Taste of "Harry Potter" Beans

  


「ハリポタ・ビーンズ」我が家に届く
 2002年1月8日付の朝日新聞記事によると,「ハリー・ポッター」の映画は全米で記録的興行を続けているようだ。原作の「ハリー・ポッター」に出てくる「百味ビーンズ」を商品化したハーマン・ゴーリッツ社製のジェリー・ビーンズがアメリカではすでに販売されていることは大分前に察知していたのだが,おりしもアメリカに滞在している友人からちょうどこの「ハリポタ・ビーンズ」がプレゼントとして送られてきた。
 さて,靴箱ほどの大きさの箱を開けると,中には大きさ10センチ弱の巾着袋に入った38フレイバーの"Bertie Bott's Beans"がしめて3袋。ただし,「ランダムにアソートされているので,すべてのフレイバーが入っていないかもしれません。」との断り書きが入っている。我が家は,かねてからハーマン・ゴーリッツ社のジェリー・ビーンズ(Jelly Belly)については研究を重ねている?ので,普通に売られている約40種類のフレイバーについては経験済である。これら「ノーマル」なフレイバー以外の目新しいフレイバー,もしくは原作に出てくる「いわし味」や「コショウ味」といった珍奇なフレイバーのビーンズがなければ,「ハリポタ・ビーンズ」としての価値はない。
 まず第1段階として,使われている原材料をチェックしてみる。グレープ,ストロベリー,ピーチ…といったノーマルなものに加えて,あった,あった!怪しいのが。"Black pepper(黒コショウ)","Grated horseradish roots(すりおろした西洋ワサビの根)","Horseradish powder(西洋ワサビ粉), "Distilled vinegger(蒸留酢)"…。これらはいかにも怪しい。さて,巾着袋の中にはビニール袋に詰められたビーンズが入っている。ぱっと見たところ,これまで見たことのない色をしたのがいくつか入っている。同封されている親切なカラーのフレイバー・メニューと照合すると,やはり「問題のビーンズ」は主にこの見慣れない色のビーンズであることがわかった。以下にそのレポートを記そう。上のビーンズの写真と見比べて,どれが「問題」のビーンズなのか探し当てて下さい!

Black pepper(黒コショウ)
 色は「灰色ベースに黒の斑点のまだら模様」。口がひりひりとする辛さ。小さい子には絶対に与えてはいけない。 

Horseradish(西洋ワサビ)
 色は「ちょっとクリームがかった白」。まさにツンとくるワサビの味。これも子ども向きではない。

Sardine(イワシ)
 色は「ちょっと灰色がかった白」。プンとくる生臭さ。ちょっとカツオブシの味を連想させる。原材料表にイワシの名はない。品質保持に問題があるからであろう。何を使ってイワシの味を出しているのかは謎である。

Grass(草)
 色は「ちょっと明るい緑色(透明)」。これの色は"Green apple"と非常に似ているので気をつけないといけない。でないとこのビーンズを食べて青臭い草の味を噛みしめるハメになる。

絶対食べる気がしないビーンズ
 実はフレイバーメニューの隅には恐ろしいことが書かれていた。2001年の秋から新しいフレイバーが登場するというのだ。そのフレイバーとは口に出すのもはばかられる"Dirt(汚物)","Vomit(ゲロ)","Mustard(カラシ)"である。カラシはともかくとして,これはジョークだろうか,それとも本気だろうか…。

ノーマル・フレイバーでも油断は禁物
 実はノーマルなフレイバーの中にもかなり好き嫌いが分かれそうなクセのあるビーンズはある。「茶色」の"Root beer(ルート・ビア)"はクセのある炭酸飲料の味で,人によっては今回のハリポタの「問題ビーンズ」より食べにくいだろう。"Licorice(西洋ハーブ)"は今回の袋には入っていなかったフレイバー(ほとんど黒に近い藍色)で,元々英国の薬剤師が苦い薬の味をごまかすために「かんぞうの根」を用いたのが起源。現在は英国などでリコリス・キャンディーとして人気が高い。これも薬臭いといえばそうだが,英国で親しんだ味だけに私には全然違和感はない。むしろ,"Toasted marshmallow(トーストマシュマロ,茶白と茶色のまだら模様)"はかなり「気持ち悪い」味である。

"Jelly Belly"のすすめ
 Jelly Bellyは40種類の公認フレイバーだけとってみても,必ずしも全部が美味しいわけではないし,健康にも必ずしもいいとはいえないだろうし,いかにもアメリカ的ながさつなお菓子ともいえるのだが,それでも私はJelly Bellyが好きである。それは,このお菓子に「遊び心」があるからである。子どもたちと「次は何を食べようかな。」と一緒にはしゃぎながら食べることもできるし,好きな味のビーンズをビーンズ山の中から探す楽しみもある。子どもは自分が苦手なフレイバーのビーンズを親の口に無理やり入れてくる。そしてこっちがしかめっ面をすれば子どもは大喜びだ。ハリポタの「百味ビーンズ」を商品化できたのも,こういう遊び心がJelly Bellyに元々あるからではないかと思う。拙文を読んでハーマン・ゴーリッツ社のJelly Bellyに興味を持たれた方は,Jelly Bellyの公式サイトもご覧下さい。日本語サイトもあります。