かなり 実録 バレー部物語

・8強ライン

3月第3週、神奈川湘南カップが住友電工横浜体育館で行われた。今年最初の対外試合だったが、いろいろ試しながらのプレーであるため、6ゲーム(2セットマッチ)中で1ゲームも勝ち越しできなかった。
4月第3週、東北・関東交流大会が行われた。いつもは村田町民体育館で開催されるが、今回は補修中とのことで、RI東北体育館と岩沼市民体育センターでの実施となった。また大会名称も変更され、強化練習会から若干準公式戦っぽくなっただろうか。
内容的には新人を入れたり、ポジションを入れ替えながらのプレーだったので連携は今ひとつ。劣勢では個人技に頼りすぎるところが見受けられるが、乗ってる時の勢いは凄まじく、一気に引き離す場面もあり、湘南カップからは良い形が見えてきた。
4月の最終週は静岡・神奈川遠征。そして5月からは元号が令和に変わる。創部50年に対し平成は30年を占めるが、全国大会常連となり優勝まで果たし、まさしく飛躍の時代であった。令和も引き続き活躍の場とできるか。

令和最初の公式戦、実業団県予選(決勝1試合のみ)ではNittoにストレート勝ち。第1セットは2タイから16連続得点と圧倒し、反動で第2セットは雑になってしまったが、まずまずのスタート。
遠征も含めて好感触を得た。

((( Idle Talk )))
実業団県予選より新調したユニフォームを着用、20年ぶりにメイン配色が赤以外の黒基調となる。旧ユニもまだ使用するということなので、2種類以上を使用するのも20年ぶり。
選手たちの感触は「チョー薄い!」 「サラサラ感」という印象。最新の素材で優れた吸水・速乾効果なのだが、このあと冬場の試合になると逆に寒くて、来年以降の冬試合で着なくなるというオチになっていく…
燃え盛る赤と圧力・自信を感じさせる黒で暴れまくれるか。

6月第2週、赤城カップが行われた。RI東北は全6試合中5試合がフルセットの激戦を繰り広げ、予選では住電伊丹を下すものの準決勝での再戦で敗れた。決勝は住電と住電伊丹の対決となったが、都合により両者棄権。3位決定戦で横河電機に勝ったRI東北が優勝扱いとなった。
収穫はあったが実質3位なので満足はできない。上位チームは全国大会までにレベルアップしてくる。RI東北も昨年と同じ轍を踏まないよう、ここからしっかり上昇していかなければならない。

◇  ◇  ◇

全日本実業団は愛媛県松山市で開催された。宮城は梅雨明け寸前で、ようやく暑くなり始めたところでの愛媛入り。暑さ慣れしていないので体調の変化が心配なところ。
RI東北は実業団で優勝こそ1回あるものの、ベスト4以上となると他の大会よりも少なく、チームの完成度や暑さに弱いことなどが関係していると思われる。その“完成度”に関して、「いつも仕上がりが遅いので、その辺を意識してやってきた」と江口、結果的にも昨年(2回戦敗退)の二の舞だけは避けたい。

予選Gはジェイテクトスピアーズとの対戦。出だしにつまづき2−5となるが、佐々木時間差、渡辺リバウンドをジェイテクトのオーバーネットや2段トスドリブル、佐藤Cで一気の逆転。
10タイから鎌田と渡辺の強打などで4点連取、シーソー後に渡辺軽打、佐々木サービスエース、ジェイテクト中央から強打アウト、佐々木サービスエースで再度4点連取で21−15。

第2セットは相手ミスに乗じて9−5とリードするが、ジェイテクトはツーアタックやフェイントで追い上げ10−9と迫る。
永井のBでここは断ち切ると、14−13から永井A、永井のサーブで崩しジェイテクト2段トスドリブル、鎌田ライトから軽打で差を広げ、終盤も相手ミス絡みの4点連取で21−15、ストレート勝ちした。
やってる方は妙に余裕があるように見えたが、2セットとも最後の4点連取がなければ、どう転ぶか分からなかった。第1セット1番サーバーから5連続ダブリだからね…これは普通じゃない。
「自分も含めて少し楽観的なところがあった。引き締めなければならない」と、江口も危機感というか気の緩みを感じていた。

決勝T抽選の結果、RI東北は1回戦からとなり、順当に勝ち進めば3回戦で第5シードのJT東京と激突。「今日みたいなことがないように、どんな相手だろうが自分たちのバレーをしっかりやること」と、初っ端から全力で戦うことを確認した。
どうしても先のシード勢との対戦を意識してしまうが、しっかり1回戦から集中したいところ。1回戦の神鋼環境ソリューション戦、勝って2回戦はNTNとの対戦になれば、3年前の実業団で神鋼と予選G、決勝TでNTNという苦い過去がある。
このとき神鋼にはフルセットで苦戦。切り抜けたものの、NTNにはストレート負けで1回戦敗退を喫している。少し苦手意識のある西日本勢相手に勝利なるか。

神鋼との第1セット、1タイから永井B、渡辺強打、神鋼のミスが続き5−1とすると、佐々木時間差、神鋼時間差アウト、佐藤C、神鋼Aネット、神鋼中央から強打をブロック、渡辺強打で15−5と圧倒。最後は鎌田フェイントで21−8。
第2セットも猛攻は続き、佐々木軽打、神鋼中央から強打ネット、渡辺強打、ラリーから渡辺強打、鎌田サービスエース6−1、渡辺強打、佐々木連続サービスエース、神鋼時間差をブロック11−4、佐藤強打、佐藤軽打、鎌田強打16−7と攻撃の手は緩めない。
最後は神鋼レフト強打アウトで21−11、細かいミスはあるが2セットとも前半で勝負を決めた。昨日のデキが嘘のよう、やはり意識一つでチームはガラリと変わるというのが分かる。

NTNとの2回戦、永井A、梅津サービスエース、永井オーバーハンドで返球をコート奥に返し3−1、渡辺軽打、NTNセッタートスドリブル、鎌田裏時間差6−1と、先の流れを継続。
中盤以降、相手の連続ミスが多くなり17−10とすると、最後もNTNブロックオーバーネットで第1セット21−13。
このまま行くかと思われたが、2−7からサービスエースを決められたり2段トスドリブルなど5連続失点。ここは佐藤の強打で逆転は許さない。
そしてNTNのライト強打をブロック、レフト強打アウト、ライト強打ブロック18−13と流れを渡さず、19−15から工藤に替えてピンサ佐藤、鎌田に替えてピンチブロッカー今野と2枚替えからNTNライト強打ネット、佐藤強打で21−15とストレート勝ちした。

JT東京戦、永井のBクイック。=松山市総合コミュニティセンター体育館
3回戦のJT東京とは昨年の櫻田記念でも対戦し、フルセットで勝利。ただ横河電機戦のように、上位との同一チームに対してなかなか連勝できないという弱みもある。
第1セット、連続得点の取り合いで勝ったのはRI東北、鎌田フェイント、JTレフト強打アウト、佐藤強打、JTネットプレードリブル10−7。
永井Bフェイント、JTライト軽打をブロック12−9、永井B、JTレフト強打をブロック14−10、渡辺リバウンドをJTオーバーネット、鎌田サービスエース16−11と着実に引き離す。
最後も渡辺強打、JTつなぎミス、佐々木のサーブで崩し鎌田ダイレクト、石川裏時間差の4連続得点で21−13。

第2セット、またも連続得点の取り合いはJTに軍配が上がり、6−10とされる。ここからシーソーで凌ぎ、佐々木強打、JTライト強打をブロック、佐々木のサーブで崩し渡辺強打で13−14まで迫り、ようやく東北に流れが傾き始める。
すると鎌田強打、佐藤C、JTレフト強打をブロック、佐藤Cフェントでついに18−17と逆転。
鎌田強打、JTレフト強打をブロックしてマッチポイント、清藤はダブって嫌な雰囲気になりかけたが、佐々木の時間差できっちり決めて21−19と逃げ切った。

シードチームを撃破! この試合はブロックが効果的だったが、この辺は強化の成果が出たと言える。
一番ホッとしたのは永井か? 昨年出場した実業団では2回戦敗退、怪我で出られなかった総合と櫻田記念でベスト8じゃ、自分がいる意義を失いかねない。 …そんなこと気にしてないとは思うが。
実業団では4年ぶりのベスト8進出、もう一つ勝ってベスト4となれば2006年(13年前)まで遡ることになる。それだけRI東北にとって真夏の大会でのベスト4というのは難関だ。

◇  ◇  ◇

翌日…JFE西日本との準々決勝第1セット、3−1と出だしは相手ミスで上々の滑り出しだったが4失点すると、こちらが1点取っても2点、3点を奪われる格好となり、あっという間の9−18。
ここからシーソーに持ち込んでも手遅れ、佐藤強打、JFEライト強打ネット、永井Aフェイントで3点返したが、JFEのCで14−21。

奮起の第2セットは佐藤強打、佐々木時間差、JFEつなぎ返せず、JFE中央から強打をブロック5−2とすると、永井B、JFE2段トスドリブル、JFEライト強打ネットで8−3と大きくリード。
だがJFEは中盤から反撃開始、時間差やサービスエースで11−10の5点連取、佐藤強打をブロックして12タイと追いつく。
一進一退の攻防から永井B、佐々木サービスエース、JFE時間差アウトで18−15と突き放す。しかしJFEは底力を見せ、巧みにオーバーネットを誘ったりブロックアウトなどで18タイとし、JFEのA、ライトフェイントで18−20とマッチポイント。
JFEダブリで何とかつながったが勢いは止められず、JFEレフト強打19−21。

跳ね返されてしまった。第1セットは、いわゆる負けパターン。7−6以降、相手がセットポイントを取るまで連続ポイントが取れなくなってしまった。
悪いところ全部出たでしょ。カットミス、ダブリ、オーバーネット…2段トスドリブルはなかったけど、その展開まで至らなかっただけ。ブロックも相手の速い攻撃に付いていけず0本だった。
第2セット、大きくリードしてもすぐに追いつかれた。5−3から3連続得点しながら、ここでダブり。こういう流れを断ち切るプレーが、あとで大きく響いてくる。
11−5からの5失点は、手に負えないようなサーブじゃないのにカットミスを連発してしまった。「強いサーブを意識して後ろで守っているところへ少し緩いボールが来た。オーバーハンドでカットできれば、もうちょっと前で守れるんだけどね」と門脇。JT戦の時と逆の立場になってしまったかな。

まだベスト4の器にあらず、ということだろう。そこの段差は大きいね。が、着実に近付いてはいる。手堅くどう1点を奪うか…これも一丸で考えていかないと。
JFEは強かった。劣勢からしっかり立て直すし攻守のバランスもよかった。そして勢いもあって初優勝。一応RI東北も優勝チームに少し抗えたので、「一筋ではあるがチャンスがあるという証左」と、結果を聞いた戸倉社長からのメッセージがあった。
昨年地元開催の悔しさを晴らしたとまでは言えないだろうが、3大会連続ベスト8以上っていうのは2011年から2013年の7大会連続以来なのだから、自信にしていい。

まあでも負けた原因のひとつとして、応援用のスティックバルーンを持ってこなかったことも挙げておこう。最終日、他チームはバルーンで気合い入れた応援を展開していたが、ウチは今大会出場したリコーの選手たちが観戦してくれたのに、応援要請もできずただ観てたという感じ。
「昨日までもそうだけど、やっぱり拍手だけじゃね。いつも持ってくるはずなのに…」と澤は激怒(って書くと誇張しすぎ?)していた。

今大会でV9チャンプリーグ所属以外での最上位チーム扱いとなり、全日本総合への出場が決まったのは朗報。早速、推薦状が渡された。「県予選が無くなったので、何か予定を入れたい(笑)」と鎌田は言っていた。
昨年の例だと第10シード扱いかな? 予選Gは免除ではないので、一発決勝Tよりはいいんじゃないだろうか。
櫻田記念もほぼ推薦確実ということで、今回のベスト8進出には大きな価値がある。

宮城に戻ってきたら既に梅雨が開け、熱帯夜になる暑さ。仙台空港の手荷物受取所には、仙台七夕の吹き流しが飾られていた。いよいよ夏本番だ。
手応えをつかみ、力不足を感じた実業団。まだまだやれることはいっぱいあるし伸びていける。しっかり糧として前に進んでいこう!


・もう一段、克服に向けて

10月第2週に埼玉県加須市での開催予定であった全日本トップリーグ(V9チャンプリーグ)入替戦出場チーム決定戦は、台風19号接近による大荒れの天気が予想されるため中止となった。
まさかまさかの中止…ここ最近、自然災害での中止が多くなってきている。大雨による影響でRI東北も冠水被害に遭い、駐車場は池と化してしまった。事業所は阿武隈川と白石川の合流点付近に位置しており、もし堤防が決壊したらその被害は計り知れないところだったが、何とか持ちこたえてくれた。
なお、この台風で同時期開催予定だったV9チャンプリーグも中止に。ということで入替戦も無しとなり、昇格へ向けてはまた来年頑張るしかない。

10月第3週、ZAOカップがRI東北体育館で開催された。5チームでのリーグ戦の結果、全勝でRI東北がホストチームの面目を保ち、4連覇を果たした。
Nitto戦でフルセットと少しふらついたところもありながら、昨年負けたサンデンにはフルセットで雪辱した。各チームともベストメンバーが揃わないような状況ながら、全国大会で相まみえる可能性もあるため、この勝利は心強い。
佐々木のサーブが強烈だったが、決定力にやや難があるRI東北としては、やはりこういう飛び道具が武器として計算できると強い。だからこそ、ピンサで有効打が少ないのがちょっと物足りなく感じる。

今大会は新人の晴山がセッターとして全試合に出場、まだコンビが合わないシーンが多々あったものの、何とか乗り切りった。いつまでも工藤に頼りっぱなしにはできないからね。
レフト渡辺も奮闘、硬軟織り交ぜたプレーは安定感をもたらせてくれた。満を持してバックから石川の攻撃参加もグッドコンビ。ノーマークで完璧!
今野は足の故障で出場できなかったが、少し前に練習中で痛めたとのこと。しかし、最初は誰にも相手にされなかったらしい。「またまた〜とか言って、誰も本気にしてくれない」と今野は言っていたが、まあ昨年の櫻田記念での出来事があったので信用されないのはしょうがないな。
各自手応えを感じつつ、終盤戦へ臨む。

((( Idle Talk )))
ZAOカップ第1戦で大澤 東北実連理事長(RI東北元監督)が指導されている愛子バレーボールクラブ(スポ少)の皆さんが観戦した。で、まさかここでプロ野球・楽天イーグルスの「ゼラス・ウィーラー」の応援歌に乗って声援いただけるとは思ってもみなかった。しかもふた手に分かれて相手チームにも同様に、というところが素晴らしい。
他にもバリエーションがあり、挨拶もめちゃくちゃ元気。選手も何かを感じてくれたことだろう。頼もしい応援、ありがとう!

今大会にはパナソニック新潟が参加してくれた。新潟は全日本総合には県予選敗退で出場できないが、櫻田記念に選抜され初出場となる。
Nittoも昨年初出場だったので、その胸の内を語ってくれた。「強いチームといきなりですから。もうメンタルがやられました。俺たちはここにいていいのか?って感じです」。
そう言えばRI東北も東北リコー時代に櫻田記念初出場の年は全日本総合に出場できていなかった。しかし櫻田記念では前年の全日本総合で優勝した横河電機にフルセット勝ちを収めている。他の試合は全部負けたが…
ここでの経験が糧となり、翌年の決勝トーナメント進出、そして最終日常連チームへとつながっていった。新潟も目一杯もがき苦しんで、何かをつかめればと思う。

翌週、全国社会人東ブロック大会でリコー沼津が見事優勝! こちらも負けてられない!!