知る Learn

お花は初めてという方に

いけばなとは?

西洋のフラワーアレンジメントは、盛りを迎えた花をたくさん足して花のカーペットを作り、最高の瞬間を演出します。これに対し、いけばなでは時間経過を大切にし、必ずつぼみを加えます。

つぼみは、徐々にほころび、盛りを経て、凋落を迎えます。そんな花の命の移ろいを最期まで見届ける中で、花から様々なことを教わります。太陽の方を向いて咲く花から、逆境でも前向きであること、向上心を持って生きていくことを。つぼみが開く様子から、時を経ること、年を重ねることの素晴らしさを。日本人にとって、花は自己表現のための道具ではなく、我々に多くのことを教えてくれる師匠のような存在です。いけばなは、単なる花芸術ではなく、哲学でもあるのです。

いけばなを始めよう。

いけばな教室では、花を美しくいける技術を学びます。しかし、花を上手にいけることがすべてではありません。いけた花を前にして、稽古場の仲間、家族や友人と話をすれば、人と人との距離が一段と近くなります。四季を楽しむ気持ちや命のぬくもりを人と共有しましょう。

お花は着物を着て正座をして挿けるの?

「お花のお稽古をしている」というと、「着物を着て、床の間のある座敷で正座をしていけている」というイメージをもっておられる方が多いようです。しかし、最近では、教室でお花を挿けるのが一般的です。服装は、もちろん普段着です。お花を習っていると、お正月の「初いけ式」や、いけばな展など、着物を着る機会は多いのですが、普段のお稽古は好きな格好でよいのです。

お花は、適当に切って挿せばよい?

一般のイメージとは相反するかもしれませんが、いけばなにセンスは必要ありません。入門して最初に学ぶのは「型」、すなわち先人が考案したいけばなの設計図です。この設計図通りに花を組み立てていけば、誰にでも美しい花がいけられます。いけばなは、気の向くままにフリーハンドで描く絵というよりも、設計図に従ってパーツを組み合わせるプラモデルに似ています。定められた寸法通りに花を切って、昔の名人の花姿を再現してみましょう。

お花の免許はどうやって取る?

継続的に稽古を続けておられる方で、教授者がその資格があると認めた場合に、免許申請ができます。教授者からの申請によって、家元が免状を発行します。普通免許の段階は、入門/初伝/中伝/奥伝/皆伝/国会頭/師範代となっています。申請すると、免状の他、江戸時代に書かれた花伝書やその解説書、席札(作品に添える名札)等を受けることができます。また、「中伝」の申請時に「甫号」、「奥伝」の申請時には「斎号」という号(花名)を頂きます。

次の段階の免許申請までには、最低半年以上稽古を続ける必要があります。ただ、最初の「入門」と「初伝」は、同時申請が可能です。「国会頭」までは申請料を添えて提出すれば免許を取得できますが、教授者の資格である「師範代」を受ける場合には、実技試験を受験します。