かなり 実録 バレー部物語

・流れを止めるな

全日本総合は京都市で開催された。今回もメンバーには万が一のために監督の安重が選手登録しているが、曖昧な選手兼監督の確認手順だったため、明確な対処が取られた。
まずは最初の全員整列ではユニフォーム姿で並び、ホイッスルで相手選手と握手し、ベンチに下がって、副審が背番号を確認後、ジャージ着用、という手順になっていた。
予選グループ戦相手のヤマハは、先のV9チャンプ入替戦出場チーム決定戦で、組み合わせ抽選により対戦は回避されが、その時点で総合での対戦が分かっていたので、当然お互い意識はしていたことであろう。

その第1セット、5−1でリズムを掴むと、ヤマハオーバータイムス、ヤマハAを佐藤ブロック、 鎌田サービスエースで10−4と引き離す。
16−8から3失点したが、針生時間差、熊谷サービスエース、ヤマハレフト強打ネットで3得点し、そのまま先取。
第2セット2−4からヤマハライト強打アウト、ヤマハブロックフォローがホールディング、ライトから佐藤強打、佐々木強打、永井C、針生時間差、佐々木軽打をブロック吸い込み、ヤマハ時間差をブロック、鎌田サービスエース、佐々木強打、ヤマハライト強打はネットで13−4、怒涛の11点連取を見せ、ストレート勝ちした。

1セットが大差だともう1セットは苦戦するというのがよくある光景だが、2セットとも圧倒でき、初戦としてはまずまずのプレー。
それにしても第1セット序盤、得点板の点数がやたら増えていくと思ったら、どうやらファーストサーブのミスでも点数を加えていたらしい。何回か点数を戻したりしているうちに間違えたのか、「おかしいな…ウチが1点少ない20点で終わってしまった」と、ギャラリーでスコアを付けていた澤がつぶやいていた。

決勝トーナメントは2回戦で横河電機との対戦に決定した。シードゾーンではないため、ここを突破すれば先が開けてくる。
でもウチより住友電工(第1シード)のゾーンに目がいってしまった。何と順当なら2回戦で富士通との実業団決勝戦が再現、そして3回戦で昨年の櫻田記念準優勝のJFE西日本と対戦する組み合わせとは。これじゃ第1シードの恩恵が全く無い…

横河電機戦第1セット、横河が0−4とすれば東北も9−6と逆転する激戦。横河Aフェイント、横河サービスエース、佐々木2段トスドリブル、横河サービスエースで13−14と逆転されるが、永井C、佐藤サービスエースで粘る。
針生の時間差と針生サービスエース、鎌田リバウンドを横河オーバーネットで18−16と一歩抜け、鎌田、佐々木の強打で逃げ切った。
第2セット、ミスも絡んで1−6、何とか挽回を図ろうとするも凡ミスでなかなかリズムに乗れない。11−15から横河のコンビと連続サービスエースなどで5失点し、勝負はフルセットにもつれ込んだ。
第3セット、東北がリードして横河追いつく応酬で10タイ。針生時間差、佐々木強打で14−12も、横河はレフトにボールを集めて16−19と逆転。
必死の挽回も佐藤のサーブで横河のカット乱れ、ダイレクトで押し込もうとした永井のブロックに触れて自コートに落ち19−21、無念の敗退となった。

澤が「第2セットが全て」と言うように、ミスが多発して空回りしてしまった。第3セットは相手が2回もピンチーサーバーを投入するという、何としてでも勝つんだというメッセージがあったが、こちらはメンバー構成上、タイムアウト以外に展開を変える方法が無いのも厳しい。終盤ちょっと受け身になっての連続失点が悔やまれる。
最後まで粘ったが、横河のレフトがどうにも止まらなくなってしまった。一昨年の総合でTHK甲府のライトに手が負えなくなった、あれに近い状態。こうなると相手は繋げば何とかなるという希望が湧き、集中力も増す。

またもトーナメント初戦敗退…「自分たちが点数を取れるところで取り切れなかった」と安重。住電伊丹は敗者復活をギリギリで勝ち上がるという苦しい状況から、第3シードの群雄会にも勝ってベスト8という成績を残した。これは重要な局面を凌いでモノにしたからだろう。
その住電伊丹対群雄会の試合は伊丹が1セット取って2セット目も圧倒的にリードしていながら逆転されてフルセットに持ち込まれた。パナソニックES津対THK甲府の試合は第3セット津が確か17−11くらいから逆転負けを喫するという展開だった。
些細なミスで流れが一気に変わるところを目の当たりにし、ウチは些細どころじゃないミスの多さを如何に解消していくか、課題は大きい。
選手たちも「内容は良くなってきたけど、やっぱり勝たないと」と自覚していたが、1ヶ月後の全国大会初戦は横河電機である。早くも試される場面が待ち構える。

◇  ◇  ◇

12月1週目、V9チャンプリーグの入替戦が伊勢崎市で行われた。入替戦出場チーム決定戦1位のRI東北とV9チャンプリーグ8位のサンデンホールディングスとの対戦。8位と言っても、そこから巻き返して全日本総合では4強入りを果たした実力チーム。
ここ一番に懸ける技術、気力、集中力が、やはり相手が上手だったということか、ストレート負けで昇格ならず。全国大会間近ということ、せっかくの遠征で1試合じゃもったいないということもあり、入替戦後に練習試合を行った。


・揺らぐ足元

櫻田記念は石川県金沢市で行われた。選考対象の全日本実業団で早々に敗れていたため、出場が危惧されたものの、北海道・東北ブロック枠で見た場合の活動が加味されての推薦だろう。
ただし、今のままでは上位に太刀打ちできないのは目に見えている。しつこく、粘り強く食らいついていく精神力が試される。少なくとも総合での横河電機戦のようなしぶとさが発揮できれば、少しは抵抗できそうなのだが…

予選リーグ第1戦、横河電機戦第1セット、2タイから横河時間差、熊谷のカットミスから横河ツーアタック、横河FR軽打、針生弾く横河サービスエースで2−6。
更に東北オーバータイムス、横河は中央から軽打、サービスエース、レフト連続強打で4−12。負けじと鎌田強打、佐藤ライトからフェイント、横河中央から強打をブロックして7−12、佐々木連続強打、横河レフト強打アウト、永井Cで14−16と2点差まで迫る。しかし最後は横河連続サービスエースで16−21。
第2セット、0−5とまたも苦しい展開、サーブカットが乱れて2−10となってしまう。ここでも5得点で反撃開始すると、横河レフト強打アウト、横河レフト強打をブロック、佐藤のサーブで崩し横河2段トスドリブル、横河レフト強打をブロック、13−14の1点差まで迫る。しかし…またもやしかし、長いラリーを横河レフト強打で決められると、時間差アウトにホールディングなど痛いミスで16−21、リベンジならず。
こういう流れだったので、2セットとも前半にタイムアウトを使い切ったために、終盤の要所で相手ペースを止められなかった。

富士通戦第1セットは先の試合の再現か、いきなり1−7→2−10→4−14。ようやく3点連取からシーソーに持ち込むがそれが精一杯、ダブルスコアで落とす。
第2セットは9−10まで食い下がっていたが、強打が拾えなくなり、後半はいいところなく15−21で敗れた。あっけなく決勝トーナメント進出を逃す…というところか。観戦していた総監督の門脇が「ミスの仕方が素人っぽい」と言っていたが、まさに言い得て妙。
ローカルの地区大会とかでありがちな、サーブを入れるだけで返ってこないような…極端に言うとそんな感じ。

川崎重工戦、石川からのコンビ。=いしかわ総合スポーツセンター
川崎重工戦第1セット、今度は東北が走る。9−1と大勢を決めたかに見えたが、相手は連取を繰り返し徐々に追い上げ、16−14とされる。ここで針生強打、佐々木強打、川崎Aをブロックして抜け出し先取。
第2セット、12タイから川崎7点連取…強打アウトにサービスエース連発でセットタイに持ち込まれる。第3セット、シーソーの展開から川崎ダブリに乗じて永井C、川崎オーバータイムス、鎌田強打、熊谷サービスエースで16−10、フルセット勝ちを収めた。
第2セットは相手好サーバーに対処しきれず落としたが、どうもウチの選手はとんでもないところに吹っ飛ばしたり、見逃したり、繋げないカットミスが多い。

リーグ1勝2敗の3位で順位決定トーナメントに回り、1回戦は四国電力と対戦。2セットとも接戦となり、第1セットは6−11と危なかったが後半追い上げ、第2セットは逆に後半17−10から追い上げられたが何とかストレート勝ち。
2回戦は明治大阪との対戦。第1セット、今大会何度も経験している連続失点で3−10となっては、挽回もままならず落とす。奮起の第2セットは両者3点以上の連続得点を与えない緊迫した展開。前半に鎌田、菊地、佐藤のサービスエースで奪ったリードを手放さずにフルセットへ。
第3セットも2セット目と同じような点数推移で、まず東北が鎌田強打、佐藤サービスエース、 明治強打アウトで10−7とリード、明治が追う展開。
今度は14タイと追いつかれ、18−17から永井強打アウト、明治A、佐々木強打がブロックされ18−20。最後は佐々木のサーブで崩したが、菊地の時間差が白帯でバウンドし、難なく拾われ明治レフト強打19−21。

リードを守れずあっけなく逆転されたところに、現在の実力が浮き彫りになったと言える。基本的なミスが多いというか、ちょっとしたことなのだが、積み重なれば大きな差となってしまう。勝つことがどんなに難しいかを思い知らされた。
負けはしたが、終盤の熊谷はサーブカットをガンガン上げており、あの集中力、あれをもっと発揮できていればというところ。
菊地は途中交替だったが自ら決めていたし、そこから勢い付いた。ただ最後の最後、あそこの厳しい場面、それを決めるために何が必要かを模索していくことだろう。

全国大会で中部徳洲会病院と住友電工のどちらも優勝を逃すというのは、2009年の新潟国体で東北リコーが優勝して以来7年ぶり、どちらも決勝に進めなかったのは2008年実業団の富士通vs日本精工以来8年ぶりとなった。
そしてその頂点に立ったのが初優勝のJFE西日本であり、今後勢力が変わっていくか注目される。

RI東北として今年の全国大会は9試合しかしておらず、しかも負け越し。年間のベスト8入りも20年で途切れることになった。幸いにも選手は下を向いておらず、雨降って地固まるとか、何も咲かない寒い日は…、明けない夜はない、などの言葉もある。
メンバーも少数でギリギリの戦いが続いたが、このまま終わる訳にはいかない。新たな歴史を切り開かなければならないが、さて、新戦力も望めない中でどう立て直すか。スタッフ陣は頭の痛いところだが…まさかの手を打って出ることになる。
来年こそ、期待している皆さんへ勝利を届けよう!