かなり 実録 バレー部物語

・プレーする喜びを感じて

2020年2月…納会や選手の結婚披露宴があったり、まだその時は対岸の火事的な感覚だった……ところがそれからほどなくして、日本国中が恐怖に慄くことになる。そう、新型コロナウイルス感染症である。
マスク、消毒液、除菌シートなどが店頭から消え、入荷してもすぐに売り切れ。ネットでは高額で取引されている。布製マスクを何回も洗って対応することも。
今までマスクと言えば不織布のプリーツ型がほとんどだったが、立体3D型、韓国発のKF94型(柳葉型・くちばし型)、ウレタン製、カラフルなデザインなど様々なタイプが登場することになり、自分に合うマスクを選べるようになっていく。

体温計とかも数ヶ月待ち…もはや尋常じゃない。2月22日から神奈川遠征をする予定だったが中止となる。「いったいどうなるのか…」相手はウイルスなので、パンデミックになったら手の施しようがない。ワクチンとかこれから対策されるだろうが、何回かの波を経て、弱毒化→普通の風邪になるのを待つしかないだろう。
3月24日には東京オリンピックが1年延期となることが決まった。オリンピック期間中、首都圏では交通の混雑が予想されるため、テレワーク・リモートワークの一斉実施で凌ごうという計画があった。事前にテレワークデイズを設けたりして推進してきたが、なかなか進まず…まさかコロナ禍の影響で急加速するとは…皮肉なものだ。

◇  ◇  ◇

4月11日からいつもの東北・関東交流大会を主催するはずだったが、もう個人的な判断でどうこうできるはずもなく中止に。4月16日には全国に緊急事態宣言が発令される。
ゴールデンウィーク中の静岡遠征・山梨強化練習会も中止、そして実業団県予選も中止…案の定、全日本実業団も中止となる。それは75年前に戦争で中止になったとき以来…如何に今が深刻な状況なのかが分かる。

ただ日本は海外に比べると桁違いに感染者が少ない。みんなマスクするし、家には土足で上がらない、街中にあまりゴミは落ちていない、水道水は安心して飲める、トイレが綺麗…また英語圏の発声は唾がやたら飛ぶらしい。日本人は一人で食事することにも違和感ないし、潔癖症と言われるほどの国民性が功を奏しているか。
何とか予防対策をしつつ年度後半は大会を開けそうな感じだった。ただ9月の総合県予選は中止、ということは全日本総合も残念ながら中止に。10月にようやく練習試合ができるまでに至った。

コロナ禍の第3波が来たかという11月第2週、波と波の間を縫ってセカンドリーグが2会場で開催され、RI東北は茨城ラウンドに参加(もう一つは埼玉ラウンド)。まだ棄権チームが出るような状況だったが、RI東北は予選リーグ、決勝トーナメントをオールストレート勝ちで優勝することができた。
開催にあたり一般観客の来場禁止、健康チェックシートの提出、競技以外のマスク着用、会場入館時間の分散、ベンチの消毒、チーム待機場所(観客席)の指定、試合開始時の握手禁止、その他諸々…多くの感染予防対策が実施されたが、選手はいつも以上に試合ができることを感謝してプレーしたことだろう。
しかしマスクして笛を吹く審判はつらそう…

コロナ禍では練習さえままならない。それでも地道にこなしてきた成果が出た。準決勝の東京東信用金庫戦では新人の高城がラリーからの2段トスを決めて、今大会唯一のデュースを25−23でもぎ取るなど若手も十分に活躍しており、12月の櫻田杯(トップリーグ)での入替戦も期待できそうだ。
…が、櫻田杯も結局中止となり、入替戦も消滅。セカンドリーグの優勝にあまり意味がなくなってしまった。まあ来年度のセカンドリーグには優先的に出場できるというくらいか…

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12月第1週、今野、佐藤の引退試合を兼ねた紅白戦が行われた。中途半端でシーズンが終わってしまったので、年度を締めるという意味もあった。
3セット行われ1セット毎にメンバーをシャッフルしたが、3戦全敗は引退する今野(3回目の引退?)のみというオチ…しかし真剣さの中にも楽しい表情にあふれ、試合後は胴上げ。充実したゲームだったと言えよう。

2021年度に向け、更なるバレー部の発展を。


・バトンをつないで

2021年もコロナ禍は収まらず、大会は実業団もセカンドリーグも総合も軒並み中止に。まだまだ先行き不透明な状態が続く中、ようやく感染状況も下げ止まり傾向となったところで、12月のトップリーグ開催(京都府・日向市、宇治市)が決定した。RI東北も前年セカンドリーグ茨城ラウンド1位として参加した。
大会名は「トップリーグ」ではあるが、ここまで様々な大会が中止となり、出場したくてもできないチームが多いため、実業団・クラブチーム問わず過去の成績から参加可能なチームを募り、櫻田記念タイプの予選リーグ→各順位トーナメントという形式で実施される。
ただし予選は8組あり、そこにトップリーグ勢8チームが振り分けられた。予選リーグ1位だけが最上位の1位トーナメントに進めるため、トップリーグ勢を倒さなければいけないという狭き門。RI東北がいるグループでは、トップリーグ1位のチームと当たることになる…
なおトップリーグ関連未関係のチームもいるので、入替戦などは行われない。

リーグ初戦はビクトリーとの対戦、若手中心で挑んだ第1セットは14点以降にタッチネットやオーバーネットなどの不意なミスが響き、落としてしまう。第2セットはベテランを入れダブルスコア、第3セットは更に加速し、ひと桁に抑えた。
1セット目はまさしく自滅、自分たちのミスがモロ影響した展開。若手アタッカーはネットプレーもリバウンドもしないため、相手はやりやすかっただろう。「ちょっとプラン変更」とコーチ兼務の永井、若手のまま乗り切る予定だったが、さすがにリスクが大きいと感じ、ここはベテラン2人を投入してフルセット勝ち。
しかしここまで劇的な点差になるものなのか…いい流れは簡単に切らさない。こういうところを若手は感じ取ってほしいものだ。

2戦目は中部徳洲会病院、ここで勝たなければ上位進出はない。第1セットは5タイから徐々に離され、佐藤の強打がブロックされ10−14とされる。そこから連続得点を奪うことができず15−21で先取される。
第2セットも同様に5タイから高城の強打を徳洲会は立て続けにブロック、永井C、高城強打を徳洲会ブロック、徳洲会ライト強打を高城ブロックオーバーネット、高城の脇をすり抜ける徳洲会サービスエースで6−10。
何とか追いすがろうとするが、なかなか波に乗れず高城強打アウト14−20、ラリーから高城強打、徳洲会レフト強打15−21、ストレート負けを喫した。

序盤こそ互角だったが、離されたら追いつくチャンスはほぼなかった。徳洲会はダブりも多くて本調子には程遠い感じだったが、それでもやはり完成度はウチに比べて遥かに高い。「まあ15点っていうのは並のチームでも取れるだろうし、立ち位置が分かって良かったんじゃないですかね」と門脇。
第2セットは高城が止められ続け、それでも敢えて上げる晴山、それに応える強打、一つ間違えばこの大会中に立ち直れないかもしれないところをよく持ちこたえた。
昨年入部した高橋、高城はこれが初めてのトップチーム、しかも現トップリーグ1位との対戦、その強さを肌で感じられたのが収穫だろう。

棄権チームが出たため3戦目は無し、ということで予選2位となり、2位トーナメントへ進む。今大会は勝利こそが全てではないようだし、世代交代が迫る中、若手の成長も促す必要がある。
また、今大会で引退する工藤、針生、渡辺、鎌田の4選手は本来なら昨年で引退していたかもしれない。ここまで多大な貢献をしてくれた選手の最後を飾る試合を、できれば公式戦でしたい。
もし1位トーナメントだったら違う展開だったかもしれないが、2位トーナメントということもあり、初戦はビクトリー戦1セット目のメンバーで勝負し、勝っても負けても2戦目は引退を表明したメンバーとベテラン勢で戦うことを決めた。
当然ながら、初戦を勝って引き継ぐことが使命。

◇  ◇  ◇

2位トーナメント初戦はベストメンバーを組んでも接戦になるであろう日本無線が相手。若手がどこまで踏ん張れるか。第1セットは6−1と好スタートを切るが、徐々に追い上げられ8タイ。
12−14から無線ライト強打をブロック、高城強打など4点連取で逆転、すると今度は無線がライト強打とセッターのツーアタックですかさず16タイにされると、佐々木時間差アウト、高橋Aがタッチネットで16−18とされてしまう。この差を埋められず17−21。

第2セット、8タイから無線はAと軽打、高城、酒井の強打をブロックして8−12とリード、高城ダイレクト、無線ライトプッシュを本田ブロックして追い上げを図るが、無線は時間差と本田弾くサービスエース、本田返球がネットとなり差は開く。終盤粘るも追いつくまでには至らず17−21、ストレート負け。
これが現在の実力か…1セット目16−14から16タイは仕方ない。結果的にはここからの2本が痛かった。オレが決めなきゃっていうプレッシャーが大きかったと思うが、そこに打ち勝っていかなければ。

最終戦である三島市役所戦は、奇しくも昨年のセカンドリーグで茨城・埼玉ラウンド各1位同士の対戦。第1セット出だしから快調、いきなり9−1とダッシュを見せる。中盤では針生をハーフセンターにチェンジする計らい、14−10から6連続得点もあり21−11で先取。
第2セットも4−0、11−3、14−4と怒涛の勢い。工藤の巧みなトス、ブロックをかいくぐる渡辺の強打、鎌田の見透かした軽打、針生の時間差…は往年の破壊力とはいかなかったが、阿吽の呼吸というか、相手を翻弄して21−13、ストレート勝ちで締めくくった。

三島市役所戦、ベテラン勢中心で勝利を目指す。=山城総合運動公園体育館


強い打球が多くなくても点数は取れますよ…と、若手に言い聞かせるような内容であった。つなげば相手がミスしてくれるし、コンビが噛み合えば楽にブロックを抜ける。三島市役所には申し訳ないが、このメンバー構成が今大会一番強かった(一番やりにくい…かな?)かもしれない。
実は大会前日練習で、若手とベテランに分かれて練習ゲームを行ったが、ベテランチームの方が(しかも人数が少ない)優勢だった。もちろん、つなぐだけでは強豪に敵わない。若手がそこを身に付ければ、十分通用する実力に達することだろう。

試合後サブコートに集合し、引退する選手から最後の挨拶があった。全国大会を初制覇してから20年、「まだいるの?」と工藤はよくからかわれるが、針生や渡辺も引退同様の状況からよくぞ復活してくれた。鎌田は入部早々にやめるんじゃないかと言われてたのに、厳しい状況下で主将まで務めてくれた。
後を託された選手は「あのとき引退してよかった」と言われるくらい強くならないといけない。

若手で挑んだ試合は跳ね返されてしまったが、「これが基準になる。チームのいいところを引き継いで強くなっていこう」と江口。時間はかかるかもしれないが、一歩ずつ前進し、そしてまた栄冠を勝ち取ってほしい。
2022年は日常が戻ることを願いつつ、新たな目標目指し突き進め!

To be continued...