かなり 実録 バレー部物語

・ピンチをチャンスに

11月、沖縄での徳洲会カップに参加、2勝4敗で7チーム中5位という成績。ここで佐藤が初戦早々スタメンレフトで張り切った?矢先にアキレス腱断裂というアクシデント。チームは怪我人が多い中で何とか乗り切ったという感じ。ZAOカップから徳洲会カップと櫻田記念の前哨戦となり、RI東北にとっては重要な強化にはなっているが、怪我とかでなかなか詰めきれない。
また予選リーグで対戦するサンデンとも練習試合を行った。手の内を見せないことより強化を優先したことに、今の状況や9人制ならではのつながりがある。お相手いただいた恩は勝って返さないといけない。

櫻田記念は札幌市で開催された。北海道と言えば新型インフルエンザで2009年の出場辞退が思い出される。今回勝って暗い過去を払拭したいところ。しかし石川が都合により参加できず、佐藤の怪我で12人が揃わないという非常事態となり、永井が急遽レフトを務めるなど厳しい状況で臨むことになった。
ここまで渡辺、鎌田、石川、佐藤とレフトアタッカーが次々離脱し、呪われているんじゃないか?とも思ってしまうが、「次はオレです」と永井、無事健闘を祈る。

予選リーグ第1戦、サンデン戦第1セットは4連続失点で2−5とされるが、何とか持ち直し8−9と迫る。しかし連続の4失点、5失点、3失点とあっという間に離されてしまった。サービスエースをポンポン取られると反撃のしようがない。
第2セットは食らいつく。針生や永井の強打で11−13と粘るが、本国ダブリ、サンデン中央からプッシュ、佐藤Bネットで差が開きストレート負け。後半押され気味ながら何とか互角だっただけにもったいなかった。

櫻田記念
富士通戦、熊谷のオーバーカット。=北海道立総合体育センター

富士通戦第1セット、1−2から針生時間差、馬フェイント、佐藤A、永井強打、針生のサーブで崩し富士通2段トスドリブル、富士通中央から強打アウトで一気に7−2まで持っていく。
富士通も追い上げを図るが梅津サービスエースで15−9、馬強打17−13、針生時間差18−15、必死に食い止める。富士通は終盤で連続ダブリ、永井が強打を決めて21−17、セットを奪う。

第2セット2−4から針生強打、富士通レフト強打ネット、富士通ネットプレーで返せず、馬セカンドでサイドラインギリギリにサービスエース6−4と逆転。8タイから針生時間差、富士通レフト強打ブロック、レフトから熊谷強打を富士通ブロックオーバーネット、佐藤Aで怒涛の12−8。
後がない富士通は強打とサービスエースで16タイまで持ち込むも、この踏ん張りどころの場面で馬のダイレクトと永井の強打18−16、富士通のネットプレードリブルと富士通時間差をシャットアウトして21−18、実業団ベスト4のチームにストレート勝ちした。
本国のトス回しが決定力のあるコンビを引き出していた。やはり流れを作るのはセッターの仕事、うまく回せれば強さを発揮できる。逃げ切った第2セット、決勝トーナメント進出に向け、結果的にこれが後々効くことになる。

第4試合でサンデンは北陸電力に勝利したものの1セット奪われた。しかしこの時点ではサンデン2勝の1位、富士通とRI東北が1勝1敗で続き、サンデンは予選通過が目前なのだが…RI東北が富士通に勝ったことで、もしサンデンが富士通にストレートで敗れれば、2勝してても予選敗退の可能性が限りなく高くなる。サンデンは最低でも1セットを取る、これが条件。
尻に火が付いたのは富士通も同様、次負けたら予選敗退が確定する。結果、第5試合の富士通vsサンデンは富士通がストレート勝ち。サンデンはRI東北に公式戦初勝利だったが、重要な一戦に会心の勝利すぎて少しずつ集中力がなくなっていくような感じだった。

これで富士通の予選突破が決定。第6試合の最終戦、RI東北と北陸電力戦でRI東北がストレート勝ちなら富士通とRI東北が予選突破。ただしRI東北は得失点で分が悪いので、よほど圧倒しない限り富士通が1位。
フルセット勝ちだと富士通が1位突破、2位はサンデンとRI東北で得失点率の争いになるが、恐らくサンデンが抜けるだろう。負けなら1位富士通、2位サンデン。
つまりRI東北は北陸電力にストレート勝ちしなければならない。澤が門脇に状況を説明していたが、「いやもう1試合目のデキで半分以上(予選突破は)厳しい状態だったから、こういう計算に持って行けただけでも大したもの」と、ヘタすれば全敗というところでの選手の頑張りを称えていた。

北陸電力戦第1セット序盤、緊迫したシーソーが続く。北陸が先に7−9と抜けるが、佐藤B、ラリーから北陸セッタードリブル、永井強打で11−10、馬強打、熊谷3連続サービスエース、北陸FR強打をブロック、北陸ライト強打もブロックして17−11、そのまま逃げ切り第1セット先取。
第2セットは圧倒した。前半2度の3連続得点で7−3とし、中盤も相手に反撃を与えない。針生時間差、北陸ライト強打をブロック、馬強打、熊谷サービスエースで16−9。ここから3失点するも永井強打、梅津返球を強打、永井強打で20−13、最後は佐藤のBが決まり21−14、ストレート勝ちで予選2位突破を果たした。
試合巧者の相手に対してリバウンド対応が今ひとつではあったが、しっかり勝ち切った。特に熊谷のサーブはお見事、1番サーバーの面目躍如といったところか。
2008年以来2度目の決勝トーナメント進出を逃したサンデンは、まさかの展開。初戦であれだけの完勝を見せれば間違いなしだったはずが…「また下位トーナメントだよ」とサンデンの外丸監督がぼやいていたが、「これだからリーグ戦は怖い」と澤。

◇  ◇  ◇

翌日、この日に帰る予定なのだが朝から雪。天候は回復に向かうようだが、既に飛行機は欠航や遅れが相次いでいる。「遅い便だから飛ぶと思うけど、最悪だと陸路で9時間」と澤、試合後の方が忙しくなりそうだ。
決勝トーナメント初戦はZAOカップで対戦した時から実力を上げて1位突破した横河電機との対戦となった。
第1セットは横河の流れで展開していく。5度も連続得点され6−11、永井の強打とフェイントで10−13とするが、オーバーネット、熊谷と梅津が弾く連続サービスエースを喫し11−17。
永井のサービスエース、針生の強打で追い上げるも横河レフト強打決まり15−21。
第2セット序盤に4失点でまたも横河ペースとなり、その差は縮まらないまま中盤へ。永井の強打とフェイント10−13、横河のダブリとブロックフォローのホールディングで12−14と接近するも横河中央から強打、本国トスフェイントがブロックされてしまう。
ここで気落ちしたか永井強打を横河ブロック、永井弾く横河サービスエースで12−18。馬、梅津のサービスエースでも及ばず18−21で敗退した。

横河電機は一時期の低迷から4強に残った。こちらもこの試合に勝利して道を切り開いて欲しかったのだが…ここを乗り越えられない。負ける時はカットミスがらみで踏ん張れなかった。
中部徳洲会病院が見事5連覇達成。決勝でわずかに及ばなかったものの、JFE西日本が予選2位からの躍進で準優勝となった。準決勝以降が全てフルセットなり、群雄割拠の時代になりつつあるのかもしれない。
結果的には決勝トーナメント初戦敗退となったが、予選リーグ敗退の可能性も高い中で突破できたことは今後につながっていくことだろう。ただ、先の実業団でも住友電工に勝ったが、1大会で1試合しかパフォーマンスを発揮できないのでは上位に食い込めない。
課題は多いが、年度最後の大会に向けて実力を磨いていかなければならない。

((( Idle Talk )))
予想通り帰りの新千歳空港は大混雑。成田行きが4時間遅れとか、搭乗口変更で右往左往したり、関西弁で怒鳴りまくっている人がいたりとか混乱している。
業務上別便で早めに帰ろうとしていた部長と総監督は搭乗予定機が欠航となってしまい、搭乗手続きの列に2時間以上並んでまだカウンターに辿りつけていなかった。そこに本体が到着し、澤が機転を利かし団体カウンターで入れ替え手続きを行い、ほんの数分で完了する早業を見せた。本体は20〜30分の遅れで無事搭乗。
ただし入れ替えをしたということは部員が2名居残りとなる。ここは澤と翌日有休の予定だった永井が、宿泊していたホテルに再予約して戻ることになった。
「もう一泊できるね」との言葉に「ホテルから一歩も出ません!」と永井、オツカレ様。これがOBの今野だったら率先して手を挙げていただろう。間違いない。


・チームの芯とは

全日本総合は京都市で開催された。全国常連の住電伊丹やJT東京が都道府県予選で敗れており、本大会も荒れる展開となるのか、やはり強豪チームが順当に勝ち上がるのか注目される。
それにしても不運とは続くものなのか…先の神奈川遠征で針生が故障し、サイドアタッカー2枚、ピンチサーバーに続きまたも得点源を失ってしまった。しかもアキレス腱断裂とは…開催地は霊験あらたかな京都だし、お祓いしてもらったらと言いたくもなる。

予選グループ戦は実業団に続きまたも強豪チームとの対戦、クラブカップ連覇中の群雄会である。2年前の対戦では勝利したものの、激戦は避けられないと思われる。
その第1セット、サーブが入らない群雄会に対し石川時間差、馬強打、高橋サービスエースの3得点も群雄会ライトフェイント、馬リバウンドのフォローがホールディング、群雄会FR強打で3失点、粗い流れながらも互角の展開を見せる。
群雄会が5連続得点すれば負けじと東北も熊谷3連続サービスエース含む4連続得点で13−14、そして永井強打、ラリーから馬強打、本国連続サービスエース、群雄会フォローお見合いで19−16、群雄会タッチネットでセットポイントを掴む。
しかし群雄会はライト強打、梅津弾くサービスエース、梅津見逃しもエンドライン際にサービスエースが決まりデュースに持ち込まれた。更に梅津がサーブを弾き、最後は永井強打がブロックされ20−22、大逆転されセットを失う。

第2セット、相手が5点取ればこちらも5点取るというまたも大味な展開、6−9から永井の連続強打で8−9、吉田ダイレクト、石川サービスエースで10タイ、馬強打、熊谷サービスエースで13タイ、群雄会Aを吉田ブロック、馬サービスエース、 群雄会リバウンドフォローミスで16−15とついに逆転。
しかし梅津弾く群雄会サービスエースで17−19、追い詰められたが、馬強打、勝ちを焦ったか群雄会は中央からの強打がネット、セッターのトスドリブル、ラリーからレフト強打がアウトとミスが重なり21−19、もらったチャンスを活かしセットタイ。
第3セットは東北が序盤5−2といい流れ。群雄会のダブリとタッチネット、永井強打で12−9としたが、群雄会B、石川ネットプレーホールディング、群雄会レフト強打、永井強打をブロックされ14−16とされてしまう。
群雄会のダブリとセッタートスドリブルで17タイとするが、群雄会は中央にボールを集め強打で切り抜け17−19、馬強打、群雄会ライト強打、群雄会セッタートスフェイントで18−21、惜しくもフルセット負けを喫した。

クラブ王者に対し力わずかに及ばず…相手もそこそこミスがあって勝機はあったが、勝負所で押しきれなかった。梅津は主将でもあるし、かなり責任を感じているだろう。第1セット終盤の状況はオーバーハンドで後ろに逸らすパターンだったが、夢に出てくるんじゃないかな?
敗者復活は1997年の全日本総合で岩崎通信機に敗れて以来17年ぶり。国体で1勝もできずに敗退などはあるが、現メンバーは未体験ゾーンなので気落ちのまま入ると危うい。気を取り直して臨む。
相手は富士通小山だが、やはりモチベーションが低下しているような戦いぶり。2セットとも14−8、12−3と大きくリードできたため、多少崩れても勝つことができたが、今は内容よりも勝利が重要と割り切った方がいいだろう。チームが上手く機能しない中で何とか頑張っている。
「平成9年以来の厳しい現実となりましたが、伝統と誇りを自信に変えて、是非明日は勝ち進んで欲しい」と部長の川村の激が飛ぶ。

◇  ◇  ◇

全日本総合
三島市役所戦、永井の強打。=山城総合運動公園体育館
決勝トーナメントは準々決勝までシード勢と当たらない、比較的恵まれたゾーンに入った。とは言えチーム状況が万全に程遠いため、どこと対戦するにも簡単には行かないだろう。自分自身との勝負というところか。
1回戦、NO NAME(埼玉)との対戦第1セット、4タイから佐藤B、相手両サイド強打が3本アウトにFR強打をブロックして9−4とリード。この差を維持して終盤は永井強打、相手ミスに乗じてリードを広げて21−15と先取。
第2セット4失点から4得点、相手3得点が2度あり7−11とされる。なかなか追いつけなかったが、13−16から石川の強打や梅津のサービスエースが絡んで8点連取、21−16でストレート勝ちした。

三島市役所との2回戦第1セットは10−9から4点、4点、3点と一気に引き離し21−11で先取。しかし第2セットはいきなり7失点で1−7からの追い上げ。石川時間差、ラリーから高橋ツーアタック、馬サービスエース、ラリーから石川強打で10−12、石川リバウンドを三島オーバーネット、梅津サービスエース、馬強打、石川裏時間差で16−15と逆転。
しかしここから抜け出せない。三島に反撃を許しデュース、三島中央から強打、熊谷と高橋の間を抜ける三島サービスエースで20−22、フルセットへ。
第3セットは熊谷のサービスエース連発で6−0、9−5から三島のミスと梅津のサービスエースで15−5と勝負あり。最後は三島ダブリで21−10。
2セット目、4−11の7点差からよく挽回したと言えるが、予選と同様追いついたのに勝てないところがこのチームの弱みだろうか。

3回戦はTHK甲府との対戦。第1セット甲府FR強打をブロック、梅津サービスエース2−1、甲府ダブリ、馬強打4−1、馬強打、甲府2段トスドリブルとタッチネットで9−4と優位に進む。
ここから甲府が反撃、徐々に差を詰めてくるが、中盤での3失点で食い止め、シーソーで18−16。永井強打、永井軽打はエンドライン際に落ちセットポイント。甲府ライトに連続で決められるが、最後は甲府レフトの返球がアウトで21−18。
第2セット、今度は甲府リードで東北が追う展開、石川時間差、馬強打7−8、石川裏時間差、永井サービスエース10−11、甲府FR強打、本国の2段トスがドリブル、石川強打がブロックされ11−15、追いつけず逆に離されてしまった。
永井フェイント、熊谷サービスエース、馬強打で17−19と食い下がるが、甲府中央から強打、馬強打、甲府FR強打で18−21。

第3セット、シーソーの展開から甲府はライトにボールを集めるが、その強打を止められず8−10とリードを許す。その後も打開点を見つけられずに12−17と追い込まれた。ここから東北は永井強打、甲府FR強打をブロック、梅津サービスエース、ラリーから永井強打で16−17と粘る。
しかしあと1点が遠い。甲府ライトの強打に対応しきれず連続で強打を決められ16−19、馬強打、甲府ライト強打、永井強打、高橋のサーブで崩し甲府中央から強打ネット19−20、1点差にするも、最後は甲府ライトが打ち抜きゲームセット、一歩届かずフルセット負け。

THK甲府のライトを最後まで止められなかった。群雄会も勝負所では信頼の置けるハーフセンにボールを集めて突破したし、やはり精神的・技術的な支柱というか頼れる存在がいるのは大きい。ただ、永井もパワフルに決めてくれたし、急造レフトにしてはポイントゲッターの役割まで果たしてくれた。が、そこに頼らざるを得ないチーム状況を改善しないといけない。
大会を通してというか以前からだが、サービスのラインクロスが多い。他のチームは1試合で1回あるかないかってところなのに、ウチは1セットで2〜3回ある。自分を制御できていないようでは、他のプレーは言わずもがなだ。 守りも「攻撃陣の決める決めないを言う以前の問題かな、真正面のボールも取れていない守りを何とかしないと」

「近年チームに欠けていた必死にボールを追う、全員で闘うということができたが、これらは土台として重要な部分で、今大会を通してその重要性を全員が再認識できた」と安重。全員一丸、何度も口にしてきた言葉だ。
今まで打ちのめされても這い上がってきた。大事なのはここから。 全国トップを目指し新たな試練が待ち受けているだろうが、「俺にシーズンオフはありません!」と宣言する選手もいるし、禍を転じて福となす、来年度は逞しくなったチームが見られるのではないだろうか。
まずは体を癒やし、必ずや攻勢に転じ雪辱を!

((( Idle Talk )))
朗報と言えるか、来年度から全日本総合が1月開催から11月開催に戻る。結局メリットよりもデメリットの方が多かったってこと。
「移動やら体調管理やらとにかく大変、いいことなんて何もなかった。みんなそう訴えてきたから」と澤マネ、ようやくといった表情。
櫻田記念との間隔は短くなるが、やはり9人制は12月で終わって新年を迎えるっていうのがしっくりくるね。