Seiji at PTNA PIANO COMPETITION 2009

 私は聴きに行けなかったが、次男のせいじのピアノコンクール(PTNA D級 予選)が終わった。せいじが課題曲の中から選んだのは、ベートーヴェン ピアノソナタ第10番〜終楽章と、ドビュッシー「子供の領分」〜「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」の2曲。
注:PTNAコンクールの「予選」では「近現代曲」を演奏することが義務づけられており、今年、ドビュッシーでは「子供の領分」から「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」を含めて3曲が候補曲となった。)
 同行した妻によると、用意されたピアノが、以前にもせいじが別のコンクールで弾いてお気に入りのベーゼンドルファーだったということもあって音色が素晴らしく、集中できてミスタッチもなく、家で練習していたときよりもむしろずっと良い演奏ができたようだ。
 結果は、予選通過(5名)には届かず、惜しくも次点の「予選奨励賞」だったが、せいじも最後に納得のいく演奏ができ、概ねよい講評もいただいて、せいじ本人は喜んで帰ってきた。
 妻がこのコンクールでの予選通過者の弾いた曲を後で調べてみると、スカルラッティ「ソナタ」(バロック)と石木真知「さざなみ」(近現代曲)の組合せが多かったということで、古典派のモーツァルトやベートーヴェンを弾いて予選を通過した子は少なかったようだ。
 採点基準は同じといっても、現実にはコンクールの予選を「通りやすい曲」と「通りにくい曲」があるように思われる。でも、予選で「先生が選んだ通過しやすい曲」を弾き、本選用に古典派やロマン派の曲を選ぶ、「予選通過が当たり前」の上手な子も居るだろうから一概には言えない。
 予選通過を最優先とするなら、「無難な曲」を選んだ方が予選通過の「確率」はアップするのかもしれないが、せいじ本人が弾きたい曲をやったからこそ、3ヶ月真剣に練習できて、いろいろと勉強にもなったわけだし、結果が悲惨だったら後味も悪かったが、最後に本人納得の演奏ができて奨励賞も貰えたんだからいいのではないかと私自身は思うが、妻は少し悔しかったようである。
 残念なのは、PTNAのコンクールが少し長い曲だと最後まで弾かせてくれないこと。せいじがさんざん研究したベートーヴェンとドビュッシーの最後の「盛り上げ方」も審査員の耳には入らずに審査された。ベートーヴェンは最後まであと10秒くらいだったらしく、そこで切る審査員の意図が理解できない。短いスカルラッティや「さざなみ」だと全曲弾かせてもらえるのに…。スケジュールの都合でなかなか難しいのかもしれないが、それなら最初から「長い曲」は「課題曲」に入れない方がよいと思う。コンクールのやり方として根本的に改善してほしい点である。 あくまでベートーヴェンもドビュッシーも最後まで弾いてこそ「ひとつの音楽」になるはず。途中で曲を切るのは、作曲家にも、それまで一生懸命練習してきた子どもたちにも失礼というものだろう。
 このように演奏を途中で打ち切られた上に、会場はビデオ撮影禁止だったので、下の動画はコンクール当日、自宅のアップライトで弾いたもの。私もべーゼンドルファーで息子の弾くところを聴きたかったし、見たかったのでちょっと残念!






(2009.8.3)