かなり 実録 バレー部物語

・強化リーグ

宮城県では無敵でも全国となると、いいとこトーナメント1勝止まり。更なるレベルアップのため1991年3月、初めての遠征を行う。
茨城で開催された強化練習会。1989年、茨城での全日本実業団でお世話になったのがきっかけで、今回幸運にも誘いがあった。
笠松運動公園体育館まで5時間かけての移動ではあったが、関東まで遠征しないことには強いチームと戦うことはできない。
全国常連のチームが集まっての練習試合、富士通小山(栃木)、動燃東海(茨城)、常澄クラブ(茨城)等と互角以上の試合をし、有意義な2日間となる。

4月、5月とJTクラブ山形と練習試合を行うが簡単にあしらわれるような内容、しかし遠征無しで強化可能なのはありがたいこと。これら成果は他チームとの練習試合で現れた。以前より1点が簡単に取れる・・・・自信を深めて挑む都市対抗、実業団の県予選は見事に突破、全国大会のシーズンを迎えた。

((( Idle Talk )))
ゴールデンウィークは恒例のリコー厚木との交流試合。今回は厚木バレー部創部20周年記念ということで、懇親会も熱海のホテルで盛大に行われた。
当然の事ながら過剰な盛り上がりを見せ、手が付けられない。ホテル備品の和太鼓の皮面がなぜか破れていた、いや破ったのか・・・挙げ句の果ては担架みたいなのに乗せられる者まで現れた。そのパワー、試合に使いましょう。


・3番クジ

全日本都市対抗
小野を中心とするコンビバレーを展開。=対北海道電力戦
全日本都市対抗、1回戦の相手は北海道電力。やはり東北のチームとして北海道・東北勢には負けたくない気持ちがある。
勝たなきゃいけないという気持ちか、勝って当たり前という気持ちか・・・動きが悪く、相手のリズムに合わせてしまい、第1セットをデュースの末に落とす。
ようやく調子が上がってきた第2セットは持ち前のコンビが爆発、フルセットにもつれ込む。第3セットは常にリードする展開、尾形の時間差がブロックを見事に抜いていく。どうにか勝ち上がることができた。

暑さか冷や汗か?味方が心配するほど中村のユニフォームからは大量の汗がしたたり落ちていた。「体質ですかね?」。これではコートに水でもまいているかのような危険さだ。
「味方を倒してどうするんだよ(笑)」。プレー間の度に床を拭くようではリズムなんてあったもんじゃない。

2回戦は強豪・第4シードの三菱電機(兵庫)との対戦となった。
第1セット、相手の攻守に翻弄される。シードを意識しすぎたか最初から後手々々、キッチリした攻撃まで展開できない。ダブルスコアで落とす。
第2セットは粘った。中村、大沢のA・Cに絡めての時間差がうまく回り中盤で逆転。もしや?と思わせたが、相手は徐々に対応し始める。隙のないブロック、的確なレシーブで決して慌てたそぶりを見せない。
三菱電機は速攻と熟練したプレーで再逆転、そうなると東北リコーが慌てだし、プレーが空回りする。そのまま逃げ切られ、またしても2回戦突破はならなかった。

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7月7日の国体県予選、小野、岩渕、佐藤、中村が次々と足をつるというアクシデント。「ここで負けるわけにはいかない」。日東電工、アルプス電気涌谷、古川排球クラブ、アルプス電気角田と苦しくも撃破、東北総体出場を決める。

全日本実業団
予選を快勝、意気上がる。=鹿児島県総合体育センター体育館
そして桜島を望む鹿児島での全日本実業団、毎度お決まりではあるが、「暑い!」 まるで刺すような暑さだ。しかし予選は絶好調、コンビが面白いように決まる。そして・・・決勝トーナメント表を見てうなった。「また3番クジかよ・・・」
決勝トーナメント表は左上からNo.が振ってある。1番は第1シードとなり、2番、3番の勝者と対戦する。つまり1回勝つと次は強豪シード勢に当たるような組合せを最悪の意味を込めて“3番クジ”と呼ぶようになっていた。
ここ数年、9人制ではトップクラスと言われる富士通、住友電工、三菱電機と立て続けに対戦したイメージが強く、またベスト16という目標になかなか到達できない苦しさを表していた。
1回戦を勝ち抜くと第2シード・住友電工と当たる。「だから、まず1回戦だろ?」 そう、昨年の二の舞だけはまっぴらゴメンだ。

1回戦は、接戦ながらも終盤で確実なプレーを見せる東北リコーが松下電器エアコン(滋賀)を退け、2回戦へ進む。 そして住友電工との対戦。昨年の終盤みたいな内容ならば決して引けは取らないはず。
しかし相手は東北リコーの生命線であるセンターラインをしっかりマーク、着実に加点していく。強力サーブに押されっぱなし、今回はいいところ無く敗れた。


・大敗

東北総体は青森市で行われた。東北リコーは予選リーグを勝ち抜き、2年連続してJTクラブ山形との決勝戦となった。
山形は翌年の地元国体へ向け、強化の真っ最中、絶対有利なのは間違いない。“かないそうもない”という気持ちを押し殺し、東北王者に立ち向かう。

出だしから山形は圧倒、気迫に押されてミスを繰り返す東北リコーに容赦なく襲いかかる。
昨年のようなスキは全く見せず、2セット合わせてたったの14点。屈辱的な完敗となった。まさしく手も足も出ない状態、“あわよくば”などという思いは甘かった。

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総合県予選は2年連続県予選全制覇がかかっていたが、東北総体惨敗の影響か? 決勝第1セットを逆転されると第2セットを取り返すのがやっと、流れを引き戻せずに敗れ、惜しくも全国大会出場を逃す。
東北リコー 1(20−22、21−17、15−21)2 古川排球クラブ

苦しく厳しい1年が終わる。強くなっているのか弱いのか、強化の成果は本当に上がっているのか・・・