かなり 実録 バレー部物語

・地域貢献活動

バレーフェスタ
楽しく、そして未来のために。
この年、新たなる試みが行われた。3月、東北リコー体育館でバレーフェスタと題し、地元のスポーツ少年団(女子バレー)と交流会を行った。
培ったトップレベルの技術を生かし、地域貢献として役立てたい、バレーボール競技の底辺拡大及びレベルアップをしていきたい、将来を担うプレーヤーにバレーの楽しさ、面白さを伝えたい・・・などを趣旨とし、父兄方々含め約100名が参加、賑やかに行われた。
東北リコー元選手の愛娘もDNAを受け継ぎ、バレーボーラーとなって参加しているのには歴史を感じる。

「中には、いかつい顔の選手もいますが、皆優しいので1つでも何か覚えていって欲しいと思います。怪我のないように1日楽しみましょう!」との後援会会長の挨拶で始まった。トレーナーの先生による練習前アップ、ストレッチの指導、ラダートレーニング、そしてパスからポジション別の指導、昼食を挟んで交流戦・・・「楽しかった」「またやりたい」というコメントが多く聞かれ、一応の成功を収めることができた。
「いつかは“○○選手のおかげで強くなった”なんて言ってくれる全日本プレーヤーが出て来て欲しいですね」と思いを寄せる部員もいる。
このような催しは今後も地域貢献として継続していく計画である。

◇  ◇  ◇

全日本実業団は愛媛県松山市で開催された。櫻田記念前年度優勝の東北リコーはシード(第2)され、決勝トーナメントからの出場。3回戦、日本精工(神奈川)戦では佐々木が怪我からの復帰戦を速攻100%の決定率で応え、最終日進出。
しかし準々決勝、立ちはだかるは富士通。相手は昨年の櫻田のリベンジに燃えていることだろう。案の定、受け身に立たされ、相手のサーブに翻弄される。2段トスが決めきれない・・・結果、ストレートの惨敗。簡単にやられたっていうのはいい意味でショックだったかもしれないが、実力を生かし切れてないのがもどかしい。

秋田県大館市で行われた東北総体は決勝で地元・鷹巣クラブと対戦。2007年秋田国体に向け強化著しいチームに対し、序盤はてこずる。しかし第1セットは江口のブロックで9−7としてから、第2セットは江口の時間差で9−6としてから抜群の集中力を発揮しレストレート勝ち、8連覇を決めた。これは過去の男女9人制単独チームで福島銀行、山形クラブ、JT山形の7連覇を越える記録。まさしく継続は力なり!
今回は秋田国体のリハーサル大会でもあった。2年後、再度この地に立つことを誓う。


・キラリと光れ!岡山国体

岡山国体9人制は吉備中央町で開催された。高校時代に経験がある選手はいたが、東北リコーとしては初の民泊。宿泊は民家で食事どきだけ総合福祉センターという施設に全員集まるカタチをとった。食事後、自宅で更なる豪華料理が並んだのには苦笑いする部員もいたが・・・おいしさのあまり、全て平らげたようである。
こちらは毎年の経験であっても、受け側は50年に一度。いくら“お構いなく”といっても手厚くなってしまうもの。しかしその想いは、とても温かくありがたい。
ホテル、旅館に比べて制限は多くなるが、地域とのふれあいはより近くなった。歓迎会や記念品、伝統演芸まで披露してもらった。ここまでもてなされたら、負けるわけにはいかない。

王座奪還を目指し準々決勝は富山・北陸電力との対戦。第1セットはシーソーからHC江口とFL今野の強打で抜け出し、相手ミスとFR佐々木、HR安重の強打で14−10、その後5連続得点もあり先制。
第2セットも中盤まで互角。しかし粘り強い北陸は得意のフェイント、リバウンドが機能し東北リコーのミスを誘う。13−16と逆転されると最後はサービスエースを決められ、フルセットに持ち込まれた。
大声援の中、第3セット・・・オーバーネットからサービスエースを決められ4−6となったところで集中力が切れた。立て続けにブロックされ、足が動かずフェイントも拾えない。ダブりにホールディング、ミスのオンパレードで追い上げるどころかリードを更に広げられる。最後はサーブカットをつなぐことができず、初戦敗退となった。

岡山国体
順位決定戦、遠藤のサーブカット。=かもがわ総合スポーツ公園体育館
第1セット取って明らかに楽観視した。勝てる、次は準決勝だと。2セット目前半、相手ミスが続いたのにこっちもミスって引き離せなかったのが痛かった。気の緩みがミスに繋がったか。
そして応援。ベンチに入っていないメンバーが第2セット後半のピンチになって、ようやく地域応援団に交ざってエールを送るようになった。声援の大切さは分かっていたはずなのに・・・時既に遅し。
準決勝進出を果たした4チームは一所懸命、どこも素晴らしい応援だった。つまりチームとして試合に臨む姿勢、気持ちが劣っていたということ。
幸い、今年から順位決定戦が翌日となった。気持ちを切り替える時間がある。お世話いただいた民泊協力会の方々のためにも、勝って恩返しをしなければ。

翌日、準決勝が2試合ともフルセットでその後の順位決定戦開始が大幅に遅れることに。マネージャーの加川がお世話係と帰りの打合せを頻繁にしている。「ウチは第4試合。第3試合がまだなのでどうなるかなあ・・・え〜っと気車は1時間に1本? 福渡駅17時21分だと?岡山駅に18時4分、そこから新幹線で・・・」試合どころではないが、頼りになる。

5位、7位決定戦は北海道・江別市役所との対戦となった。前日とはうってかわって生きのいいプレーを見せる。第2セット中盤からはレフト高橋に替えて新人・石川も起用できた。結果は2セットともダブルスコア的に圧勝。「負けて早く帰りたいと思ったこともありましたが、チームとして後日の試合だったことは良かったと思います。みんなリフレッシュできたし」と門脇はほっとした表情。
お世話になった方々と別れの余韻もそこそこに、吉備の地をあとにした。