これは私が去年とても楽しませてもらった、アメリカで本当にあったお話。
知っている人も多いかもしれないけれど、ちょっと紹介・・・。
アメリカのある所におじいさんとおばあさんが2人で暮らしていました。
おばあさんは庭のお花の手入れをするのが楽しみで、いつも庭には美しい花々があふれていました。
その庭に1匹のカエルの置物がありました。
植木鉢に腰かけているような格好のそのカエルは、2人のお気に入りの「友達」でした。
ところがある日おばあさんがいつものようにお花に水をやろうと庭に出てみると、そのカエルがいないのです。
おばあさんはビックリして周辺を探しまわりました。
しかしカエルの姿はどこにも無く、2人はがっくりと肩を落とし「ひどい事をするもんだ」と嘆きました。
数日後、悲しみにくれる2人の元へ一通の手紙が配達されました。
差出人には「Frog」・・・「カエル」とあるではありませんか!
慌てて中を開けてみると、そこには外国の名所の前でポーズを取るカエル君の写真と手紙が入っていました。
手紙には「長い間庭に座っていたので、少し世界を旅してきます。」と書かれています。
2人は何がなんだか訳がわからず、でもカエル君の「無事」を確認して少し安心しました。
それから何度も何度もカエル君から手紙が届きました。
手紙の消印はいつも違う「外国」のもので、添えられているカエル君の記念写真も、その都度違う国にいる事を証明していました。
もしかしたら本当に彼は世界旅行をしているのかも?
最初は手の込んだいたずらだと思っていた2人も、その内そんな風に考えずにはいられなくなりました。
そして「次はどこから手紙が来るのだろう」とワクワクしてポストへ通うようになっていったのです。
半年ほどして、いつものように彼から届いた手紙には、信じられないような事が書いてありました。
「そろそろ旅も終わりです。クリスマスの日には帰ります。」
老夫婦の喜びは、とても大きなものでした。
クリスマス当日は、話を聞きつけた記者たちも集まって、今か今かとカエル君の到着を待ちました。
すると、向こうからやってきたのは真っ白なボディの大型リムジン。
後部座席には、あの懐かしい「カエル君」がちょこんと座っていました。
リムジンの運転手は、頼まれて運転してきただけという事で、彼を連れて世界旅行をした人は結局誰だかわかりませんでした。
誰が何のために?
そんな事は2人はもうどうでも良い事でした。
可愛い我が子が長い一人旅から帰ってきたように、彼らは嬉しかった事でしょう。
翌日からカエル君はまた所定の場所に座っていました。
世界のあちらこちらで体験してきた事を思い返すように、空を見つめて・・・。
よく考えれば人の家のものを勝手に持ち出したのだから「罪」なのだけれど、カエル君を誘拐した犯人のセンス、私は好きです。
彼のした事によって2人暮らしの老夫婦の生活に張りが出たのは本当だし、何よりも彼は無事帰宅したんだし・・・。
今テレビをつければ、凶悪な殺人事件や事故のニュースばかりが流れてきます。
「水と安全がタダ」だった昔の日本からは想像もできないような、暗い事件ばかりが目につきます。
でもこんなニュースを聞くと、世の中まだまだ捨てたもんじゃないなって、少しホッとしませんか?