機関車・電車が好きな子どもたちへ

 子どもは程度の差こそあれ,多かれ少なかれ機関車や電車といったものに興味を持つのではないでしょうか。新幹線のように最新型の電車が子どもたちの人気を集める一方で,今はほとんど姿を消した蒸気機関車も子ども達のあこがれの存在であり続けています。洋の東西を問わず,昔から今日まで,機関車や電車が登場する本には数多くの名作があり,世界中の子どもを楽しませてきました。動植物の図鑑同様,機関車や電車の図鑑にハマってしまう子どもも多いことでしょう。このページでその一端を紹介できればと思います。英国ファンの方のため,英国オリジナルの本にはマークをつけました。


INDEX
■機関車・電車の絵本
■機関車・電車の図鑑


機関車・電車の絵本

いっしょに きしゃに のせてって!
ジョン・バーニンガム (ほるぷ出版)¥1,600
 ジョン・バーニンガムは英国の代表的な絵本作家。原題は"Oi! Get Off Our Train"「おい!汽車からおりろ」。様々な動物が人間達の身勝手さから逃げてくる。子供の純真さによってこのような動物達を救えるのだろうか?環境問題へも興味が湧く作品。


小さなきかんしゃ
グレアム・グリーン 作/エドワード・アーディゾーニ 画(文化出版局)¥1,000
 イギリスの著名な作家グリーンの児童向けに書かれた作品。アーディゾーニも有名な絵本作家。この二人の描く世界はまさにイギリスの田舎の情景である。私たちもイギリスでたくさんのこのような小さなきかんしゃに出会えたことを楽しく思い出す。


小さな青いきかんしゃ
アーシュラ・フリハン 文(大日本図書)¥800
 小さな青い機関車はイギリスの田舎を走る軽便鉄道機関車。機関手のタップスさんの心優しい保護のもと小さな冒険を重ねる。でも、小さな機関車にとっては大冒険。読者である子供たちも一緒に冒険し、楽しむことができる本。

Thomas the Tank Engine -Favorite Stories from the Railway Series-
The Rev. W.Awdry(Aura Books Plc)£19.99
 オードリー師の手になる「Thomas the Tank Engine」シリーズから15冊分をオリジナルのまま収録したハードカバーの豪華大型絵本。日本の書店からはこのような豪華本は出版されていない。子供には,カラーの挿絵を見ているだけでも楽しいし,英語を学ぶ上でも好適の本。

いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう
バージニア・リー・バートン 作(福音館書店)¥1,000
 数々の名作を遺したアメリカの女流作家の古典的名作。日本の子どもだけでなく,イギリスの小学校の子どもも大好きであった。いたずらな機関車が逃げ出して冒険するが,次第に怖くなってしまう。白黒のダイナミックな絵がストーリーとぴったり合っている。

急行北極号
C・V・オールズバーグ 作(河出書房新社)¥1,500
 カルデコット・メダル受賞の名作。サンタクロースを信じる主人公の北極への旅。パステルの美しい絵は,素晴らしいファンタジーと共に,大人の読者をも魅了する。長男お気に入りの一冊。

サンタをのせたクリスマス電車
ロルフ・クレンツアー 文/ジタ・ユッカー 画(太平社)¥2,000
 たとえ字が読めなくても絵を見ているだけで引き込まれる幻想的な雪の絵。そしてやさしい姿をした子供たち。美しい装飾を施された電車。クリスマスプレゼントにぴったりの絵本である。

ラ・タ・タ・タム −ちいさな機関車のふしぎな物語−
ペーター・ニクル 作/ベネッテ・シュレーダー 画(岩波書店)¥1,400
 マチアスが作った白いかわいい機関車。美しい夢の世界を描いたような絵は幻想的である。追っ手から逃げていく機関車のお話はよくあるが,空間だけでなく時間の流れの中で走る機関車の姿は素敵である。

それいけ!あかいきかんしゃ
アンドリュー&ジャネット・マクリーン 作(徳間書店)¥1,500
 赤い機関車を運転する機関士ノーム,機関助手アルフ,車掌のジョージのほのぼのとしたお話。機関車を走らせたまま3人は抜け出しブラックベリーを摘んでいるうちにさあ大変。今度は機関車を追わなければならないはめになりました。パステル調の絵はお話のように柔らかで美しい。

はしれちいさいきかんしゃ
イブ・スパング・オルセン 作(福音館書店)¥900
 小さい機関車がある日一人で冒険するお話。途中線路から飛び出してイェンセンさんの家までお邪魔したりするのが楽しい。イェンセンさんちの洗濯物を引っ掛けながら走る様子は滑稽。

せんろはつづくよ
マーシャ・ブラウン 文/J.シャロー 画(岩波書店)¥750
 二台の機関車のお話。「ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ」という擬音語の繰り返しと,小気味良いリズムで,様々の場面を走り抜ける汽車たち。単純な線で描かれた絵は印象的である。

ちいさいきかんしゃ
ロイス・レンスキー 作(福音館書店)¥750
 機関士スモールさんと機関助手ショーティさん,車掌のリトルさん,そしてちいさいきかんしゃ。皆ちいさなという意味の人や汽車ばかり。この人たちの一日を淡々と描きます。

ちびっこきかんしゃくん
ワッティ・パイパー 再話/リチャード・ワルツ 絵(大日本絵画)¥1,100
 仕掛け絵本。いろいろな形の汽車たちが登場して、動くので小さな子供は大喜び。故障して動けなくなってしまった赤い小さな機関車を誰が助けてくれるのでしょうか?

きかんしゃホブ・ノブ
ルース・エインズワース作/安徳瑛 画(福音館書店・こどものとも年中向き)¥320
 ホブ・ノブに次から次へと動物たちが乗り込んでくる。そして遊園地へ向かう。トンネルを怖がる動物たちにホブ・ノブは火の粉でトンネルを明るくしてやる。子供たちは動物たちの登場する話が大好きである。

エンソくんきしゃにのる
スズキコージ 作(福音館書店)¥750
 エンソくんが一人で汽車に乗っておじいさんに会いに行くお話。スズキコージのサイケな絵が子供たちに大人気。ヘンなおじさんやおばさんが話の筋に関係なく登場するので探して遊んでいる。

小さな小さな駅長さんの話
いぬいとみこ 作/津田櫓冬 画(新日本出版社)¥1,200
 小さな小さな駅長さんと彼の駅にやって来た男の子の心温まるお話。こんな駅長さんがいるのなら子供たちが一人旅しても安心。きっと素晴らしいたびの思い出を見つけるだろう。

きかんしゃやえもん
阿川弘之 作/岡部冬彦 画(岩波書店)¥600
 おんぼろ機関車のやえもんが新しい大きな列車たちに馬鹿にされる。これに腹を立てたやえもんは火の子を巻き上げ大騒ぎ。私も子供の頃読んでもらってとても楽しかった記憶があります。

デゴイチものがたり
萩坂昇 文/伊藤悌夫 画(岩崎書店)¥906
 戦争のさなかに活躍したデゴイチの半生を描く。戦争で仲間を失い,また戦後自分達の働く場所がなくなったことも語るデゴイチ。機関助手の鉄ちゃんとの交流も暖かい。画家伊藤悌夫氏の挿絵はさすがに風格十分。

はしれ,じょうききかんしゃ
望月正子 文/伊藤悌夫 画(岩崎書店)¥880
 日本の保存鉄道の先駆となった大井川鉄道の物語。蒸気機関車を愛する人々が苦労して蒸気機関車を復活させるストーリーが胸を打つ。

はしれクラウス
かんべじゅんきち 文/ふじさわともいち 画(金の星社)¥900
 ドイツで作られ,戦前の日本で大活躍したものの,時代の流れで不要となったクラウス号を,この機関車を愛する人が何とか保存しようとする話。万国博覧会でも展示され,活躍したこの機関車が今やドイツでも保存されておらず,世界でただ一台となったというノンフィクション。白黒の絵も美しい。

はしれ,きたかぜ号
渡辺有一 作(童心社)¥1,300
 主人公ゆきこの東京から青森への一人旅。途中ちょっと不気味な魚たちが列車に乗ってくる。そしてその中の魚のおばさんとの交流。夢のような夢でないような不思議なお話。

ぽっぽぉー よぎしゃ
矢崎節夫 文/北田卓史 画(至光社)¥1,300
 男の子の夢。夜汽車を運転する。レトロな絵がいい。装丁も美しい。

がたごとがたごと
内田麟太郎 文/西村繁男 絵(童心社)¥1,300
 レトロな絵がいい。列車が様々な駅に到着する。「おくやま駅」「よつつじ駅」「チャンバラ駅」。ちょっと不思議でちょっと不気味な絵本。登場する人々も面白い。

すすめ!じょせつきかんしゃ(こどものとも年中向き)
峰村勝子 作(福音館書店)¥350
 ノンフィクション絵本。雪国での除雪機関車の活躍ぶりを描く。なかなか除雪機関車を目にすることの出来ないので興味はつきません。

かいがんでんしゃはおおいそがし
杉山径一 作/高橋透 絵(PHP)¥971
 電車のきーこくんの忙しい一日。パノラマのような絵が素敵。運転手さんとたっちゃんとの交流もほのぼのしている。こんな美しい海岸線を走る電車があるのなら毎日でも乗りたい気分になる。

きしゃにのっていってきます!
松本典久 文/井上広和 写真(小峰書店)¥980
 上記の保存鉄道 −大井川鉄道− に子供たちが体験乗車する話。汽車だけでなく,車内の様子,駅弁,そして井川線のアプト式電気機関車乗車記も楽しい。


機関車・電車の図鑑

三省堂図解ライブラリー 19世紀の鉄道駅
F・マクドナルド 文/小池 滋・和久田康雄 訳(三省堂)¥2,136
 この本の編集顧問はBath駅も管轄しているGreat Western Trainで勤めた人。それだけに,19世紀の鉄道駅といっても自然と大英帝国時代の英国の鉄道駅がメインに登場する。当時の駅を再現したカラーの絵が実に楽しく,自分もそこにいる気分にさせてくれる。


列車(ビジュアル博物館)
ジョン・コイリー 著(同朋舎出版)¥2,800
 本書は,鉄道博物館として世界最高の権威を誇るヨークの英国国立鉄道博物館の協力を得て編集されたもの。最初に作られた蒸気機関車から今現在活躍する高速列車までを掲載した美しい本。鉄道の写真だけでなく,客車の内装,駅員の制服,鉄道模型など,様々の角度からの記述が魅力的。大人も子供も楽しめるビジュアルで,しかも本格的な鉄道百科だ。


クロスセクション図鑑 機関車
M・ジョンストン 文/赤木昭夫 訳(学研)¥1,350
 原著はロンドンで発行されただけに,英国の機関車が大活躍。元祖ロケット号から最新の電気機関車まで,その仕組みがわかるように,輪切りにして図解している。


Railways
Althea and Edward Parker 文(A & C Black)£7.50
 鉄道が現在の形になったルーツから説明。車輪の形一つにしてもいろいろの工夫がされているのだと,子供に理解させ,鉄道の歴史が楽しく分かる本。

Railways & Trains
Caroline Young & Coline King文(Tiger Books International)£6.95
 蒸気機関車が最初に作られた時の経緯や,機関車の進歩の説明がされている。時代時代の乗客の様子も彼らの衣装と共に興味深い。リニアモーターカーまでの説明もある。

Learn with Thomas
Christopher Awdry・Ken Stott(Heinemann)
 機関車トーマスとその仲間たちと一緒に学ぶ単語帳。園児から低学年向き。

おもしろい電車・列車(鉄道大図鑑10)
(フレーベル館)¥980
 日本全国のおもしろい表情のある電車・列車の紹介。保存蒸気機関車も載っている。

じょうききかんしゃ ディーゼルきかんしゃ(のりものスーパー百科7)
まつもとけんいち 文 もちだあきとし 写真(ひかりのくに)¥1,300
 かずしがSL好きになったのはこの一冊による。日本の保存鉄道の美しい写真が魅力。

日本の蒸気機関車
(株式会社ネコ・パブリッシング)\1,800
 実は子供向きの本ではないが,日本で活躍した蒸気機関車が網羅されており,動態だけでなく,静態保存機関車をほとんど網羅しているところが素晴らしい。しかしながらそのほとんどは野ざらしになっているらしく寂しい限りである。

しんかんせんでいこう
斎藤 洋(偕成社)\1,000
 日本で活躍している新幹線を紹介する絵本。クイズ形式になっており,子供は楽しく「新幹線博士」になれる。500系までの新幹線が載っている。

しんかんせん
小賀野実 写真(ポプラ社)¥350
 園児向き。写真絵本。700系まで登場。