税金編

Council Taxとは
 英国の賃貸住宅に住むと,一軒家であれアパートであれ,その家のグレードに応じた税金(Council Tax)を払わなければならない。一種の住民税みたいなものだが,家のグレードが高いほどCouncil Taxも高いことから,日本の固定資産税的な面もある。要するに,立派で大きな家に住む人ほどたくさん税金を払わなければいけない仕組みになっている。Council Taxの相場は,自治体(地域)によって違うようで,ロンドン,バース,田舎の村では,全く同じ家に住んだとしても,払わなければならない額は違うはずだ。私自身詳しく調査したわけではないので事実関係は不明だが,バースのCouncil Taxは,家賃がBathの2倍近いロンドンより逆に高いようだ。ロンドンで家賃が£1000以上の家に在住した複数の日本人から「Council Taxは月1万円くらい。」と聞いていたにもかかわらず,バースで家賃£750の家に住んでいたうちは月2万円くらいTaxを払っていた。自治体の税収入の多さとCouncil Taxの負担額は連動しているのかもしれない。

外国人でも払わなければならないCouncil Tax
 Council Taxは,原則として,英国民であるかどうかは関係なく,英国に在住する者すべてが払わなければならない。例外として,英国の大学や諸学校のコースに在学する学生は払わなくてもよいということが市からの通知書に書いてあったのだが,私がバースの市役所に問い合わせたところでは,日本政府から奨学金をもらって英国の大学にポスドクとして滞在する私のようなケースは例外として認められないということであった。
 しかし,スイスから私と似た立場で来ていた友人のセバスチャンなどは,「自分の妻が本国スイスで住民税を払っているし,英国に来る直前まで自分はスイスで課程博士学生だったし,EUの規定からいって,同じEU内の英国で2重に住民税を払う必要はないはずだ。」とブリストルの市役所で主張し,すったもんだの末何割か割引?してもらったそうだ。彼はCouncil Taxが年£1000以上の広い庭付き「豪邸」を借りて住んでいたから,この割引は大きかったはずだ。
 混乱の元は,市役所から来るCouncil Taxの説明が簡単すぎて,どういうケースなら税金を払わなければならず,どういうケースなら払わなくてもよいのかがはっきりわからないことにある。そのうえ,市役所税金課窓口(Council Offices)の対応も職員によって異なり,回答も遅く(電話で返事するといって電話がかかってきたためしがない),かつ職員間の連絡も不十分である。日本では非難轟々となるところが,英国では大した問題とならないところが英国の鷹揚なところだろう。

Council Taxの請求と支払い
 「英国滞在本」には,「家賃にCouncil Taxが含まれているかどうかよく確認すること。」というアドバイスが書かれているが,普通一軒家(Semi-detached houseも含む)を借りる場合,家賃にCouncil Taxが含まれているということはまずない。ただし,フラットだと一緒に住んでいる大家がまとめて払ってくれたり,大学の宿舎だと大学が払ってくれたりと,自分で払わなくても済む場合がある。
 請求は毎年3月に1年分(4月1日〜翌年3月31日)まとめてくる。これを4月1日〜翌年1月1日までの10回に分けて支払う(毎月1日が各回の支払い期限である)。各回の期限に遅れさえしなければ,まとめて何回分払ってもよい。支払い方法には,市役所での直接支払い,郵便局・銀行窓口での支払い,小切手による郵送,銀行自動引き落とし,クレジットカードなど,いろいろあるが,銀行窓口での支払いとクレジットカードでの支払いには手数料がかかるため,うちはもっぱら近くの郵便局の窓口で支払っていた。円−ポンドの為替レートを見ながら,円がなるべく高いときにポンド現金化して払うようにしていた。

Council Taxの支払い期間で最後までやきもきする
 Council Taxの額は日割り計算なので,その家に住む期間の長さに比例して増える。St Aubinsの入居日(98年6月15日)から少したつと,市役所から98年6月15日〜99年3月31日の分のCouncil Taxの請求書が送られてきた。市役所も請求書を送るのだけは素早い!総額£915.42であった。約10ヶ月分で(そのときのレートで)20万円以上とは随分高いなと思ったが,仕方ない。
 98年期分をすべて払い,やれやれと思っていると,99年3月になって市役所から次の請求書1年分(99年4月1日〜00年3月31日)がどんと送られてきた。99年5月28日にはSt Aubinsを引き払うことにしていたので,すぐに市役所の税金課に連絡し,期間を99年4月1日〜99年5月28日に変更した請求書を再発行してくれるように頼む。ところが,「再計算には時間がかかる。」だの「コンピューターでデータを書き換えなければならない。」だの気のない返事で,応対も人によってころころ変わり,一向に訂正版を送ってくれる様子がない。業を煮やして「そっちがそのつもりなら,このままTaxを払わずに帰国するぞ。」というようなことを言うと,さすがに向こうも重い腰をあげ,最初の交渉から1ヶ月ほどたった4月の末になって,ようやく計算し直した£148.26ポンドの請求書を送ってきた。
 帰国前の忙しいときに,こんなつまらないことのためにどれだけ時間とエネルギーを浪費したことか!税金を計算し直すことぐらい,やる気があれば最初からすぐに出来たはずだ。最近の日本の市役所の方がずっと対応がいい。まったくもってCouncil Taxをまじめに払う気をなくすようなバース市役所の対応だったが, Council Taxを払い込んだという領収書を,家を出るとき不動産屋に渡さないと,家を借りる時に払ったデポジットが戻ってこないので,腹に据えかねつつも£148.26ポンドを早々に支払って一件落着となった。