かなり 実録 バレー部物語

・同床異夢

11月、沖縄での徳洲会カップに参加、中部徳洲会と住友電工に破れたものの3位とまずまずの結果。これをどう全国大会に結びつけるか。
櫻田記念は千葉市で行われた。千葉ポートアリーナは2002年の全日本実業団で優勝した地でもあり、験を担いで上位進出と行きたい。まずは予選リーグ第1戦、パナソニックエコソリューションズ津との第1セットは2−7の劣勢から猛追、鎌田の強打や梅津のサービスエースなどで15タイと追いついた。先にセットポイントを取られるも相手ミスに乗じて振り切り先取。
第2セットは佐藤、梅津、石川の好サーブに交えてコンビが炸裂し、ストレート勝ち。
第2戦の光陽CLUB(韓国)戦は終始圧倒、第2セット5−0としながら11−10にされたのはいただけないが、そこから2回の5連続得点で離した。

櫻田記念
住友電工戦、石川のアンダーカット。=千葉ポートアリーナ

今大会はリコー沼津も出場し、リコーグループから初めて2チームの参加となる。沼津セッターの工藤は10月から東北事業所に戻ったが平日は東北で業務、土日は沼津で練習というスケジュールをこなしていた。本番ではチームの調子が上がらず、若手が気圧されているようだ。ここは旧東北リコーメンバーがフォローして善戦して欲しいところ。
3戦目は住友電工との対戦、既に決勝トーナメント進出は決まっているので順位を付ける戦いになる。その第1セット、3−5から一気に7連続失点を喫する。鎌田の軟硬で食らいつこうとするが、住電はもはや余裕の展開、速攻を自在に決められ連続得点が奪えない。終盤も住電に強打を連続で決められ10−21で落とす。
奮起の第2セット、鎌田の強打が立て続けにブロックされると、住電の強打とサービスエースで2−6とされる。永井のブロックや速攻、中盤から梅津のサーブと馬の強打で13−14まで挽回。しかしこの押せる場面で押しきれず、ミスが重なりストレート負けの予選2位通過となった。
実業団準優勝のJR九州がまさかの予選全敗となり、勝つこと、1点を取ることの難しさを感じる。

そして決勝トーナメント、またも住電との対戦となった。澤が抽選クジを引いたのだが、住電のマネージャーと目を合わせ苦笑い。普通なら敗れた側が修正して盛り返しそうなのだが…その第1セット4連続失点後、更に5連続失点で2−9、これで勝負あり。佐藤B、鎌田セカンドはエンドラインぎりぎりのサービスエース、住電FR強打を高橋ブロック、 鎌田サービスエースで反撃した場面が唯一の見せ場、13−21で先取される。
第2セットも2度の3連続失点で住電が3−7とリード。なんとかシーソーで反撃の機会を伺うが、ピンサ佐藤ダブリ、佐藤B空振り、住電レフト連続強打で差は広がってしまう。終盤にも5連続失点でまたも13点止まりのストレート負けとなった。

実業団から何か変化があったと言えるのか…以前同様この一戦に懸けるという意気込みが見えてこないような感じ。声は出ている…ようだが、何かをきっかけにさあ行くぞ!という阿吽の呼吸、全員の意思疎通がないようだ。だから折角のチャンスをミスで潰してしまう。恒例だった?審判から注意されるほど、はしゃぐこともなくなってしまった。各々、想いや向かうところが、ちぐはぐになっているのかもしれない。
いや、同じ想いだとしてもそれを実践することの難しさなのだろうか…

住電にリベンジできるチャンスをもらい、安重は「ありがたい組み合わせです」と話していたが、やはり「練習不足、そこに尽きる」と落胆。あまりにも攻守にミスが多いため、リズムに乗るきっかけをつかめなかった。「結果には必ず理由がある。確認して1月の大会でプレーを見せつけて欲しい」と部長の川村の激が飛ぶ。
年末年始を挟むとそれほど練習時間があるわけでもない中、どこまで持っていけるか。頑張っていても結果が出ないと、周りからは何やってんだと言われてしまう厳しさはあるが、ここは攻めの気持ちを失わずに目標へ向かわなければならない。


・艱難辛苦

全日本総合は大阪市で開催された。チーム状態は万全には程遠いかもしれない。セッターの我妻は体調不良により大会直前の時期にコンビ合わせができなかった。大阪入りしてからは鎌田がダウン。診断の結果、今流行のノロウィルスではなかったものの、大事を取って予選グループ戦はホテル待機となる。
更に先日の遠征で馬が故障し、ほぼ出る見込みの無いままベンチ入りさせるほど厳しい状況。渡辺も怪我が完治せずフル出場は微妙、戦う術はあるのか…
全日本総合
ジェイテクト戦、渡辺の強打。=大阪市中央体育館
予選グループ戦はジェイテクトスピアーズとの対戦、石川強打、佐藤が速攻をブロック、ラリーから石川がダイレクトを決めて波に乗り、高橋がライトから軽打、永井C、ラリーから佐藤Aと怒涛の展開で大量リード。終盤に3失点するが針生と渡辺の強打で断ち切り、最後は渡辺のフェイントで21−10と第1セットを先取。
第2セットは0−3とされながら追いつくも、5失点で6−11とされてしまう。その後針生のサーブを絡めて追い上げ、13−16から永井C、高橋強打、ジェイテクトはレフトタッチネットと両サイドの強打がアウトになり18−16と逆転、最後は梅津の連続サービスエースで締めた。

急遽、バックの石川がライトを務めることに。確かに以前アタッカーではあったが前衛の練習もしておらず、無理すると故障持ちの箇所が悪化しかねない。「ほとんど練習してません」と苦笑いしていたが、的確なポイントにボールを落としていた。
第2セット中盤で5点差になった時はフルセット覚悟だったが、何かネットプレーやらリバウンドやら駆使しすぎて、逆にごちゃごちゃになって自分たちがミスるっていう感じ。もっとシンプルでいいのではないか。
決勝トーナメント抽選会は澤と馬が参加、馬が引いた結果は、順当なら3回戦で第1シードの中部徳洲会と対戦する組み合わせとなる。

決勝トーナメントは2回戦からの登場、初戦の相手は岡山の烏城クラブ。第1セットは中盤で6連続得点し21−13としたが、これで安心してしまったのか第2セットは大苦戦。ミスとサービスエースを決められ2−7から反撃を開始、相手ミスに乗じて鎌田強打と針生の連続サービスエースで9−10、とまでは良かったのだが、永井のトスミス、石川強打アウト、鎌田リバウンドミスなどで突き放される。終盤、永井と針生の強打も及ばず18−21でフルセットへ。
そして第3セット、永井Cフェイント、烏城2段トスがネット近くで返せず、烏城ライト強打アウト、 石川のサーブで崩し烏城2段トスドリブル、針生時間差5−0、これで楽になった。
中盤は梅津のサーブで崩し烏城2段トスドリブル、烏城FR時間差タッチネット、烏城Aを佐藤ブロック、梅津の連続サービスエースで16−6と勝負を決定づけ、21−14で勝利。

第2セット、渡辺が限界近いということで鎌田にスイッチ。それが影響したのではないだろうが、連続ミスが止められないし、さあここでという場面でコンビミスやら2段トスミスやらでチャンスを潰してフルセットになってしまった。
3回戦は尚更ミスは許されない。安重も「先にミスした方が負け、我慢比べだ」と選手に説いてたが、普通に考えてミスが多いのはこちらだろうから、ミスして追いつかれるくらいの展開にしないと厳しいだろう。

中部徳洲会戦第1セット、序盤は食らいつく。しかしこちらが1点取ると相手が2点取るという展開で、徐々に点差は広がっていく。前衛の強打がことごとくブロックされ決定機が見いだせない。流れを止められず11−21で失う。
第2セット、相手ミスで3−2とリードするが、ここでも相手2点のこちら1点のパターンに嵌ってしまう。何と5回もこの繰り返しで気付けば8−12にされていた。まだ4点差、佐藤、永井のセンター軸で反抗するが、永井ダブリと鎌田のプッシュがネットとこちらが先にミスを犯してしまう。
12−16と点差が縮まらないまま、徳洲会A、永井2段トスドリブル、永井連続C拾われ徳洲会FR強打、針生時間差ブロックされ、最後は梅津弾く徳洲会サービスエースで万事休す、12−21で大会を終えた。

ボロ負けというか、反撃の糸口さえ無く、何もさせてもらえなかった。高橋はブロックをかわして他の前衛よりパワフルなスパイクを打っていたし、石川も要所で決めたりと、本来バックの選手の方が目立っていては…
短時間だが櫻田記念からの反省を活かした練習の成果は出ており、部長の川村も目に見えて動けるようになったと評価していたが、勝利へ結びつけるにはまだ時間が必要か。

今大会はリコーも出場しており、同じく3回戦敗退。しかしRI東北とリコーの3回戦は意味が違う。「3回戦はちょっとねぇ、力が出せなかった」とリコーのスタッフは勝ち抜く厳しさを味わっていたようだが、リコーとしては創部初の3回戦進出であり、また一歩ステップアップした。こちらも負けてはいられないはずだ。
年度3位以上が14年連続で途切れた。来年度は上位に入れない並みのチームになっていくのか、捲土重来を期すのか、重要な年になりそうだ。幸か不幸か今年度負けたのは住電と徳州会のみだったが…意味のある負けとなったかは今後の結果が示すはず。
しっかり出直して、準備万端で次回全国大会に挑もう!