英国の歯医者


歯医者の予約
 イギリスに来て2ヶ月たった頃,暮らしには大分慣れたが,長男の歯の詰め物が取れていることに気付いた。イギリスで歯医者にかからないようにと,日本でしっかり治療したはずなのに,困った話である。ともかく歯医者に行くより仕方がない。近所のSurgeryの向かいに歯医者があるが電話で診察を頼むと,新規には受け付けないといわれた。子供がとても痛がっているのだとも訴えたが無理だということだった。仕方がないので日本人の友人も行ったことがあるというJ Sainsberyのそばにある歯医者に予約を入れる。イギリスの病院に予約を入れる際の鉄則として,実際より状態がひどいということにするということがある。「彼は歯痛で夜も眠られないようだから,すぐ診察してほしい。」と電話で伝える。「そういう状況なら。」ということですぐ診察してくれることになる。

受付にて
 Bathのこの歯科医院は立派な応接室といったところが待合室になっている。受付の女性が診察前にアレルギーや病歴についてアンケートを渡してくれる。これは日本と同じである。しかし,ほとんど患者が来ない。それなのになぜ予約を入れると何週間も先にされるのか納得がいかない。しかも子供の患者はほとんど見かけない。一般に白人の歯は日本人のより丈夫だといわれているが,そのせいだろうか。それとも,英国の水道にはフッ素が入れられていると聞くが,そのせいで丈夫なんだろうか。あれだけ甘いお菓子や,スナック菓子をたくさん食べているのに,なぜ虫歯にならないのかと不思議に思う。

診察室
 そうこうしているうちに名前が呼ばれる。息子は2階の診察室である。診察室は全く個室である。この先生のほかに3人ほど医師がいるらしいが,それぞれ全く別の部屋になっている。十畳ほどの部屋に治療台と,助手の人の椅子。さらに先生の机にはカルテ記入のためのパソコンが置いてある。まるでなんかの研究室のようである。さらに医者も全くラフな格好をしている。子供が患者であるからかもしれない。そういえはイギリスでは大きな病院も含め医者はほとんど白衣を着ていない。看護婦も汚れが目立たないような紺かブルーである。正直言って,診察は至って簡単である。ただ単に詰め物がはずれたところに白い仮詰を入れてくれただけである。この処置のおかげで,息子はほんの2週間後ぐらい後にもう一度同じ歯を治療するハメに陥った。もちろん次回は「しっかり」詰めて「外れないように」と強調したのは言うまでもない。ただ,彼の歯は非常に弱く,さらに後日2回,イギリスで計4回も歯医者に行かねばならなかったのである。

無料の診察
 英国の歯科医院の悪口になってしまったが,子供の場合16歳まで治療費は保険で支払われる。つまりその場でお金を払う必要はない。日本のように乳幼児医療は3歳までということはない。イギリスがヨーロッパ各国に比べて,また先進国の中ではダントツに出生率が高いのも無料の医療費によるのかもしれない。また,歯の矯正も同様らしく,子供達がきれいな歯並びをしているのも,このおかげかもしれない。私たちは1年間ということで国民保険を支払う必要はなかったが,英国国民はとても高い医療費負担を強いられているらしい。そんな中で私たちは彼らの恩恵を受けたのだろう。   

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