Talvin Singh



OK :1998


category tabla, drum'n bass, world
お気に入り度 ★★★★
To Amazon.co.jpUK AsianとしてのアイデンティティーをDJ/プロデューサーなど様々な音楽活動を通して展開させている彼の、これは初ソロ作品。ゲストミュージシャンとしてBill Laswell、Ustad Sultan Khan、Shankar Mahadevan、日本からは沖縄のネーネーズや坂本龍一などが参加しています。タイトルトラックでこのネーネーズがフィーチャーされているのは日本人としてちょっと嬉しかったりします。この"OK"は沖縄コーラスをメインとしたアルバム中異色の曲となっています。全体的に所謂"タブラトロニクス"なわけなんですが、巨匠、故アラ・ラカにも手ほどきを受けたというTalvinによる乾いたタブラビートも、ヴィーナ、フルート、サーランギーなどの有機的な楽器とデジタルに融合しています。個性的なゲスト陣との共演、そして曲調もブレイクビーツ、アンビエントなど、次々と表情を変えていきます。各楽器のエレクトロなアレンジとタブラとの調和的融合が"タブラトロニクス"の真骨頂なのでしょうか。個人的な聴き所としては、チルアウト/エスノ風アンビエントな#1、ヴィーナ(南インドの撥弦楽器)とフルート(横笛のような音色)とタブラのアグレッシブな共演が素晴らしい#2、Shankarのヴォイス(ちょい口タブラ風)が炸裂している#6、そしてネーネーズの軽快な沖縄コーラスのある#7。人間、楽器、そしてタブラへのリスペクト。Talvin singh はそれらをテクノロジーを使いハイブリッドに聴かせる手腕に長けた人だと思います。




w/MASTER MUSICIANS OF JAJOUKA :2000


category tabla, electronica, ritual
お気に入り度 ★★★☆
UK在住インド系2世で、タブラ奏者、ミキサー、プロデューサー、という多彩な活動を行っている、Talvin singh。彼の独自スタイル、「タブラトロニクス」。様々な音楽ジャンルとタブラを融合させる、というもの。自身のアルバム「OK」や「HA」などではドラムンベースと融合し、タブランベースなどと呼ばれているが、このアルバムでは、モロッコの儀式音楽集団「MASTER MUSICIANS OF JAJOUKA」とのコラボレーション、という形での融合を図っている。彼らの演奏は非常に呪術的で、手数の多いパーカッションとチャルメラによるユニゾン形式が、より一層無我の境地というか不思議なトランス感覚に導いてくれます。タブラを中心としたエレクトロニカ/フュージョン・サウンドがその呪術的な演奏の中躍動し、新世代リチュアル・ミュージックとして昇華されています。個人的には、やはりタブラが好きなので、もうちょっとタブラが活躍していても良かったかな、と思います。




HA :2001


category tabla, drum'n bass, world
お気に入り度 ★★★★☆
To Amazon.co.jp2nd。今回はゲスト陣にあまり有名な人はいませんが、やや常連的な感もある Ustad Sultan khan の他、ソロアルバムが凄かったKarsh kaleなどが参加しています。前作よりビートが強くハッキリと刻まれるようになったような気がします。気持ちの良いグラウンドなリズムに思わず体が動きます。タブラの音の数が前作より増えてて、リズムの中心になってきているのがタブラ好きとしては嬉しい。もちろんそればかりではなくアンビエント系のまったりした音作りもあり、メリハリのあるアルバムに仕上がっています。10分以上ある冒頭の曲"One"が一番好き。ダウンテンポでシンプルなビートが永遠とも思える空間を作りだし、そこへサーランギーのエキゾチックな響きとヴォイスが加わることで曲が艶やかに変化します。その他の曲で印象に残ったのは、アップリフティングでドライなタブラビートがカッコイイ#2、#9。重たい打ち込みビートとタブラソロ、そしてなぜかアラビックヴォイスの入る#3。軽快なタブラビートにサンプリングされた口タブラと可愛らしいインディアン・ヴォイス(♀)をセンス良く聴かせる#6。ブレイクビーツ風のリズムにサーランギーと堅めのビートの繰り返しが堪らない#8。日本盤ボーナストラックの"Boddy style"も非常にカッコイイ、ブレイクビーツならぬ、タブラビーツな曲。全体的によりインドっぽくなりセンスのあるディープな音作りになってきたように感じます。