会後半、疲れの見えるOBから、ほとんどが現役選手で対応した試合は第2セット、打ったサーブが返ってこない、返ってきてもチャンスボールで、なんと21−0という珍事が起こってしまった。ファーストサーバー・岡崎も特に強く打っているわけではないのだが・・・これはラリーポイント制としては、なかなかできないこと。
いやはや何とも・・・