かなり 実録 バレー部物語

・上昇気流

国体予選が終わって開き直ったか、総合県予選は快進撃で優勝、女子も初優勝を成し遂げ1983年実業団以来のアベック優勝を果たす。
男子
東北リコー 2(21−18、21−12)0 アルプス電気角田
女子
東北リコー 2(21−14、17−21、21−3)1 アルプス電気角田


総合宮城県予選


総合県予選優勝。男子は神奈川、女子は熊本へ!

全日本総合女子
記念すべき勝利を挙げた女子チーム、堂々の入場行進。=熊本市総合体育館
男子の1週間前に行われた全日本総合女子、東北リコーは予選を突破して全国大会初勝利という輝かしい1勝を挙げた。
「女子は調子がいいな・・・県で勝てるようになって自信がついたのか。あまり選手は感じていないだろうが、以前とは動きが違う」
今は勝って得るものの方が大きかったってわけだ。..さあ、次は男子の番だ..といきたいところ。

バレー部全体の気運が上昇傾向にある。そのいい流れをもらい、今年最後の大会に挑む。

・目標クリア

全日本総合男子開催数週間前、決定した予選組合せを見るなり、「オレ等は噛ませ犬か?」。冗談半分に叫びながらも目は血走っていた。
開催地は神奈川県平塚市。予選の相手はその地元神奈川県のチームだ。
組合せは公平なのだろうが、“地元は必ず勝てるような相手と組む”というイメージがあっただけに、「東北リコー組み易し」と思われたような気がしたのだ。
しかし、ここは東北リコーにとっても有利な地。なぜなら交流会で切磋琢磨しているリコー厚木とは目と鼻の先なのである。多くの応援・激励で選手も燃えた。
「こんな心強いことはない。いっちょうやったるぜ!」

試合はFL中村の速攻からHR岡崎の強打で一気に盛り上がり、理想的なコンビバレーが展開された。いつになく集中力があり、第2セットは多少粘られたものの、ほぼ完勝といってもいい内容で予選を突破した。

そして問題の決勝トーナメント組合せは・・・・クジを引いた植田がニヤリと笑う。No.は32、「シードのブロックじゃないぞ!」
久々に恵まれたこの時こそチャンス、相手は決して弱くはないが、これを生かせないようではベスト16の目標など達成不可能だ。ただし、東北総体ではそういうチャンスを生かせなかっただけに、選手の精神状態はどうなっているか・・・

◇  ◇  ◇

試合は2回戦からスタート、これに勝てばもうベスト16だ。
松下電子工業(京都)戦、第1セットを簡単に取った東北リコーだが、第2セットは反撃に遭い、接戦の末に落としてしまう。
これはいつもなら気落ちして負けパターンである。しかし第3セット、こちらがミスする前に相手がミスしてくれた。いける!これで息を吹き返した東北リコーは相手が立て直す前にコンビでリズムを作り、中村、大沢の速攻が要所々々で決まって終始攻め続け、3回戦進出を決めた。


・8強!

3回戦は大学生(日体大クラブA)が相手。「おおお〜っ 打つなあ」練習からその若々しいスパイクに圧倒される。もちろん、東京代表だけに弱いわけがない。こっちが経験を生かした9人制のプレーをいかに出せるかが勝負の分かれ目だ。

第1セットは日体大クラブ、センターの速攻に手こずり対処しきれず奪われたが、徐々に調子が上がってきた東北リコーは、第2セットブロックが決まり始め、相手が弱気に打ってきたところを見逃さずに切り返して、大沢のCクイックが炸裂。中央が決まり出すと東北リコーの必勝パターンだ。接戦で奪い返し、第3セットにもつれ込んだ。

全日本総合
見事、ベスト8進出を果たす。=平塚市総合体育館
両者がっぷり四つに組んだ試合は13−13から岩渕の時間差と佐藤の強打で18−14と抜け出したが、日体大エースに立て続けに決められ追い上げられる。しかし終盤、相手攻撃がアウトになったのを機に一歩抜けだした東北リコーがそのまま押し切った。
「やっっっっったあああ!」コートを駆けめぐる選手たち。
その瞬間、最終日に駒を進めると共に、目標としていたベスト16を通り越してバレー部創部以来初の全国ベスト8以上が確定した。

“全国では格下”という気持ちがチャレンジ精神となって良い方向に回転したのだろう。動きが硬かった東北総体とは雲泥の差だ。
フルセットという厳しいゲームでも最後まで持ち味を発揮できたことに成長の跡が伺える。強いチームと対戦し続けたことが報われたのか・・・

「エイトだよエイト!」。その夜、部員は満面の笑顔に溢れていた。もちろん明日も試合がある。しかし、このうれしさは隠すことができない。
そして明日の相手は・・・5年前、決勝で9人制の凄さを見せつけられた、あの沖縄銀行だ。4強と言われる強豪と戦ってきたが、唯一試合をしていなかった沖銀とついに対戦の機会を得た。

◇  ◇  ◇

準々決勝、出だしから沖縄銀行が猛攻をかける。というか、東北リコーがミスを連発、決めて下さいとばかりにチャンスボールを相手コートに返す。実力に差があるのに最初から大きくリードされては為す術無し、準々決勝以降が勝負と見るチームと準々決勝で満足したチームの差は歴然だ。全くエンジンがかからないまま、第1セットを落とす。

第2セットも終始劣勢、サーブカットが安定しないため、得意のコンビがあまり使えない。
岩渕の時間差と中村の速攻を軸に必死に追い上げるが、相手の見透かしたような軟硬織り交ぜた攻撃で攻められる。疲れていないのに足が動かない。いや、動いていないのに疲れてしまったのか・・・ストレートの完敗を喫した。
相性の悪い“うまい”チームと対戦したことで、改めて自チームの粗さが剥き出しとなった。これで更にレベルアップできればいいが・・・
「まあ、ベスト8だし」 こういう気持ちが早く吹っ切れないとね。
平成4年度全日本総合選手権大会決勝トーナメント結果

((( Idle Talk )))
帰りの駅での電車待ちの間は自由時間にしたのだが、集合時刻になっても現れない部員が。「オイ、どうしたんだ?迷子か?」不安が募る。
10分近く経ち、冷や汗を流してようやく姿を現した部員の両手には超大量のお土産が。まるで最初で最後の大会という感じ、周りの部員は呆れ顔。・・・・もちろんこっぴどく注意された。
その後、時間にはどんどん厳しくなっていく・・・

年末恒例のバレー部納会は最高に盛り上がったのは言うまでもない。
男子は初のベスト8、女子も2度の全国大会出場と初勝利、東北リコーバレー部として躍進の年、今までにない好成績を残すことができたのだから。
因みに、地元柴田町バレーボール協会が設立10周年を迎え、記念式典に花を添えることもできた。