珈琲と水

軟水と硬水
 水は大きく「軟水」と「硬水」に分けられる。水に溶けているマグネシウムやカルシウムを酸化カルシウムに換算し、その量が少ないものが「軟水」、量が多いものが「硬水」ということになる。軟水はそのまま飲んで充分おいしいが、硬水は人によっては口に合わないこともあり、お腹を壊すこともある。日本で水道水が何の問題もなくそのまま飲めるのは、日本の水が軟水だからである。一般に諸外国、特にヨーロッパは硬水であることが多い。 珈琲との相性
ミネラルウォーター  では、珈琲にはどちらが合うかというと、「軟水」である。硬度が高いと水に溶けているマグネシウムやカルシウムのために、珈琲のおいしさの元になっているカフェインやタンニンが抽出しにくくなるのである。よって抽出までに時間がかかり、また味が落ちてしまう。昔のヨーロッパでは珈琲はそのまま飲める代物ではなく、味の落ちた珈琲を美味しく飲むためにミルクを入れていた。それが現在のカフェ・オレにつながっていると言われている。
 一般に市販されているミネラルウォーターは若干硬度の高いものが多く、それらは言うまでもなく珈琲には不向きである。また軟水のミネラルウォーターは、そのまま飲むにはおいしいが、やはり珈琲には不向きである。なぜなら、酸素がほとんど含まれていないからである。これは製品を長期間保存するためにはしかたのないことであるが、珈琲の成分をくまなく抽出するには水の中に酸素が多いほど良いのである。つまり、ペットボトルで市販されているミネラルウォーターは珈琲には不十分である。 水道水
結論  次に水道水はというと、日本の場合は幸い珈琲に適している軟水である。しかも蛇口から汲んだばかりの水は新鮮で、酸素も多く含まれている。ところが、水道水はカルキ臭いから使わないという人がいる。しかし、珈琲のカスが脱臭剤として使われることからも分かるように、珈琲にはもともと脱臭作用があるので、カルキ臭はこの作用のおかげで取れてしまう。どうしても気になるというのであれば、活性炭の炉化器を取り付けたり、浄水器を使うとまったく気にならなくなるはずである。
以上のことを考えてみると、結局はただの水道水でも充分においしい珈琲をいれることができるので、必要以上に水にこだわる必要はないということになる。おまけにミネラルウォーターを買うほど水道代もかからないし。