かなり 実録 バレー部物語

・先行き不透明

10月の徳洲会カップは7チーム中6位。順位はあまり関係ないとはいえ、かなり圧倒された試合もあった。全国大会が近付いて暗雲が垂れ込めてきた。
全日本総合は大阪市で開催された。2009年度以来、6年ぶりの11月開催に戻った。しかし以前より観光客が多くなって宿泊料金も高くなっており、予約自体も困難になってきた。今年の流行語にもなった“爆買い”の影響が大きいか…総合は大阪と京都の交互開催だが、来年は…京都市内には泊まれないかも。
今大会は予選グループ戦当日に開会式が行われ、開会式前の練習が禁止となったため早朝のコート取りもなく、玄関前は平穏な雰囲気に包まれた。

予選の相手は愛知ALL BLACKS。今年のクラブカップの準優勝チームだ。昨年は同優勝チームとの対戦で敗れ、敗者復活戦に回る苦い思いをした。今年は一発クリアと行きたいところ。
その第1セット、RI東北がリードして愛知が追う展開、7−4から8−7とされるが、佐藤のBとブロック、佐藤のBと永井のダイレクトで12−8とする。15−12からは6連取、馬の強打や鎌田の強打とブロックなどで21−12とした。
第2セットは逆に追う展開となったが、渡辺時間差、鎌田強打、馬の押し込みで10−9と逆転。更に佐藤B、本国に替わってピンサ高橋はラリーから鎌田強打、馬強打で13−10。
ここからシーソーで乗り切って20−17まで持ってきたが、愛知は中央から強打、石川のカットミスを愛知ダイレクト、ラリーは愛知中央から強打20タイ、追いつかれてしまった。
しかし馬強打で切ると、愛知時間差、石川裏時間差、愛知セッタートスミスを佐藤押し込み、23−21でストレート勝ちした。

JR九州戦、3枚ブロック。=大阪市中央体育館
この試合はいつもレフトの渡辺がハーフセンで対応、メンバーの故障でベストな布陣が組めない中での苦心が伺える。更にセッターの本国が風邪ではあるが予想以上の重症に陥ってしまった。しかも決勝トーナメント初戦は強豪のJR九州との対戦が決定。出だしからしっかり集中しなければならない。
その1回戦、1−2から馬強打、鎌田強打、馬ダイレクト、永井強打、鎌田強打、馬強打、鎌田軽打で8−2と先行するも、2度の3失点で10−9と追い上げられる。何とか粘って16−15から馬強打、JR中央から強打を永井ブロック、JRレフト強打をブロックして抜けると、佐藤B、馬強打で21−17、第1セット先取。
第2セット、7−6から馬リバウンドをJRオーバーネット、馬フェイント、JR中央から強打を永井ブロック、佐藤A、JRレフト強打を永井ブロック、JRのCアウト、馬強打で怒涛の14−6。
今度は相手の反撃を許さず、最後は石川のサーブで崩し永井ダイレクトで21−10。

故障者が多い中で佐藤が1年ぶりの復活。ピンチサーバーでポイントこそ奪えなかったが、とにかく戦力になる選手が戻ってきたのは嬉しい限り。
2回戦は四国電力との対戦、第1セットは5点、4点、4点、5点と相手に隙を与えない猛攻で21−8、第2セットは立て直してきた相手に9−8とされたが、ここで四国返球アウト、梅津に替わりピンサ佐藤は四国つなぎドリブル、佐藤セカンドでサービスエース、佐藤のサーブで崩し永井強打、四国フォローミスで14−8と優位に立ち、そのままストレート勝ち。
第2セットはセッターを本国から石川に替えた。石川はセンター以外のポジションはスタメン出場を果たしたのではないか? 本国は顔色が青い以外は動きに変わりはなさそうに見えるが、なるべく温存ということだろう。
同じく第2セットで佐藤がベンチに下がったが、これは2セット目から出場していた吉田との激突によるもの。これも軽症ではなさそうだが…

ただでさえ怪我人が多いのに、3回戦はシードの中部徳洲会病院との対戦、厳しい状況となったが強い気持ちで立ち向かえるか。
徳洲会C、鎌田強打ネット、ラリーから徳洲会中央で強打、徳洲会ライト強打、梅津見逃し徳洲会サービスエース、馬強打アウトで0−6、出鼻をくじかれた。徳洲会のミスに乗じて4点連取し10−12と迫るが、なかなか追いつかせてくれない。徳洲会サービスエース15−20、徳洲会ダブリ、石川がサイドライン際にサービスエースも最後は徳洲会Cで17−21。
第2セットも2−1から5失点で流れを失う。それでもブロックや馬のサービスエースなどで6−8、馬強打、本国に替わってピンサ佐藤は鎌田軽打9−11と食らいつく。
シーソーの我慢の展開から先に崩れたのはRI東北、カットミスから徳洲会時間差で均衡が破られ、ラリーから徳洲会時間差フェイント、馬弾く徳洲会サービスエースで12−18とされてしまう。何とか鎌田と馬の強打で反撃を狙うが、ラリーから徳洲会レフトが1枚になったブロックを難なく破りマッチポイント、鎌田強打がブロックされ15−21、ストレート負けとなった。

2セットとも前半の連続失点が痛かった。佐藤は出場したものの打数も少なく、鎌田も「試合をこなす毎に決まらなくなった」と肩を落としていた。ただ、いつもなら更に差が開くところだが、中盤で2点差まで競ることができた。予選グループ戦で粘る相手を最後は振り切ったり、強豪のJR九州に対してストレート勝ちを収めるなど、光明もある。
最終日に残ったのは全て実業団勢、そしてサンデンが初の決勝進出を果たした。2010年以降、全国大会は中部徳洲会と住友電工が優勝を分け合っており、横河電機、JR九州、JFE西日本、サンデンが決勝に進出したが跳ね返された。
RI東北も割って入りたいところだが、まずは怪我人が復帰して戦力がベストに近い状態になってから…ということになるだろう。


・負の連鎖を断ち切れ

12月5日、全日本トップリーグ(V9チャンプリーグ)入替戦出場チーム決定戦が行われた。パナソニックエコソリューションズ津、住友電工伊丹、RI東北の3チームがリーグ戦で対戦し、決定戦1位がV9チャンプリーグ8位と、決定戦2位がV9チャンプリーグ7位と後日入替戦を行うことになる。
RI東北は初戦で伊丹にフルセット負け、津には第2セット19点まで粘ったもののストレート負けで3位となり、入替戦進出はならなかった。全日本総合終了後、チーム状態が上がらず残念な結果となったが、重要なのは引きずらないこと。これも櫻田記念に向けての強化ゲームと捉えられるか。すぐに大会が迫っている。

櫻田記念は愛知県一宮市で開催された。先日のトップリーグ入替戦出場チーム決定戦で2戦全敗した影響がどこまであるか。しかも初戦はそこで敗れた住電伊丹が相手。
第1セットは伊丹が逃げ東北が追う展開。鎌田サービスエース6−7、永井ダイレクト8タイ、永井Cで10−11と付いていったが、オーバーネット、馬強打アウト、永井弾く伊丹サービスエース、馬軽打を伊丹ブロック、佐藤のBもブロックされ、流れは完全に伊丹に傾き、15−21で先取される。
第2セットも序盤は互角の戦いながら、本国ダブリ、鎌田強打を伊丹ブロック、伊丹A、永井ブロックタッチネット、伊丹ライト強打、永井2段トスドリブル、7−14の6連続失点。鎌田の連続強打と梅津サービスエースで12−18としたが、相手に余裕を持って押し切られた。

2セットとも中盤から5連続失点以上を喫したのが致命的。連続失点中はこちらに何らかの凡ミスが発生しているので、ここを何とか抑えたいところ。ハーフセンにピンサ主体の佐藤を起用したが、ベンチに控え選手はいるものの、コートには出られないほどの状態。つまり棄権にならないようにする数合わせという危険(棄権)水域の中での試合であった。
佐藤は故障上がりでもあり「全力で行くのが怖い時がある」と言っていたが、本人にとっては貴重な機会でもあるので、何かをつかんで欲しいところ。

松本市役所戦、佐藤(洋)の時間差。=一宮市総合体育館

第2戦は松本市役所との対戦、第1セットは梅津の連続サービスエースで6−2と流れを掴むと、中盤には高橋の連続サービスエースなどで14−9。ミスが絡んで15−14となったが、本国に替わってピンサ吉田が連続サービスエースで再度加速、佐藤プッシュ、鎌田強打で21−15。
第2セットは相手タイムアウト明けに梅津のサービスエースが炸裂して17−12と勝負を決めストレート勝ち。リードで推移したため、少し余裕を持って対処できたが、佐藤は肩で息をしており、消耗の激しさが明らか。明日もあるし完走できるか…

第3戦はJFE西日本との対戦、相手の強打とサーブで劣勢に立たされ3−7、鎌田強打、馬強打、鎌田強打で8−9と追いすがるも、オーバーネットやカットミスなどで4失点、最後も鎌田ブロック吸い込み、高橋弾くJFEサービスエース、鎌田軽打をJFEブロック12−21で先取されてしまう。
第2セットは6−9から永井C、ラリーから馬ダイレクト、鎌田強打で9タイとする。馬強打、本国に替わってピンサ吉田はラリーから鎌田強打で12タイ、必死に粘るが、JFEの軟硬ある攻めに追いつけなくなり、3度の3連続失点を喫し、あっという間に離され14−21で敗れた。

◇  ◇  ◇

順位トーナメントは棄権した2009年を除くと1997年以来となる。その1回戦は韓国の釜山トングラミクラブとの対戦になった。過去の韓国勢の成績からして特に臆することなく臨むこともでき、ストレート勝ち。ただ、相手に好サーバーがいて対応できないと、やられ放題(相手のミス待ち)になるのが不安材料か。
2回戦は松本市役所と再度対戦。やはり相手も対策を練ってきたと思われ、第1セットは16−17からの4連続得点で奪うことができたが、第2セットは中盤の4失点で抜け出され、フルセットに持ち込まれた。
しかし第3セットは馬強打、高橋サービスエース、松本レフトフェイントアウト、松本つなぎオーバータイムス、鎌田強打、松本レフト強打をブロックで6−0とし、中盤でも5得点して13−5、後半はシーソーで乗り切った。

この試合はよくぞ踏み止まった。第3セット開始前、RI東北の選手は壁に寄りかかったりベンチに座っていたりストレッチしたり、疲労困憊の様子が見て取れる。対し松本市役所は監督の指示を聞くなど集中しているかに見えたが…RI東北の気合いは萎えていなかった。それにしても勝負というのは分からないものだ。
そして何とかこぎつけた順位トーナメント最終戦、相手は住電伊丹同様、V9チャンプの入替戦出場決定戦で敗れたPES津、今度は負けられない。

第1セットは大熱戦、前半は津がリードするが、中盤から東北が追い上げ、白熱の展開となる。津ライト強打、津中央から強打15−17、佐藤B、津ライト強打、馬リバウンドもノータッチ判定でオーバータイムス、馬強打、ラリーから津FR強打で17−20と追い詰められた。
ここから馬強打、石川強打、ラリーから馬強打、驚異の粘りでデュース。津FR強打、馬強打21タイ、津FR時間差、馬強打の津返球はマーカー外22タイ、津ライト強打、鎌田軽打23タイ、津時間差、ラリーから津返球はネット24タイ、本国に替わってピンサ吉田は津中央から軽打をブロックオーバーネット、ラリーから馬強打がアウト、惜しくも24−26で落とす。

第2セットはもはや集中力がなく、前半で1−6 → 6−14と大差を付けられた。ほぼ反撃の目処も立たず、14−21で敗れ去った。
2セット目は明らかにパフォーマンスが落ちた。第1セット、あれほど馬の攻撃が決まっていたのに、第2セットはわずか1点、しかも14点目では為す術がない。他の選手も似たようなものだが、「1セット目終盤の動き、あれをどの試合でも出せていない。練習で本気出してないからだろう」と門脇がつぶやいていた。
ベストな状態に遠い中ではやはり連携した動きが悪く、それが積み重なって大きなミスに繋がることが多かった。持っている実力を発揮すれば引けは取らないのだが…

最近、最終日は初戦敗退が多かったので、3試合っていうのは身にこたえたのではないか。優勝への道程は強いチームと3試合戦わなければならないので、こんなものじゃない。ラインクロス含めたサーブミス、つなげないサーブカットミス、2段トスミス、オーバーネット…チームも失点の半分くらいはミスじゃないかという展開では到底勝利はおぼつかない。
大会通して連続失点を止めたいけど止める術がないという感じ。決定力としては上位に対してサーブが決まらなくなり、抜け出すきっかけがなかった。負けから何を学ぶか…進むべき方向をしっかり決めて、また新たなる目標へ。
少し逆風が強いが、選手全員がしっかりプレーできる状態で全国大会に臨む、まずはこの基本をきっちり押さえないといけない。そして次こそは栄冠を。とりあえずお正月は(1月に試合が無くなったので)ゆとりを持って迎えられる…