ドリアンという果物がある。
南国産で「果物の王様」とまで言わしめるソレを、私は食べたことがない。
そもそも日本国内ではナマのソレに出会う機会は少ないのだろうが、今まで食べたことのある果物よりも美味しいのなら何とか食べてみたいものだと思っていた。
でも日本で食べられないのなら、私が現地へ出向いた時にしか食べられないということになり、半ば諦めモードに入っていた矢先、意外な接点が見つかったのだ!
私の友人に、旦那様の転勤で現在マレーシアに住んでいる娘がいたのだ。
その娘の実家が我が家から徒歩3分のところにあるので、一時帰国した際には必ず我が家へ寄ってくれる(パパとも仲良しである)。
そう! 彼女に頼めば何とかなるのではないか!
早速私はメールを送った。
「今度の帰国の時の土産にドリアン関係の食べ物を所望じゃ!」と(笑)。
彼女からの返事はこうだ。
「ナマのドリアンは持って帰れないが、ドリアンケーキとドリアンキャンディーを買って帰るよ」
ドリアンケーキとキャンディー・・・まさにドリアンを味わう(匂う)のにふさわしい土産ではないか!
私は同じく興味津々のぽわんパパとともに、彼女の一時帰国を心待ちにしていた。
そして・・・その日はやってきた。
マレーシアから帰国した彼女は早速歩いて3分の我が家へ遊びに来てくれたのだ。
パパは仕事へ行っていたので、先に2人で味わってみることにした。
「お手洗いの匂い」とまで表現されるソノ匂いとはどんなものなのか?
そしてソレがケーキやキャンディーに加工されるとどんな食べ物になるのか?
いや、果たしてそれは食べられるのか?
緊張の中、封は切られた。
ドリアンケーキというからには、フワフワとした生地にムースのようなドリアンが乗っているのだろうと想像していたのに、ドリアンケーキは「ケーキ」と呼ぶにはおよそ似つかわしくないようなものだった。
一番わかりやすく例えるなら、ドリアンケーキ=こしあんの羊羹 である。
これは日本のような過剰包装の国で育った私には信じられないほど簡単な包み紙にくるまっていて、箱をあけるなり異様な匂いを漂わせてきた。
「くっ臭い!」
という私を尻目に、友人はこう言った。
「これはまだマシやわ」
なっ何? こんなに臭いのに、マシだと言うのか!
「これなら普通に食べれるよ」
食べる? 何で? こんな変なモノを食することができるのか?
「だってナマのドリアンって、マンションの玄関の扉を開けただけで、『あっ隣の人昨日食べたな』ってわかるほどの匂いやもん。まぁ私はナマでも大丈夫なんやけどな。」
「それってどんな匂い?」
「私的に表現すれば・・・公衆トイレの匂いかな?」
「そんな匂いやのに美味しいって思えるの?」
「美味しいらしいよ。旬の時には市場でもいっぱい売ってるもん。」
うぅ〜ん、じゃぁこの匂いとは裏腹にすごく美味しいのかも知れない・・・。
買って来て欲しいと頼んだ責任もあるし、やっぱりこれは食べなければ・・・。
覚悟を決めて一口食べてみた。
・・・私には表現できない。
息を止めて食べたせいもあるが、絶対に美味しいとは思えないのだ。
なんとか全部食べたけれど、2つ目に手を出そうという意識は芽生えなかった。
じゃぁこのキャンディーならどうだろう。
包装紙を見る限り、コンビニで売っている日本のモノとそう変わりはないように思える。
それにキャンディーなのだから甘い良い香りの香料が使われているに違いない!
「よしっ! じゃぁキャンディーいってみるわ!」
袋を開けても匂いは・・・特にすごい匂いはしないような・・・鼻がまがったのかもしれない(笑)。
「嫌やったらすぐ吐き出しや!」
私の恐怖を察知して彼女がそう言っているのを聞きながら私はソレを口に入れた。
そして出した(爆)。
「なっなんじゃこりゃぁ!!!!(@_@)」
「ホンマや! これはスゴイわ。私でもちょっと臭いと思うわ。」
そう、ドリアンキャンディーとは、こんなモノを食品として売っても良いのかと疑ってしまうほどの味(匂い)だったのだ。
帰宅したパパもその匂いに笑わずにはいられなくなった。
そして次の日にキャンディーを会社に持参して同僚に配りまくったことは言うまでも無い。
残ったキャンディーを自分のロッカーへ入れていたらロッカーが開けられなくなった & 各フロアへばら撒いたソレの充満した匂いに上司が「これは何の匂いや?」と顔をしかめた、という後日談もある。
味覚というのは生まれてから食べなれた物によって違う成長をするのかもしれない。
私にはあんな果物を王様だとは一生認められないと思う。
まぁナマの果実を味わったわけではないから一概にマズイとは言い切れないが、たぶん美味しいという感想は持たないだろう。
ただし、このボヤキを読んだからといって「ドリアン」に対する偏見は持たないで欲しいと願っている。
もしかしたらアナタにとってはとても美味しいと思える果物かもしれないから・・・。
ただ・・・あの匂い・・・今思い出しても卒倒しそうなぽわんママなのだった。
ちなみにこの間(5月一時帰国)のお土産は「パッションフルーツ紅茶」&「蜂蜜入パインナップルな餅」&「世界一おいしいチョコレート」だった。
「パッション・・・」はすっごく良い香りの紅茶で、これはパパと二人で美味しく飲んでいる。
「蜂蜜入・・・」は箱に日本語でそう明記してあるのだが、裏には「原材料 バインナッブル」と書いてあった(笑)。
どうやら餅というのはクッキー系のものを指すらしい。
「世界一・・・」は確かに美味しいチョコだったが、「世界一」と言い切ってしまうマレーシアの人がナイスだなって感心した(爆)。