かなり 実録 バレー部物語

・選手よ光れ!熊本国体

東北総体は宮城県志津川町で行われ、東北リコーとしては初の地元東北総体となった。今回は宮城国体のリハーサル大会、気持ちも引き締まる。
「選手宣誓をするってだけで、かなり落ち込んだ」主将の門脇が開始式で堂々の宣誓、そして予選リーグを順調に突破して決勝戦、相手は予選で山形を倒した岩手(北上)が相手だ。

宮城国体には地元宮城の他に東北代表としてもう1チームが出場できる。このチャンスを逃す手はない。東北リコーも1995年の福島国体を生かし、今では国体常連チームになった。
北上、JTクラブ山形、東北電力の実力は拮抗しており、今後もしのぎを削り合うだろう。

決勝はミスの差で東北リコーが優勝。全国上位との対戦では東北リコーがミスで自滅するのだが、東北大会では対戦内容が逆転するわけだ。コンビの打ち合いになれば決定力はそんなに大差ない破壊力を持つ。だからこそ相手も上位進出してくるのだ。「やはり要は守りとミス、ここがキッチリしないと上位は望めない」

総合県予選も優勝、そして昨年の成績を上回るべく熊本国体に臨む。

◇  ◇  ◇

熊本国体
対兵庫戦、佐々木のブロック。=人吉スポーツパレス
「昨年は山形が3位に入った。俺たちも続くぞ!」人吉市で行われた熊本国体1回戦は香川県(香川クラブ)。出だしで6−3とリード、その後も多彩な攻撃で20−15とセットポイント。
しかし香川クラブはここから猛追、20タイのデュースとなった。最後は今野が時間差をシャットアウトしてどうにか切り抜けたが、連続失点はいただけない。
落ち着いた東北リコー、第2セットは本来の力を取り戻し、ひとケタに押さえ込んで撃破した。
国体も準々決勝を突破して更に実業団以上の成績、決勝進出を狙いたいが・・・準々決勝は難敵兵庫県(富士通)。そして会場は今までと違う雰囲気に包まれる。なんとこの試合は清子内親王殿下(紀宮さま)が観戦されるという歴史的な一戦となったのだ。

王者に立ち向かうチャレンジャーとして、ざわついた中でも選手はハツラツ、のびのびとプレーした。5−5から8−6と常にリードを奪いながら展開していく得意の流れに乗る。富士通は初戦ということもあって波に乗り切れない。佐々木の時間差を多用し16−12とこのまま押し切りたかったが、調子が出てきた富士通もサーブとブロックで4連続得点、あっけなく16タイとなる。

逆転は許さじと門脇の強打で再び先行、19−17とリード。しかし、ここから富士通が驚異の集中力を発揮、「あのファーストサーブを入れられたらちょっと返しようがない」強力サーブが東北リコーを容赦なく襲う。3連続失点でセットポイントとされたが、門脇のクロスと相手ミスで再逆転、21−20とする。ここでのミスは東北リコーに分がありそうだったが、富士通はまたもや粘りを発揮、ライトとセンターの強打で3連続得点、接戦の末に先取されてしまった。

熊本国体
国体で勝ち抜く難しさを知る。
逆転負けのダメージは大きい。第2セット、動きの悪い東北リコーは受け身となり序盤にリードを許し、3−8とされた。ようやく調子が上がり時間差とブロックで挽回、9−11から14−15まで迫ったが、もう1点が遠くなかなか差が詰められない。富士通もサーブカットが安定し多彩なコンビを仕掛けてくる。
結局、最後まで追いつくことができずに無念のストレート負けを喫した。「第1セット終盤、そして第2セット序盤・・・始めと終わりは特に集中して大事に行かなければならないのは分かっていたのだが・・・」

全てを出し尽くしたあとの埼玉県(選抜)との順位決定戦、選手にとっては辛い戦いだ。気力を振り絞りながら第1セットを先取するが、第2セットは埼玉選抜の必死の抵抗にあう。向こうも関東代表、弱いわけではない。レフトの打ち合いから両者共にミスも出て抜け出せない。デュースとなり一進一退の攻防が繰り広げられたが、時間差とレフトオープンからのストレートスパイクが決まり、なんとか逃げ切って5位入賞を果たした。

今国体、富山(北陸電力)が富士通にフルセットで敗れたものの、堂々準優勝に輝いた。「強化体制ではウチがリードしていたと思っていたが、成績であっという間に抜かされたな」
北陸電力は都市対抗、実業団と2回戦で敗れ、これと言った成績を収めていなかったが、来年の本番に向けて自信になったことだろう。
「明らかに選手個人個人の技術が進歩していた。よっぽど辛い練習をしたのではないかと思う」大沢はその変貌ぶりに驚きの色を隠せなかった。

  宮城国体まで、あと717日−

((( Idle Talk )))
宮城国体へ向けて、スポニチ県内版への取材があった。“目指せ!新世紀の主役”として「6人制に比べ認知度の低い9人制だが、実は優勝を射程圏内にとらえる強豪チームがいた」と。
ここ数年で着実に順位を上げ、「(バレー競技で)優勝できるのは、古川商の次にウチ」と大沢監督が手応えのあるコメント。 全国上位に台頭してきた東北リコー。9人制と侮るなかれ、優勝候補はここにもいる−。


・負けるべくして

全日本総合は北海道帯広市で開催された。「暑い実業団もイヤだけど、寒いのもやっぱイヤだね」。東北リコーは予選を快勝、決勝トーナメントは順調にいけば3回戦で第3シード・群雄会(静岡)と当たる。

決勝トーナメント1回戦は愛知大倉クラブと対戦。持ち味のコンビバレーを随所に披露、相手の反撃を堅い守りで切り返し、2回戦に進出。 2回戦はサンデン(群馬)と対戦。第1セットをダブルスコアで快勝したことで、気持ちが微妙に変化する。先の3回戦に気持ちが向いたか・・・サーブも入らずいつもの負けパターンにはまってしまい、簡単に第2セットを落とす。楽勝パターンが一転、ベンチは重い空気に包まれた。

最近はセットを落とすと試合も勝てないでいる・・・まさか・・・ とにかく普通にプレーすることを心懸けた。相手HLの強打にてこずりながらもブロックとサーブ力を生かし、いつものリズムではなかったが久しぶりのフルセット勝ちで3回戦に進む。「それにしても内容が悪い」

3回戦はシードを倒して意気上がる横河電機(東京)、こっちはやっとの思いで2回戦を突破しただけに、そのモチベーションの違いは明らかであった。 得意の圧倒するリズムは影を潜め、終始リードを許しながらの展開。何度か追い上げるチャンスはあるものの、それが得点に結びつかないのは、やはり勢いの差か。第2セット、11−10からミスを連発、6連続失点で窮地に追い込まれる。このような状態でも必死に食らいついていたが、2セットとも一気の爆発力も集中力もなく過ぎ去り、ストレート負けとなった。

気になる北陸電力はまたしても準優勝、国体で更に自信を付けたようだ。 「もう北陸電力は十分優勝圏内だ。それにしてもウチの方は・・・今のままだと間に合わない。来年はスタートから気合を入れていかなくては」。選手、スタッフの取り組み方も改めて考えさせられる大会だった。

優勝した九州電力福岡は得意のサーブが随所にきまり、サーブカットはほとんど前衛も後衛もオーバーパスを多用していた。「9人制は特にオーバーパス、カットを多用しないと上位に食い込めない」。最近の東北リコーは安易にアンダーパスに頼るところがあった。 櫻田記念まで時間がない。試合のビデオ等を見てフォーメーションのチェックを重点にやっていく。

((( Idle Talk )))
優勝にはチームの努力だけでなく、周りのサポートも必要となってくる。まず手始めにバレー部のホームページがオープン、ソフト的にも応援態勢が整う。

そして日頃全く運動しないOB達が宮城国体の盛り上がりを契機に地区のバレーボール大会に出場する。しかし、ぶっつけ本番で挑んだ試合はローカルルールもあって珍プレーのオンパレード、笑いは取ったが予選1勝1敗で決勝にさえ進めなかった。 懇親会では早速筋肉痛が襲い、悲鳴を上げる者が続出。「来年こそ優勝だぁ」ホントに勝つ気あるのかな? →有言実行、優勝果たす


・進むべき道

櫻田記念、予選リーグの初戦は横河電機との再戦だ。チーム内では総合の雪辱を果たさねばという雰囲気が満ちていた。相手も上位常連の意地にかけてぶつかってくる。第1セット横河、第2セット東北リコーが奪い、フルセットとなった。
第3セットは第2セットの好調を維持して東北リコーが押し始める。セッターにさえボールが返れば、たとえ競っていても安心して見ていられる。横河電機の決定機をつぶし、競り勝った東北リコーが見事リベンジを果たした。やはりサーブとサーブカットが入ると強い。

残る北見市役所(北海道)戦をストレートで下し、初めて予選1位で突破する。決勝トーナメントの準々決勝は予選2位のチームとの対戦となり、準決勝進出が近くなった。

上位トーナメント初戦は沖縄銀行。第1セットは終盤まで接戦だったが要所要所でミスをする東北リコーが落とす。サーブが入るようになった第2セットは東北リコーが取り返し、タイとする。
第3セット、やはり勝負の分かれ目はミスの差だった。沖銀は粘り強く、臨機応変に攻撃してくる。東北リコーはそういう展開に付いていけず、大事な場面でつまらないミスを犯す。結局フルセット負けとなってしまった。
横河電機は快進撃で準優勝、「これじゃ予選1位の意味がない。沖縄銀行組み易しとあなどった訳ではないが・・・どうも勝負弱いなあ」
ミスをなくすには時間がかかる。しかしこれを乗り越えなくては、いつまでたっても“惜しかった”で終わってしまう。

「特徴を出してくるチームは強いし安定している。今の東北リコーはすべて中途半端だ」
・・・持ち味を見出せない東北リコーが歩む道とは?たどり着く場所とは?

  宮城国体まで、あと678日−

((( Idle Talk )))
忘れ物くらい誰にでもある。でもユニフォームを忘れちゃいかんだろ、S選手! 既にここで負けてるわけだ。(TへT)
そうそう、総合の時にOBから預かった餞別、櫻田記念の時に渡してたね?