■寅次郎復活プロジェクト (2000/3/17)
渥美清氏の没後からはや5年。ビデオ、DVDなどの販売も頭打ちになり、浅丘ルリ子コレクション、吉永小百合コレクション、最後の撮影現場日記など考えられるセット販売のネタも底をついた。
単発ヒットはあるものの、安定した興行収入が見こめるシリーズを失った松竹邦画部門に当然のように訪れた経営危機。足元を見透かすように西田敏行サイドの代理人に就任したダン池田氏から呈示された10年間、総額40億円の複数年契約+オプション出来高払いの破格の要求。「釣りバカ」シリーズに、予想を上回る速さでマンネリ化が進行する一方、三国連太郎の余命も懸念される。邦画部閉鎖もやむなしとの空気が蔓延する中、マルチメディア事業部からある企画が提出された。
「寅次郎復活プロジェクト」。過去48作におよぶ「寅さんシリーズ」の映像を徹底的に解析することにより、バーチャル寅次郎を再構築する起死回生の企画だ。渥美清さんそのものがポリゴンで再現しやすい造作をしていた事も追い風となり、データ作成は予想外の速さで準備が進んでいる。
ネックになっているのがコンテンツ開発だ。データ解析から動画作成に予算の大半をつぎ込んだため、新シナリオは外部発注が出来ず、松竹邦画宣伝部員の内部制作が行なわれているという。邦画ファンの確実な取りこみを命ぜられた彼等が、苦しみの果てに生み出した驚愕のストーリーの一部を、ここにご紹介しよう。
- 「男はつらいよ、寅次郎エピソードT」
- ある日、旅先の寅次郎に母、菊(ミヤコ蝶々)の訃報が届く。とるものもとりあえず柴又に駆けつけた親族のなかに、死んだはずの弟と名乗る不気味なゴムマスクの男(井上陽水)が現れる。その日を境に「とらや」を舞台に起こる謎めいた連続殺人事件。
- シリーズ再スタート第一作にもかかわらず、おいちゃん(下条正己)、ひろし(前田吟)、さくら(倍賞千恵子)が次々と血祭りにあげられていく。寅次郎の脳裏に、ハンセン氏病の父(加藤嘉)と放浪を続けた幼い日の光景が生々しく蘇る。菊の残したたった一言の遺言「Kiss Me」に秘められた謎とは。
- 血塗られた車家の過去が今、明らかになる。
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「男はつらいよ、オクトパシー」
- 傷心を抱いて柴又に戻ってきた寅次郎を、何事も無かったように温かく迎えるくるまやの面々だが、柴又商店街で発見された戦時中の不発弾処理中に、くるまや地下から広大な地下通路が発見されたことから物語は急展開を見せる。くるまや仏壇裏と工場を結ぶ秘密通路はどこに続くのか。
そんな折、今度はテキヤ仲間の(秋野大作)が不審な死を遂げた。寅次郎は真犯人を暴くため、丸菱商事に社員として潜入するが、ノーネクタイ、腹巻、雪駄により意外に早く正体が割れてしまう。
善良な仮面の下に隠されたタコ社長(太宰久雄)の正体とは。労働者諸君の異常に高い労災適応率を踏み石に、数十年にわたり車屋裏の町工場で製造されてきたキューポラの意外な用途とは。御前様(笠智衆)を頂点とする秘密結社の追跡の手はすぐそこまで来ている。
敵か味方か。矢切の渡しを挟んで繰り広げられる千葉県民との壮絶な情報戦。
マドンナ役には土井たか子。寅さんシリーズはじまって以来初めての大胆な官能的表現。R指定。
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- 「男はつらいよ、沈黙の寅次郎」
- 新潟県のとある海岸で祭りの準備をしている最中に突然何者かに襲われ、意識を失う寅次郎。目を覚ますと、そこは国籍不明の潜水艦「コスビダ」の船内だった。
艦内のいたるところに描かれた富士山と松林の錦絵の謎。ミサイル原潜の中で繰り広げられる息をもつかせぬ心理ドラマ。「国家からすべての公衆浴場を切り離し、独立銭湯国家の設立することが我々の目的である」「艦長さん、それをいっちゃあおしめぇだよ」
寅次郎のつかった産湯に秘められた、驚愕の事実とは。彼らが目的地という「ニューヨーク」は本当に地名なのか。寅次郎シリーズ始まって以来の政治サスペンス。
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- 「男はつらいよ、踊る寅次郎」
- ある日、管轄の境界線の川から水死体(山岡久乃)が発見される。それはこれから起こる、大事件のプロローグにすぎなかった。猟奇的事件、ネット犯罪、そして前代未聞の大事件が次々と湾岸署を襲う。
ついには本庁まで巻き込んだ空前の展開に、青島(岡本信人)をはじめとし、和久(松山栄太郎)
やすみれ(松居直美)も命をかけた捜査をはじめるのだった。
今まで経験したことのない犯罪に、青島や湾岸署は大混乱。室井(保積ぺぺ)までもが、瀬戸際に立たされる。
はたして、青島は、すみれは、和久はどうなる。寅次郎はいつ登場する――もう後がない。前三作の興行不振から、徹底した予算削減が課せられるなか、ギリギリの豪華キャストによる空前のスケールで描く、「踊る寅次郎
THE MOVIE」。著作権協会が、この秋最も注目する話題作。
<<特別ふろく : 寅さん家系・人脈図>>
これをみれば寅さんの総てがわかる!!!(2000/3/23)
本家Shi.Ma.Chuさんの寅二郎シリーズはこちら
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ごめんなさい松次郎さん、竹次郎さん。
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