配付方法:ThanxMemexWare (フリーソフトウェア) 動作環境:fat application. 開発環境に同じ 開発環境:IIci 8MB with VM / System 7.1 with 漢字Talk 7.1 + 13 inch monitor + System Update 3.0 256 カラー以上 開発言語:SuperCard 2.0e, Symantec C++ 7.0.4, HyperCard-J 2.2.1 Standalone Maker(tm) 1.01, CompileIt!(tm) 2.5.1 Demo コメント:●英作曲家ディーリアスのデータ集です。 この初版では、生涯編、作品リスト、文献リストのみ収録しています。 ●ThanxMemexWare とは、フリーソフトウェアに相当するものとします。 ただし、作者はこれを、感謝をこめて池田操さんに捧げます。 ●開発環境以外での動作チェックは行っていません。 ●fmachyp lib 7-19 にアップロードされているもののスタンドアロン版です。 ただし、じゃっかんのデータのアップデートが含まれています。 ●動作環境に関する補足 KT7.1, 256カラー、68040 以上の cpu が望ましい。 ディスク空き領域 2.5MB、空きメモリ 4.5MB が必要です。 68030 マシンでも動きます。が、スピードは作者の我慢の限界です。 モニタも 13 インチでは狭苦しいかも知れません。モノクロ 1 bit 画面では、 Launcher のポップアップ・メニュー・ボタンの識別が不可能なので、 quit するようにしています。 使用フォント:Osaka : 9, 10 細明朝 : 12, 14, 18, 24, 36 Chicago : 12 Geneva : 9, 10, 12 Monaco : 9 Times : 12, 14, 18 上記のフォント群がないからと言って quit するようなことはありま せんが、変なところで改行したりするかも知れません。
この supercard project は、同名の hypercard stack (第 2 版 1992 年 12 月〜未完) をベースに作られました(この stack は、Grove's Dictionary of Music and Musicians の作品リストを元に、1980 年頃から作り始めた情報カードのメモ群を付加して作成されました)。この初版では、収録したデータは hypercard 版とほぼ同じです。見てくれの変化は、カラー化、マルチ・ウィンドウ化された程度ですが、スクリプトはおおむね一から書き直されました。が、どの程度 supercard らしさが出ているかは、作者自身頭を捻らざるを得ません。『こんなん hypercard で作っても一緒ぢゃん』と言われれば一言もありませんが、面倒なので取り合わないことにします。:-)
内容は、エルガー、ヴォーン・ウィリアムズと並んで、「イギリス近代ルネサンス」三巨頭のひとり、ディーリアスのデータ集です。作曲家に関する supercard project ですが、テキスト・データのみ収録されています。譜例やサウンドは手持ちの資料が少ない上に機材がないので収録していません。主要なテーマぐらい MIDI データを付属させることも考えましたが、入手しているスコアが少ない、音源依存になる等の理由で諦めました。
思いつくままに機能を追加して行った結果 (見栄えの影響も大きい)、このため自宅の IIci 8MB with VM / System 7.1 with 漢字Talk 7.1 では、非常に重たいものになってしまいました。スリム化やスピード・アップも考えましたが、supercard に付属するサンプルですら遅いので、68030 マシン用にチューン・アップ等はしていません。040 マシンで動かした経験はありませんが、1992 年頃、仕事で 21 inch monitor / フルカラー / Quadra700 / 20MB / 漢字Talk 7 という環境で supercard 1.6 を使った経験から判断すると、現在の入門マシンである 040LC マシンでは、かなりのレスポンスが得られるのではないかと思います。
操作はとくに判りにくいところはないと思います。起動が完了すると Launcher Window が開いていますので、そこから各ブラウザ・ボタンをクリックして、あるいはポップアップ・メニューから選択して、各 Window を開きます。
"Readings" と "Works" にあるテキスト・ハンドリングのポップアップ・メニューでは、入力アイテムが disabled になっていますが、これはプロパティを書き換えれば利くようになります。ただ、これは hypercard のデータを再入力することなく取り込むために作ったものなので、あまり用途はないと判断し現在では disabled になっています。テキスト・ファイルを介する過程で "group" 指定が失われますので、既存のデータを書き出して再度取り込んでも、以前のデータとは同じになりません。"hot text" 機能については、個々に再設定する必要があります。なお、取り込み可能なデータのフォーマットは、書きだしたテキストを参照してください。
New Card, Delete Card したり、change card name したりすると、ポップアップ・メニューやモーダル・ダイアログでジャンプできなくなることがあります。この場合は、ソート・ボタンでメンテナンスしてください。これはカテゴリー別に各タイトルを洗ってソートした後、ポップアップ・メニューが参照するフィールドに書き込んでアップデートします。
テキスト書き出しおよび読み込みでは、フィールド間のデリミタはタブ(0x09)、フィールド内の改行コードは ASCII VT(0x0b) に設定されます(これは "ファイルメーカー Pro" がサポートしている仕様です)。フィールドの内のデータは文字数に関係なく全体が書き出されます。取り込み側の制限事項に注意してください。
単なるデータ・ブラウズ・ソフトウェアなので、小難しい scripting はしていません(作者の実力ではできません:-P)。
佳い scripting のアイディアや、追加すべきデータ等がありましたら、ぜひ作者までご一報ください。
1992 年当時、とあるシミュレーション・システム・プロジェクトに参加して(させられて)、初めて supercard (v1.6) に触れましたが、supercard の第一印象は混乱したものでした。c は NEC の dos machine の頃から使っていましたが、いわゆる script language という代物は全くの未体験でした。確かに開発が容易で、(Quadra700では思ったより)サクサク動きましたが、何というかインタフェースにクセがあり、かなり戸惑いを覚えました。ほかにも、当時国内では入手困難であったり、プレーンな漢字トーク 7 でも、ときどき落ちることがあったりして、個人的に導入するにはいたらず、とりあえずは script language に慣れるためもあって、手近にある hyparcard を選択しました。hypertalk で作った最初で最後の大がかりな(これは単にサイズがデカいというだけの意味) stack が、この hypercard 版 "Delius" (1992 年夏?〜未完) で、今回の supercard project のベースになりました。よく考えてみると、第 2 版は、1992 年広島でも開かれた富士ゼロックス主催のアップル・フェアに展示用として出品した記憶があります。
シミュレーション・システム・プロジェクトの第一期が終了してからは、supercard や hypercard からも多少距離を置くようになり(ダウンロードした stack を改造するくらい)、生涯編、作品リスト、文献リスト等を作成していた hypercard 版も、カード枚数 368 枚、容量 715K まで作って中断していましたが、その後、ディーリアス・ファンの友人に診てもらってみると、けっこう好意的なレスポンスがあったので、再度着手するつもりになりました。そうこうするうち、1994 年後半、シミュレーション・システム・プロジェクトの第二期が始まり、fmachyp に supercard 特別会議室が誕生し、なんとそこの進行役は一番古い友人が就任しているということで、どんどん外堀が埋められていく幻想のプレッシャーに巻き込まれ、気づいたときには supercard 2.0e のパッケージを手にしていました。
最初にディーリアスを聴いたのは 1977 年、大学1年夏の FM 放送です。もうそろそろ 18 年になりますが、それにしては集まった音盤にしろ、書籍にしろ、数が少ないと言わざるを得ません。もともと作品数が少ない上に、リリースされる曲もだいたい決まっており、しかもリリース回数が少ないので、コレクションは否応なく小さくなります。足に任せて歩き回る非効率的な探し方をしているのでなおさらです。
ディーリアスの音楽のどこがそんなに佳いのかと聞かれても答えようがありませんが、わたしが死んだときに棺桶の中に入れたい3セット・クラシック篇がクライバー指揮の『薔薇の騎士』(1979 年版)、モーツァルトのイ長調交響曲(KV.201 ベーム & VPO)、『村のロミオとジュリエット』(Meredith Davies 盤)であること、ディーリアスのベスト5が、『シナラ』、『村のロミオとジュリエット』、『アパラチア』、ヴァイオリン・ソナタ第3番、『田園詩曲』であることから、これらに共通する「なにか」であろうとは思えます。
ディーリアスの音楽には、1900年までの作品は、絵画的で、クラシック作品と言うより、むしろ、黄金時代の映画音楽のようなイメージがあり、それ以降は晦渋さが増し、曖昧模糊とした和声の彼方からモティーフが浮かび上がるという印象があります。同時代のエルガーやヴォーン・ウィリアムズと比べると、かなり内的かつ個人的です。ドビュッシーとの類似が云々されますが、ドビュッシーの方がずっと明晰です。ディーリアスのメロディ・ラインの方が覚えやすいとは言えるかも知れません。それに、ディーリアスにはかなり頻繁にクリシェが聴かれます。CD で入手可能な作品はオーケストラ曲が多いのですが、概して声楽の方ができが佳いように思います。
ちょいと凝ったブリティッシュ・ロック・ファンでディーリアスの名前を知っている人はけっこう多いのですが、これは Kate Bush の "Delius (Song of Summer)"(1980)の影響なのではないかと思います。映画ファンで知っている人は Ken Russell の "Song of Summer"(1969)を観た口でしょう。沼辺信一氏は Kate Bush の "Delius (Song of Summer)" は Ken Russell の "Song of Summer" にインスパイアされて作られたと断言しておられますが、それならば、Kate Bush の曲は Eric Fenby 直系にあたるわけです。In the Nursely の "The Anatomy of a Poet" (1994) というアルバムに収録されている曲には、"Anatomy of a Poet - text from 'Cynara'"、"The Golden Journey - text from 'Hassan'" などというタイトルが並んでいます。ダウスンとフレッカーを繋ぐキーワードとしては、わたしにはディーリアスという単語しか思い浮かびません。他に引用されているのはイェーツにワイルド。まさにアール・ヌーヴォーのそれです。
20 年近くもの間ディーリアスのような音楽を聴き続けることができるようなパーソナリティは……とコリン・ウィルスンは言っています。気になる人は冨山房『コリン・ウィルスン 音楽を語る』を繙いてみてください。
日本人で、ディーリアス・ファンであり、国内盤に親しんでいる人で三浦淳史氏の名前を知らない人はモグリです。同様に、『シナラ』、『村のロミオとジュリエット』、『アパラチア』等の歌詞対訳を作成した南條竹則氏の名前を知らない人も、ディーリアスの声楽曲に親しんでいないことになります。この二人の著作、特に三浦淳史氏の著作は要チェックです。