そう、この日は Tipographica の広島ライヴの日である。ライヴは最高であった。たぶん、今年最高のライヴだろう。いつもの frockl の広島隔離メンバーの他、S.Y.U.K. のメンバー、Urban のベースの中野力夫妻が顔を見せていた。開演 30 分以上前に会場に着いたのだが、途中の白島 Q ガーデンで、trb の松本さんを発見。「Live 楽しみにしてます」と挨拶したら、丁寧にお辞儀を返されてしまった。腰の低い人だ。ファンである。
本座村氏によるセット・リスト。
ライヴでの菊地成孔氏の MC のひとこま。
例によって菊池さんが、所属している大手某社を学校に例えて、
生徒会長は某、マドンナは某、そしてティポグラフィカには Monsway レーベルとい
うティポグラフィカだけの居場所を作ってくれた、とか言っていた時。お客さんの
一人が「隔離されてる?」と突っ込んだら満場、特に一部がバカ受け(^^;)。「うるさい! 何を言う
んだ、隔離なんかされてないぞお!……被差別学級かな」とか返す菊池さんでした。 (by 本座村)
当日の参加者。ラメントY氏、本座村聖座長、ERuKa編集長、わたしのカミさん。あと、元リアル・ジャズの越智くんと、その旦那のベーシストの中野氏。ラメントY氏の大学の先輩なども来てた。50〜70は入ってたとおもいます。
セット・リストはティポ・マッドの本座村聖座長にお任せするとして。
; サックスの人の話がムチャクチャ面白くて受けまくっていました
;が、これに関しても dagmar さんや本座村さんに紹介していただき
;ましょう。ちなみに以前広島で誰も知らないうちにライブをやって
;いたという噂はデマのようでした。
ss, ts の菊池氏は、かの菊池秀行氏の実弟だそうですが、ほんまですか? キれたような mc の道化振りは凄かったけど。
伊藤直嗣氏の証言。
お、tipo体験されましたね?おめでとう御座います、とあえて言ってしまおう! 菊池さんの MC、面白かったでしょう?あれもこのバンドを生で体験する醍醐味の一つで あります。
会場に入ってまずを目を引かれたのがドラムスのセッティング。小さめのバスドラにのっかってるのはライドのみ。通常タムがある位置には、コンガと見間違えるような小さなメロタムが二つ。フロアタムも小さめのが1個だけで、反対側(HH 側)に普通ならバスドラの上にあるべきサイズのタムが吊ってある。なんぢゃ、こりゃ。あ、シンバル群はふつうでした。ライドにトップにクラッシュとチャイナ代わり。でも、スネアは変だぞ。まず径が異様に小さい。深さはそれほどでもないが径は通常の2/3以下でしょう。
あのスネアの形状から、BB みたいなカン高いパーカッシヴなドラムスを連想してましたが、はずれ。植村系なんでしょう。ここで雷落としが来るぞと想ってると、ちゃんとドンガラガッシャーン!と落としてくれるので、その爽快さと言ったらないよ! ただ一つだけ気になったのが、抜きに違和感がある。なんかもたついて聴こえるキメが多々あったのが残念。
ギターのセッティングは、まぁ、ふつうなんでしょうね。SPX 系のエフェクタが二つ。あとコンボのセットとディレイ、リバーヴと言ったところ。ペダルは3組。うち一つは、懐かしきクライ・ベイビー系のヤツ。本体はメタリックのハムバッキング付きストラト。
伊藤直嗣氏の証言。
外山さんのドラム・セットのセッティングの特異性に気づかれるとはなかなかお目が高い。 確かにあれはかなり変則的で、同時にあのセッティングである必然性が感じられます。 それから今掘さんのセッティングまできっちりチェックは波ではない... 流石です。
今掘氏と外山氏は暗譜。ティポって、今掘氏が外山氏のドラムスを想定してスコアを書いてるのでは?
伊藤直嗣氏の証言。
マーキーで今掘さんにインタヴューした時に聞いたんですが、やはり外山さんがいなければこの楽曲は再現できなかったという意味の発言をされていました。
CDは買っていましたが、まったく聴かないままのライヴ。先入観がないのは佳かったのか悪かったのか。
編成は gtr, bs, drms, kbds, reeds, trb という編成。音もそうだが、ヘルスの2枚目をハードにしたような印象。やたらテクニカルなのかなと想ってましたが、ストレートです。非常に聴きやすい。超絶変態変拍子とか言われてるそうですが、そりゃ、大嘘言です。聴いてみたら佳く判りますが(MC でも菊池氏が言ってましたが)、ベースは4、3せいぜい5です。わたしはこの通常のビートを16とか32とかでパターンを作り、そこから音を抜いていく消去法でリズム・アレンジをしてるんじゃないかと想いました。半分当たってたようです(16、32とかだけで割るんじゃなくて、5連符、7連符とかで割るんだそうな)。終了後、ステージに落ちてたスコアの1枚(trb か reeds のどちらか)を観てみると、4/4拍子で書かれてました。(^_^;) ただ、1箇所、4部音符1個に8部音符3個にスラーを書けて、5連符となってました。2拍を5で割れということですね。(^_^;)
伊藤直嗣氏の証言。
で、殆ど4拍子であるというのは大正解です!(だからあのグルーヴ感があるのかな?) しかし消去法であるところまでは気が付きませんでした。演奏終了後に楽譜を拾ったとは... それは tipo マニア垂涎のアイテム!それを見て確認されたのでは非の打ち所がありませんね。
ところで、はにわにも客演してる trb の松本さん、腰は完治してるのでしょうか。(^_^;)
-- カミさんの言葉 -- ドラムスの外山氏は、23人殺してきたんぢゃないかというような目つきで登場してきたが、演奏の進行に連れてどんどんそれが抜けていったのが印象的。村石氏のように、ストレートに聴き手の耳には入っては来ないが、外見からあの音は納得できる。温厚な松本さんは人格がプレイによく出てる。バンドでいちばんの人格者。ギターの今掘氏は視点が違う。バンドにとっては神に等しい。 -- 引用終り --
今年初めてのライヴが TIPO! こりゃぁ新年早々縁起が佳いわい。来月の Alterd States も楽しみ。
村本隆文氏の証言。
私感では、実は1曲目、これがダレまくってて「うっわー、どーなるんだ!?」と思わされたんですが、それを立て直したのが2曲目、菊池氏のソロでした。彼は「キングズ」や「頭芝」でも見事にひっぱってくれて、「しゃべりだけの人じゃなかったんだ!」と認識を改めさせられました(失礼な奴)。
ドラムの外山氏は、新宿ではヘタに真正面だったのが災いして勇姿がカケラも見えなかったんですが、今回は2列目下手から、知的ケダモノぶりをじっくり見れて満足。
実は私は以前から、出番の少ないキーボードの水上氏の演奏にシビレていて、「日本のケリー・ミネア!」等と(ちょっとオオゲサだけど)おもっていました…ベースの水谷氏は7回のリハでこのツアーに臨んだそうで、同情を禁じ得ない。あ、彼の演奏は無難でした。
後半に行くほど良くなる演奏で、特に休憩から後はテンション上げたりハズしたりゆらゆらしたり(^^;)の自在さが痛快でした。
菊池さんのMCでおもしろかったのが、ツアーの先々で客層が異なるんだそうですが、菊池氏が観た広島の印象はミーハー半分、マニア半分なんだとか。 でも、狭いが満員のライヴハウスは見た所健全なジャズ系リスナーがほとんどで、最前列に陣取って過大に反応していたERuKa、dagmar、らめんとY3氏の存在は菊池さんが受けた印象にかなりのバイアスをかけていたみたいです(^^;)。 でもそのせいで、ミーハーとマニアの期待にともに答える、カットアップMCともいう大技が見れたのは収穫で、3氏に感謝。「よく変拍子と言われるんだけど実はほとんど3拍子・4拍子で、それを8・16・32と細分化してユレを、水谷さんにもお子さんがいて風呂に入れたりしておられるわけで。」とか。 ティポグラフィカのライヴに誘って「最悪のデート」になる前に、まずはZNRとか聴かせて…とか。
次々に挙手を求めるのにはひっかかりました。
「ティポグラフィカのCD持ってる人!」
「ジャズ好きな人!」
「ロック好きな人!」
「プログレ好きな人!」
「レコメン系好きな人!」
と、このへんでハっと気づくと、手を挙げている人は漸減してきてもうわずかに。恥ずかし〜!でもdagmarさんはもうウケまくっちゃってて、後の
「マリファナやってる人!」
「真如教の人!」
でも「はいっ、はいっ」と挙手しつづけるのでした(^^;)。
菊池かおてぃっく成孔氏の MC ですが、ありゃ、典型的な通常のホーンのソロイストの感覚ですね。とにかく、空間を己の意識によって充足させたいという…… ほんで、話が跳びに跳んでるようですが、あれってかんべむさしの『集中講義』(徳間のアンソロジーに入ってる)と同じで、連想に連想を繋いで、さらに連想を繋いで、手癖を混ぜてみて、また連想をつなぐと言うパターンで、前もって骨格を考えてるのかどうか、ともかく、MC でもインプロしまくりですね。
もっとばりばり吹いてるやつないのかなぁ。めめさんの話によると、山下洋輔トリオ(ここではプレイだけでなくモギリもやってたとか(^_^;))、メトロファルス等にも客演してるそうです。
めめさんもソロ・アルバム期待してるそうです。一発欲しいぞ!