注:これはNHKで放送された「コレクター・ユイ」というアニメに関するお話であり、「ラジオスターの悲劇」のバグルスとは関係ありません。
バグルスがやってくる

ネットの中は暗闇で、ただ得体の知れない気配だけが漂っていた。

コレクター・ユイの明るいピンクのスーツが、まるで発光しているかのように淡く光を帯びて
闇の中から浮かびあがっている。
ユイより少し下がったところにハルナ、IR、シンクロ、コントロル、レスキュー。
そしてコレクター・アイはユイの横に、しかし少し距離を置いて闇に溶け込むようにたたずんでいた。
顔を隠すように装着したバイザーを暗視モードに切り替えて、辺りの様子を探っている。

「さあどっからでもかかってらっしゃいバグルス、あんたなんてゴミ箱ぽいぽいのぽいよ!」
コレクター・ユイがワンドを構えて、闇に向かって勇ましく言い放った。

どうしてあなたはそんなに自信たっぷりにいえるのかしら。
根拠なんてないでしょうに。

アイは皮肉ではなくただ素直にその事が不思議だった。
コレクター・ユイは戦いの中で冷静な判断を下すことができず、直感的な勢いだけでおしまくる。
その上彼女は時に唖然とするようなへまをやり、それによってピンチに陥ることもしばしばだった。
しかしそれでも彼女は決してあきらめず、バグルスに戦いを挑む。

「あなたは、何故たたかうの?」

アイはすんでのところでその問いを口に出すのを思いとどまった。
その問いは問われこそすれど、自分が問う資格はないのだから。

「だめだわユイちゃん、やっぱり反応が絞れなくて」
レスキューのレーダーはバグルスの中心を特定できない。
IRのライトも、闇を払いのけるには足りなかった。
「用心しろユイ、どこからくるかわからんぞ。」
シンクロは油断なく構えた。
「大丈夫!バグルスなんかにあたし絶対負けない!」
「そうとも、正義は必ず勝つのだ!」
「そーゆーのじゃなくて」
「・・あら?」
こけるコントロルを無視し、ユイはまっすぐな目をして言う。
「バグルスに感染するのってきっとつらいと思うの。自分はそんなつもりないのに
バグルスのせいでみんなを危険な目に合わせて、暴れたりして。
だからあたし助けてあげたいの。なんとか元に戻してあげたいのよ!
そのためにもあたし絶対負けられないわ!」

この子って本当に・・・おかしな子・・。

アイは何も言わなかった。
だがその胸の中でユイの言葉は形を作って残り、いつまでも消えることはなかった。

ユイの明るい声は続いている。
「ワンちゃんも、あたしが絶対元に戻してあげるからね!」
「ユイ・・・」