かなり 実録 バレー部物語

・フルセットの攻防

目標は全国ベスト4に設定された。現時点からすれば高すぎるハードルかも知れない。しかし栄冠を掴むには、これくらいの意識を持ってやらなければ到達できるものではない。

そして・・・東北リコーが正式な強化チームとして認められた。今後はそれなりの成績も求められることになるだろう。もう県で負けることは許されないという思い。とにかく“采は投げられた”

昨年は苦い思いをした都市対抗県予選、決勝は同じくささにしきクラブ。しかし、1セットを楽に取ってまたもや悪い癖が出たのか、第2セットは余裕を見せすぎ終盤に逃げ切られてセットオールになった。 一度崩れたリズムを立て直すのが苦手の東北リコーは第3セットも粘られて接戦となったが、持ち前の攻撃力でわずかに上回り、なんとか雪辱することが出来た。
東北リコー 2(21−14、18−21、21−19)1 ささにしきクラブ

実業団予選ではもはや敵はなく、岡山県で開催されるの全国大会への出場を決める。

◇  ◇  ◇

「初日かよ!」 都市対抗の組み合わせは大会初日、開会式後の第2試合となった。初日といえば普通は開会式のみである。チーム数が多いため、開会式後に数試合が行われるといういつもと違うスケジュールに戸惑いを見せる。しかも勝てば翌日第3シードとぶつかる最悪の組み合わせ。ただし「勝てば目標であるベスト4への道は開ける」

6月、迎えた住友金属和歌山との1回戦、2セットとも序盤にリードされる展開ながら、第1セットはコンビ、第2セットはブロックで盛り返して勝利、翌日の2回戦進出を果たす。

そして山場の2回戦、相手は第3シードの工大附工クラブ(広島)。全国大会で第9試合目など初めてだったが、相手は初戦、なんとか調子の出る前に叩きたい。
その思惑通り、第1セットはムードに乗った東北リコーが先取。しかし続く2セット、互角の攻防ながらツメが甘い東北リコーの隙を突いて工大附工クラブが着実に加点、シードチームの強さを見せつけられ、逆転負けを喫した。

翌日、ほとんどのチームが2回戦の試合を行う。同じく大会に出場していた東北リコー女子も2回戦を戦っていたが、それを見ながらどうにも1回戦敗退のような気分に襲われた。

((( Idle Talk )))
この日に帰るため急遽飛行機の予約を取ろうとしたが、あいにく空席は殆どなく8名分しか取れなかった。
で、残りは新幹線で帰ることになった。飛行機は遅いフライト、「お〜久しぶり!」ってな具合でほぼ同時刻に会社に着いたのだった。疲労困憊ぎみの新幹線組の中で「あんな足が地に着かないものになんて乗りたくないよ」と、飛ぶ度に顔面蒼白になっていた超飛行機嫌いな若干名の部員は元気ハツラツ。

そう言えば、広島国体の時も負けて広島から新幹線だったが、電車になってがっくりしている人を横目に満面の笑みを浮かべてたようだ。

◇  ◇  ◇

倉敷での全日本実業団、2週間前の国体県予選でささにしきクラブを一蹴し、調子上向きで挑む。
決勝トーナメント1回戦は東北電力。東北勢には負けられない思いは強く、気合いの入ったプレーでストレート勝ち!
2回戦は造幣局(大阪)、第1セットはサーブカットが安定し、強豪相手に一歩も引かない見事なデキで先取。
しかし、第2セットから本来の力を出し始めた造幣局は、巧みにワンタッチ、リバウンドを奪いペースを掴む。第1セットでの内容を修正してくる相手に対し、東北リコーはワンパターンの展開、ここが強さの違いなのか。最後までうまさの前に対応できず惜しくも第2セットを奪われると、第3セットはダブルスコアで片付けられてしまった。
「相手はこれぞ9人制というプレーだった。軟打に対する守備が甘かった。まだまだ見習うべき点は多い」

◇  ◇  ◇

東北総体は青森市で開催された。予選2試合をストレートで勝ち抜き、決勝は山形(JTクラブ山形)との対戦となった。

出だしは東北リコーのペース。圧倒的な攻撃力で粉砕し、第1セットを先取。
しかし、山形は粘り強いレシーブとワンタッチを誘うスパイクで流れを取り戻し第2セットを奪う。
第3セット、サーブで崩されコンビが使えない状況が続く苦しい展開、それを確実に切り返してくる山形は東北リコーを研究し尽くしているように思われた。
決めよう、決めなきゃいけない、ミスはできない・・・と思う意識が強すぎ、それがリズムを狂わす。厳しい場面での打開策は見いだせず、結局、中を封じられ両サイドに決定力を欠いた東北リコーは3年連続国体出場の道を断たれた。
試合運びは選手もスタッフも相手が上手・・・

強化チームとして国体を経験できないのは大きな痛手、選手・スタッフともショックを隠せない。「強化チームとはこんなものか?」と思われているかも知れない。
しかし、逆境を何度も乗り越えてこそ本当の強さを手に入れられるはずだし、大きな目標はまだ先にある。「試合はこれで終わりじゃない」

  宮城国体まで、あと1504日−

◇  ◇  ◇

9月の総合県予選、三度ささにしきクラブとの決勝戦はフルセットにもつれ込んだ。 盛り上がりに欠ける東北リコーは集中力がすぐ途切れ、連続失点を重ねて第2セットを落としたが、第3セットはセッター鈴木のトスが冴え、猛ラッシュを見せて序盤に6点連取。これが効いて10点に抑え込み優勝。 技術面よりも、雰囲気で負けるような今のチーム、意気を上げて全日本総合に挑む。


・8強再び

「3位?」大阪国体でJTクラブ山形が3位入賞を果たしたという知らせ。「今のウチの力で果たしてできるかどうか・・・さすが百戦錬磨、しっかり結果を残す」。宮城国体までの東北予選、強敵となって立ちはだかりそうだ。

全日本総合は熊本で行われた。予選は試合巧者の岩崎通信機(東京)。その内容は先の造幣局、JTクラブ山形戦そのもの、第1セット完勝ながら続く2セットを取られ、久しぶり(1988年実業団以来)の敗者復活戦に回ることになった。
「残業(敗者復活戦)はしたくなかったんだが・・・」と苦笑いの大沢。
敗者復活戦は相手にバレーをさせない内容で勝ち残ったが、どうにも同じような負け方が気掛かり。「今は同等相手に劣勢を跳ね返す力はない。勢いのあるうちに突っ走り、逃げ切るしかないか・・・」

決勝トーナメントは前日の情けない敗退が効いたのか、怒濤の攻撃を披露し1、2回戦を突破。
3回戦は第3シードを破って勢いのある翠町(広島)が相手、このチームは昨年の広島国体メンバーが多数在籍している強豪チームであった。しかも1回戦で岩崎通信機に勝っている。
しかし、東北リコーは多彩なコンビで翻弄、相手の高いブロックに対し次々にワンタッチで決めていく理想的な展開で見事ストレートで下し、1992年以来のベスト8に進出した。

「オシッ!」バレーの楽しさを実感し、納得のいくプレーでのベスト8進出に満足の表情、しかし「まだまだ、明日があるよ!」浮かれた様子はない。5年ぶりの最終日、ここまで来るのにいろいろ遠回りしたかも知れないが・・・目標のベスト4まであと一つ!

最終日、準々決勝の相手は群雄会(静岡)、今年の全日本クラブカップ優勝チームとの対戦だ。
今年の東北リコーは第1セットにやたら強い。互角の打ち合い、いや、東北リコーが押す展開となった。だが、取れるはずのセットを相変わらずのツメの甘さ、ここぞのポイントを逃してデュースの末に落とすと、第2セットは終始劣勢、後半連続ポイントで追い上げるものの、ストレート負けで8強の壁を破ることはできなかった。が、久しぶりの快進撃にほどなく達成感が漂う。
合計6戦、1回負けてからの盛り返しは自信に繋がるはず、なのだが・・・

((( Idle Talk )))
前回(5年前)ベスト8に入ったとき、男女揃って県予選優勝したが、今回もそう。前回の女子の大会が熊本で今回男子が熊本。先に女子の大会があって後に男子の大会があるのも同じ。かなりこじつけっぽいが、女子チームは勝利の女神になったか?(=^_^=)
「もちろんっしょ! 今回はお参りが効いたよね」女子の全国大会は三重県伊勢市、何たって伊勢神宮、効果は絶大?
しかし実際はお参りそっちのけで伊勢エビ料理を食いまくっていたというウワサもある・・・

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櫻田記念
獅子奮迅、門脇のスパイク。=対住友電工戦
東京都立川市で行われた櫻田記念は最低の成績となった。予選リーグで住友電工相手に第2セットは19点まで粘ったものの、もう一押しが足りず敗退。下位トーナメント対帝人松山(愛媛)戦では2セットともあと一息というところで息切れ、無念な得セットゼロの3戦全敗。過去2回、最低でも1勝してきただけに、不満の残る結果で今季が終わってしまった。
「総合のエイトで気持ちが切れてしまったかなあ」心・技・体、どれかが欠けても勝つことは難しい、そして勝ち続けることはもっと難しい・・・

今年度、強化チームとして最終日に残るという結果は一応残した。課題は多いが光明も見えてきた。わずかなひとときが過ぎ、苦しい練習、厳しい試合がまた待ち受ける。