〜紅茶のための水〜

 紅茶に使う水は新鮮で空気をたくさん含んだものが良いでしょう。また、「軟水 」「硬水」については、茶葉の特徴によって使い分けるのがいいと思いますが、日 本では一般に紅茶には軟水と考えられているようです。ということはわざわざお金 を出してミネラルウォーターを買ってこなくても、水道水で十分なのです。カルキ くさいからいやだという人もいますが、茶葉にはもともと脱臭効果があるので気に なりません。でも結局のところ個人の好みで構いません。水の特徴や茶葉の特徴を 把握して使い分けるのがいいと思います。

軟水むきの茶葉 ダージリンなど香り重視の紅茶
水道水むきの茶葉 ディンブラなどのセイロン系の茶葉
硬水むきの茶葉 アッサムをストレートでのむときなど、くせの強い茶葉

軟水
抽出能力が高いので、紅茶の渋み成分である「タンニン」が短時間で抽出 される。硬度70以下。

水道水
日本の水道水は平均すると硬度が中間で、お茶にはほどよい水です。さら に新鮮なため、お茶にはもってこいです。なお、各地域ごとで硬度の差があ ります。北海道、東北、北陸地方など日本海沿岸は全体的に硬度が低いよう です。逆に沖縄は国内で最も硬度が高いとおもわれます。東京で70前後。 大阪で60前後の硬度です。硬度70〜120(あくまで基準)

硬水
抽出能力が低いため、甘みのアミノ酸は抽出されるが、タンニンが抽出さ れにくくなるので、渋みは少なくなる。なお、色も薄くなる。全体的に渋み の少ない甘めの紅茶になる。硬度120以上(あくまで基準)

 軟水と硬水の基準は水に溶けている酸 化カルシウムの量です。酸化カルシウム の多い水を硬水、少ない水を軟水といい ます。この水の品質を表す単位を「硬度 」といいます。100ccの水に酸化カ ルシウムが1mgとけ込んでいる状態が 硬度1となります。硬水を使い場合、酸 化カルシウムがタンニンの抽出を妨げる ために、よくいわれる「ポットのための 1杯」の茶葉を加えるとよいでしょう。

 硬度の他に新鮮な空気をふくんだ水で なければなりません。ということはミネ ラルウォーターなどの汲まれてから時間 のたった水はおいしい紅茶をいれられま せん。ヨーロッパ系のミネラルウォータ ーは硬水のものが多く、運搬にも時間が かかり鮮度が低下する点でも適していま せん。また、汲み置きされた水も空気が 逃げてしまっているので適していません 。どうして空気を含んでいないといけな いかというと、紅茶を美味しく入れるに はポット内で茶葉をジャビングさせるこ とが大切です。ジャビングは水に含まれ る空気によって活発になるからです。

 さらに、二度沸かしのお湯や、沸かし 過ぎのお湯も適していません。沸かしす ぎたお湯はカルシウム濃度があがり、硬 度が高くなり、また空気も抜けてしまう からです。水道水なら5円玉ほどの気泡 がでてから、3分ほどの沸騰時間もあれ ば十分カルキ臭も抜けます。浄水器を使 っている場合はもっと短時間で結構です 。また二度沸かしのお湯では一度冷める 段階で変質してしまいます水道水と湯冷 ましの味の違いでこの点はわかるとおも います。変質すると、まれてい茶葉に含 る可溶成分を抽出する力が消えてしまい ます。

魔法瓶のお湯も適していません。理由 は「温度が低い」という点の他にお湯が 古くなってしまっているという点です。 紅茶の可溶成分は最低でも90度以上な ければ抽出されないからです。

日本の水道水はほとんどが軟水である ため、紅茶をおいしく飲むための条件は 整っています。逆に言えば、鮮度の低い ミネラルウォーターよりもよい条件の水 が近くにあるということですね。